254 / 480
第四章
問題山積み
しおりを挟む
「さて、そろそろ出るぞ。あんまり長いこと姿をくらましてると、それだけで疑われるからな」
「なんだそりゃ? っていうか、お茶の一杯くらい出してくれよ」
「アホか! 地下水道なんかで茶を飲んだら腹くだすわ! 流行病なめんなよ!」
ちっ! ケチなやつだ。
まぁ、言われてみればこんなカビ臭いところでお茶は嫌だな。
とりあえず色々と情報は聞けたんだ。
さっさと帰るか。
「リクト。お前はこの道を真っ直ぐ行け。帝都ホテルに出るからよ」
「えっ? 帝都ホテルに繋がってんの?」
「色々出る場所はあるんだけど、そこが一番わかりやすいし無難だろ。誰かに見られても問題ないしな」
まぁ確かにそうだ。
帝都ホテルは帝都一のホテルだけど、帝都に居を構えている貴族達は逆に利用するが事はないから、見つかりにくいだろうしな。
「じゃあな、リクト。俺もお前には期待してんだ。つまらん奴等のつまらん思惑に乗って潰れんじゃねぇぞ」
「わかってるよ。色々ありがとな」
「気にすんな。また何かあったら教えてやるよ。ああ、そうだ。女の子には優しくしろよ」
そう言うとオフィリアンは地下水道の闇の中へと消えていった。
なんだ? 女の子には優しくって。
俺はいつでも優しいぞ?
まぁ、とにかくここを離れよう。
この道を真っ直ぐ行けばいいんだよな?
それにしても面倒な話を聞いたもんだ。
今の帝国は内側からの崩壊を皇帝陛下がギリギリ支えてる状態。
そして外側は四方を敵に囲まれていて、4人の辺境伯が何とか守ってるわけだ。
北部のレッドウッド辺境伯、東部のジェニングス辺境伯、南部のミュラー辺境伯、そして西部のクラッセン辺境伯だけど……
「南と西がやばいって話なんだよなぁ。ミュラー辺境伯は若くて聡明ではあるけど軍事には向いてないって話だ。今は上級大将のローゼンハイム閣下が指揮官代理を務めているらしいけど、いつまでもそのままって訳にはいかないだろうな。そして一番の問題が西のクラッセン辺境伯だ」
西側は王国と隣接しているが、両国の間に標高の高いウルグ山脈があるお陰で、ここ数十年は平穏な状態が続いている。
ダウスターが平穏なのもそのお陰なんだけど、そのせいかクラッセン辺境伯は緊張感がない。
現当主も元々は剛気人だったそうだけど、年を召されてからはすっかり穏やかになられて、最近は日向ぼっこばかりだそうだ。
軍備も疎かになってるようで、前のオーマンの時にも本来ならクラッセン辺境伯が兵を出さないといけないのに、結局は隣領のレヴァンス侯爵や中央軍が動いていた。
それにクラッセン家は跡継ぎの問題もあるらしいし、貴族や軍上層部の間でも不安視されているそうだ。
「はぁ……問題は耐えないなぁ。本当に改革なんてやれるんだろうか。と、言っても俺は言われた通りにするしか無いんだけどね。ん?」
ブツブツ言いながら歩いていると、どうやら着いたようだ。
道の突き当たりに梯子がある。
これを登ればいいんだな。
結構な高さがあるけど、訓練だと思えばどうと言うことはない。
スイスイっと登っていこう。
おっ? 梯子の終わりの横の壁が扉になってる。
なるほど、ここから中に入れるわけだ。
鍵はかかってないな。
扉を開けて中に入ると、そこは石造の部屋だった。
辺りには木樽がたくさん並べられており、芳醇な香りが漂っている。
どうやら地下の酒の貯蔵庫のようだ。
「ふーん、こんな所に出るんだ。それにしてもさすがは帝都一のホテルだな。お酒も良いのが置いてある。そうだ! 今日は嫌なこともあったし、帰って呑もうっと! 一緒に飲んでくれる人がいないかも探してみるか」
俺は意気揚々と貯蔵庫を後にした。
「なんだそりゃ? っていうか、お茶の一杯くらい出してくれよ」
「アホか! 地下水道なんかで茶を飲んだら腹くだすわ! 流行病なめんなよ!」
ちっ! ケチなやつだ。
まぁ、言われてみればこんなカビ臭いところでお茶は嫌だな。
とりあえず色々と情報は聞けたんだ。
さっさと帰るか。
「リクト。お前はこの道を真っ直ぐ行け。帝都ホテルに出るからよ」
「えっ? 帝都ホテルに繋がってんの?」
「色々出る場所はあるんだけど、そこが一番わかりやすいし無難だろ。誰かに見られても問題ないしな」
まぁ確かにそうだ。
帝都ホテルは帝都一のホテルだけど、帝都に居を構えている貴族達は逆に利用するが事はないから、見つかりにくいだろうしな。
「じゃあな、リクト。俺もお前には期待してんだ。つまらん奴等のつまらん思惑に乗って潰れんじゃねぇぞ」
「わかってるよ。色々ありがとな」
「気にすんな。また何かあったら教えてやるよ。ああ、そうだ。女の子には優しくしろよ」
そう言うとオフィリアンは地下水道の闇の中へと消えていった。
なんだ? 女の子には優しくって。
俺はいつでも優しいぞ?
まぁ、とにかくここを離れよう。
この道を真っ直ぐ行けばいいんだよな?
それにしても面倒な話を聞いたもんだ。
今の帝国は内側からの崩壊を皇帝陛下がギリギリ支えてる状態。
そして外側は四方を敵に囲まれていて、4人の辺境伯が何とか守ってるわけだ。
北部のレッドウッド辺境伯、東部のジェニングス辺境伯、南部のミュラー辺境伯、そして西部のクラッセン辺境伯だけど……
「南と西がやばいって話なんだよなぁ。ミュラー辺境伯は若くて聡明ではあるけど軍事には向いてないって話だ。今は上級大将のローゼンハイム閣下が指揮官代理を務めているらしいけど、いつまでもそのままって訳にはいかないだろうな。そして一番の問題が西のクラッセン辺境伯だ」
西側は王国と隣接しているが、両国の間に標高の高いウルグ山脈があるお陰で、ここ数十年は平穏な状態が続いている。
ダウスターが平穏なのもそのお陰なんだけど、そのせいかクラッセン辺境伯は緊張感がない。
現当主も元々は剛気人だったそうだけど、年を召されてからはすっかり穏やかになられて、最近は日向ぼっこばかりだそうだ。
軍備も疎かになってるようで、前のオーマンの時にも本来ならクラッセン辺境伯が兵を出さないといけないのに、結局は隣領のレヴァンス侯爵や中央軍が動いていた。
それにクラッセン家は跡継ぎの問題もあるらしいし、貴族や軍上層部の間でも不安視されているそうだ。
「はぁ……問題は耐えないなぁ。本当に改革なんてやれるんだろうか。と、言っても俺は言われた通りにするしか無いんだけどね。ん?」
ブツブツ言いながら歩いていると、どうやら着いたようだ。
道の突き当たりに梯子がある。
これを登ればいいんだな。
結構な高さがあるけど、訓練だと思えばどうと言うことはない。
スイスイっと登っていこう。
おっ? 梯子の終わりの横の壁が扉になってる。
なるほど、ここから中に入れるわけだ。
鍵はかかってないな。
扉を開けて中に入ると、そこは石造の部屋だった。
辺りには木樽がたくさん並べられており、芳醇な香りが漂っている。
どうやら地下の酒の貯蔵庫のようだ。
「ふーん、こんな所に出るんだ。それにしてもさすがは帝都一のホテルだな。お酒も良いのが置いてある。そうだ! 今日は嫌なこともあったし、帰って呑もうっと! 一緒に飲んでくれる人がいないかも探してみるか」
俺は意気揚々と貯蔵庫を後にした。
14
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる