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第五章
朝のテラスにて
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心地よい朝日を浴びながらテラスで朝食を食べる。
以前の俺ならむず痒くて仕方ないところだけど、2年も貴族の生活をしていれば慣れるもんだ。
「旦那様、軍広報誌ございます」
「ああ」
テラーズから広報誌を受け取る。
最近、東方では海洋国家との民間レベルでの小競り合いが続いていると聞いている。
今は問題になっていないが、いずれは国家間の問題に発展するだろう。
そうなれば帝国は北と南に加えて東とも戦端が開かれることになる。
この2年で方面軍の戦力は随分と強化されているけど、さすがに三国とやり合うとなると物資や兵站の問題が出てくるし、何より兵の士気が下がる。
好機と見れば西側諸国もウルグ山を越えてくる可能性もある。
帝国としてはどこか一方面でもなんとかしたい所だが、現状は難しい。
北の共和国とは政治思想の違いから友好的な関係となる事は難しいだろうな。
『専制政治=悪』と決めつける奴等の思考が変わらない限りは解決は難しいだろう。
南の連邦とは種族の問題がある。
かつて帝国が南方に棲む獣人や亜人達を奴隷にしようとした事からわかるように帝国上層部は獣人達を下に見る傾向がある。
友好的になれるはずもないし、かといって戦力で圧倒できるほど彼らは弱くない。
そして東の海洋国家。
奴らの正確な狙いはわからないが、経済による支配が目的ではないかと言われている。
奴らは北の共和国や更に西進して王国とも貿易を行なっているそうだ。
最近帝国内にも共和国や王国の品が以前より簡単に帝国内入ってくるようになったのは、奴らの仲介があっての事だ。
無能な貴族の中には奴らの行動を好意的に見る者もいるそうだが、このまま帝国の物流を握られでもしたら洒落にもならん。
油断はできない。
「帝国は四面楚歌になりつつある。このままでは、帝国は破滅の路を往くことになるな」
「旦那様の見識も随分と広くなられましたな。このテラーズの目頭も熱くなるというものです」
「お前の涙なんか見たこともないわ! 血が通ってるかも怪しむくらいだ!」
「それはあんまりではありませんか? それより南方方面軍の欄で面白い事が載っていますよ」
テラーズが視線で促したところには南方方面軍のローゼンハイム閣下の記事があった。
なになに……
『私、ウィルバルト・フォン・ローゼンハイムは此度の四勲章競合戦を辞退する事を表明する。代わりに我が弟子であるイリア・フォン・ヴォルガングとクリスティーヌ・フォン・リンテールの2名を南方からの推薦として参加させる事も加えて報告する』
イリアとクリスティーヌ?
あれ? 少佐と中尉は?
以前の俺ならむず痒くて仕方ないところだけど、2年も貴族の生活をしていれば慣れるもんだ。
「旦那様、軍広報誌ございます」
「ああ」
テラーズから広報誌を受け取る。
最近、東方では海洋国家との民間レベルでの小競り合いが続いていると聞いている。
今は問題になっていないが、いずれは国家間の問題に発展するだろう。
そうなれば帝国は北と南に加えて東とも戦端が開かれることになる。
この2年で方面軍の戦力は随分と強化されているけど、さすがに三国とやり合うとなると物資や兵站の問題が出てくるし、何より兵の士気が下がる。
好機と見れば西側諸国もウルグ山を越えてくる可能性もある。
帝国としてはどこか一方面でもなんとかしたい所だが、現状は難しい。
北の共和国とは政治思想の違いから友好的な関係となる事は難しいだろうな。
『専制政治=悪』と決めつける奴等の思考が変わらない限りは解決は難しいだろう。
南の連邦とは種族の問題がある。
かつて帝国が南方に棲む獣人や亜人達を奴隷にしようとした事からわかるように帝国上層部は獣人達を下に見る傾向がある。
友好的になれるはずもないし、かといって戦力で圧倒できるほど彼らは弱くない。
そして東の海洋国家。
奴らの正確な狙いはわからないが、経済による支配が目的ではないかと言われている。
奴らは北の共和国や更に西進して王国とも貿易を行なっているそうだ。
最近帝国内にも共和国や王国の品が以前より簡単に帝国内入ってくるようになったのは、奴らの仲介があっての事だ。
無能な貴族の中には奴らの行動を好意的に見る者もいるそうだが、このまま帝国の物流を握られでもしたら洒落にもならん。
油断はできない。
「帝国は四面楚歌になりつつある。このままでは、帝国は破滅の路を往くことになるな」
「旦那様の見識も随分と広くなられましたな。このテラーズの目頭も熱くなるというものです」
「お前の涙なんか見たこともないわ! 血が通ってるかも怪しむくらいだ!」
「それはあんまりではありませんか? それより南方方面軍の欄で面白い事が載っていますよ」
テラーズが視線で促したところには南方方面軍のローゼンハイム閣下の記事があった。
なになに……
『私、ウィルバルト・フォン・ローゼンハイムは此度の四勲章競合戦を辞退する事を表明する。代わりに我が弟子であるイリア・フォン・ヴォルガングとクリスティーヌ・フォン・リンテールの2名を南方からの推薦として参加させる事も加えて報告する』
イリアとクリスティーヌ?
あれ? 少佐と中尉は?
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