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第五章
新しい屋敷
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俺と大佐の目の前にあるのは俺が想像していた通りの屋敷だった。
もう俺が住み始めた頃の平屋の面影はどこにもない。
大きさはロンドベルゲンの屋敷よりも狭いが、その分を補うためか三階建てになっている。
思ってたよりも立派だ。
エルチェ通りの中だから、どうせそこまで立派なものはできないと思っていたのに、まさかエルチェ通りごと改修するとは思わなかった。
想像の遥か上をいくだけでなく、発想が飛躍しすぎてるよ、陛下!
「立派だろ? 半年かけて建造された貴官のタウンハウスだ。陛下の御厚意に感謝せねばならんな」
「タウンハウス?」
「タウンハウスとは領地を持った貴族が帝都滞在時に住まう屋敷のことだ。ちなみに領地にある屋敷はカントリーハウス、またはマナーハウスと言うのだよ」
へぇ、そんな呼び名があるんだ。
しかし……陛下の御厚意には感謝の念に絶えないが、あまりにもでか過ぎないか?
これじゃエルチェ通りの大掃除ついでというより、俺の屋敷のためにエルチェ通りを作り直したようなもんじゃないか。
やる事が大掛かり過ぎるんだよ。
「まぁ、立ち話もなんだ。屋敷の中で話そうではないか」
「そう言われましても小官は屋敷の中に入った事もないんですよ? 家具も揃ってないでしょうし、話せる場所があるんでしょうか?」
「それは問題ございません」
「うおっ!?」
不意に後ろから声をかけられて大佐が変な声を上げた。
テラーズ、相変わらず神出鬼没なやつだ。
「大佐。ウチの執事が失礼いたしました。申し訳ありません」
「い、いや……私こそ情けない姿を見せた。不甲斐ない。しかし、貴官の執事は随分とデキるな。全く感知できなかった」
「ちょいとクセの強い男でして……」
「旦那様、それはあんまりな言いようではありませんか? 最近、旦那様の私への当たりが強過ぎます。そろそろ泣きますよ?」
なら泣いてみろ!
雨だってお前の瞳からは逃げ出すわ!
……と、ツッコんでる場合じゃないな。
これ以上、テラーズのペースに巻き込まれちゃだめだ。
「それより知ってるなら早く案内してくれ、テラーズ」
「失礼。では、参りましょう。か弱い老人がいじめられる前に」
皮肉を言わんと歩けんのかっ!
ったく! 2年一緒に暮らしてても全然慣れないな、こいつは。
「どうぞ」
門をくぐって直ぐの屋敷の扉をテラーズが開けて促している。
門から扉まで約5メートルってとこか。
意外と近いな。
ロンドベルゲンだと20メートルくらいはある。
敵が門から侵入した時でも庭で食い止められるようにだ。
「帝都内ですから急に敵が大挙することはあり得ません。もし、大挙するにしても矛先は帝城でしょうから」
「また顔に出てたか? だが、理由はもっともだな。たかが地方領主の屋敷を襲う理由はないか」
「ええ、ただし……」
「敵が敵国だった場合は……だろ? 身内ならわからん。そのための備えくらいはしておくさ」
「シュナイデン中佐。それについては中で話そう。あまり聞かれて良い話ではないからな」
なるほど、その情報を俺に伝えるために大佐がわざわざ出張ってきたわけか。
俺を揶揄うためだけじゃなかったんだね。
もう俺が住み始めた頃の平屋の面影はどこにもない。
大きさはロンドベルゲンの屋敷よりも狭いが、その分を補うためか三階建てになっている。
思ってたよりも立派だ。
エルチェ通りの中だから、どうせそこまで立派なものはできないと思っていたのに、まさかエルチェ通りごと改修するとは思わなかった。
想像の遥か上をいくだけでなく、発想が飛躍しすぎてるよ、陛下!
「立派だろ? 半年かけて建造された貴官のタウンハウスだ。陛下の御厚意に感謝せねばならんな」
「タウンハウス?」
「タウンハウスとは領地を持った貴族が帝都滞在時に住まう屋敷のことだ。ちなみに領地にある屋敷はカントリーハウス、またはマナーハウスと言うのだよ」
へぇ、そんな呼び名があるんだ。
しかし……陛下の御厚意には感謝の念に絶えないが、あまりにもでか過ぎないか?
これじゃエルチェ通りの大掃除ついでというより、俺の屋敷のためにエルチェ通りを作り直したようなもんじゃないか。
やる事が大掛かり過ぎるんだよ。
「まぁ、立ち話もなんだ。屋敷の中で話そうではないか」
「そう言われましても小官は屋敷の中に入った事もないんですよ? 家具も揃ってないでしょうし、話せる場所があるんでしょうか?」
「それは問題ございません」
「うおっ!?」
不意に後ろから声をかけられて大佐が変な声を上げた。
テラーズ、相変わらず神出鬼没なやつだ。
「大佐。ウチの執事が失礼いたしました。申し訳ありません」
「い、いや……私こそ情けない姿を見せた。不甲斐ない。しかし、貴官の執事は随分とデキるな。全く感知できなかった」
「ちょいとクセの強い男でして……」
「旦那様、それはあんまりな言いようではありませんか? 最近、旦那様の私への当たりが強過ぎます。そろそろ泣きますよ?」
なら泣いてみろ!
雨だってお前の瞳からは逃げ出すわ!
……と、ツッコんでる場合じゃないな。
これ以上、テラーズのペースに巻き込まれちゃだめだ。
「それより知ってるなら早く案内してくれ、テラーズ」
「失礼。では、参りましょう。か弱い老人がいじめられる前に」
皮肉を言わんと歩けんのかっ!
ったく! 2年一緒に暮らしてても全然慣れないな、こいつは。
「どうぞ」
門をくぐって直ぐの屋敷の扉をテラーズが開けて促している。
門から扉まで約5メートルってとこか。
意外と近いな。
ロンドベルゲンだと20メートルくらいはある。
敵が門から侵入した時でも庭で食い止められるようにだ。
「帝都内ですから急に敵が大挙することはあり得ません。もし、大挙するにしても矛先は帝城でしょうから」
「また顔に出てたか? だが、理由はもっともだな。たかが地方領主の屋敷を襲う理由はないか」
「ええ、ただし……」
「敵が敵国だった場合は……だろ? 身内ならわからん。そのための備えくらいはしておくさ」
「シュナイデン中佐。それについては中で話そう。あまり聞かれて良い話ではないからな」
なるほど、その情報を俺に伝えるために大佐がわざわざ出張ってきたわけか。
俺を揶揄うためだけじゃなかったんだね。
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