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第五章
エルチェ通り
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「……此処は何処ですか?」
俺は呟くように大佐に聞いた。
馬車が停まったので、窓の外を見るとそこには見たこともない光景があったからだ。
「ハッハッハッ! さすがの貴官も度肝を抜かれたか? いや、無理もない! 私も最初に計画を聞かされた時は俄に信じられなかったからな」
大佐め……妙に焦ってると思ったら、俺の驚いた反応が見たくて急いでたんだな!
くそっ! 思惑通りに間抜け面を晒してしまった自分が情けない!
でも、これは無理だろ? 反則だよ!
一体、何考えてんだ?
ほとんど元の面影すら残ってないじゃないか!?
頭の中が疑問符だらけだよ!
計画って事は組織的な動きがあったって事だろうな。
そして、ここまで大掛かりな事となると首謀者は……
「陛下ですね」
「鋭いな」
「そうとしか考えられませんよ、これは」
正直、平家が屋敷になってるくらいは想像していたんだよ?
陛下が前に言ってたし、それなりに無茶な事するんだろうってわかってたよ。
でも、ここまでやるか?
エルチェ通りの街並みが完全に変わっちまってるじゃねえか!
「エルチェ作戦。表向きには四勲章競合戦に向けた帝都全体な大掃除だったんだが、実際は裏通りと言われ、ゴロツキや犯罪者まがいの人間の根城となっていたエルチェ通りを一旦解体し、新たな通りを作り直す作戦だったんだよ」
「それって大普請じゃないですか!? 俺が高等士官学校に入ってた、たった2年で出来るものなんですか!?」
「出来るか出来ないかじゃない。やるんだよ、それが陛下の御命令ならな」
……おっかねぇ話だ。
「それに水面下では何年も前から動いていたんだろう。でなければ市民の反対も出ただろうし、少なくとも冒険者組合は黙ってなかっただろう。だが、今回の普請には手の空いている冒険者達も参加していたし、報酬も出ていたと言うから、何らかの取引があったのではないかと考えている」
もしかして、オフィリアンか?
あいつなら陛下との間を取り持ちつつ、冒険者組合を納得させられるかもしれない。
うーん、それも気になるところではあるが、本題の方もそろそろ切り出してみるか。
「大佐。普請の件はとりあえず納得しました。それで改めてお聞きします。此処は何処ですか?」
「答えのわかっている質問をするとは、貴官も人が悪いな」
「わかっていても、万が一という事もありますので」
「なら、答えよう。此処は君の屋敷だよ。リクト・フォン・シュナイデン男爵」
大佐が大きく広げた両腕の先には大きな屋敷が建っていた。
俺は呟くように大佐に聞いた。
馬車が停まったので、窓の外を見るとそこには見たこともない光景があったからだ。
「ハッハッハッ! さすがの貴官も度肝を抜かれたか? いや、無理もない! 私も最初に計画を聞かされた時は俄に信じられなかったからな」
大佐め……妙に焦ってると思ったら、俺の驚いた反応が見たくて急いでたんだな!
くそっ! 思惑通りに間抜け面を晒してしまった自分が情けない!
でも、これは無理だろ? 反則だよ!
一体、何考えてんだ?
ほとんど元の面影すら残ってないじゃないか!?
頭の中が疑問符だらけだよ!
計画って事は組織的な動きがあったって事だろうな。
そして、ここまで大掛かりな事となると首謀者は……
「陛下ですね」
「鋭いな」
「そうとしか考えられませんよ、これは」
正直、平家が屋敷になってるくらいは想像していたんだよ?
陛下が前に言ってたし、それなりに無茶な事するんだろうってわかってたよ。
でも、ここまでやるか?
エルチェ通りの街並みが完全に変わっちまってるじゃねえか!
「エルチェ作戦。表向きには四勲章競合戦に向けた帝都全体な大掃除だったんだが、実際は裏通りと言われ、ゴロツキや犯罪者まがいの人間の根城となっていたエルチェ通りを一旦解体し、新たな通りを作り直す作戦だったんだよ」
「それって大普請じゃないですか!? 俺が高等士官学校に入ってた、たった2年で出来るものなんですか!?」
「出来るか出来ないかじゃない。やるんだよ、それが陛下の御命令ならな」
……おっかねぇ話だ。
「それに水面下では何年も前から動いていたんだろう。でなければ市民の反対も出ただろうし、少なくとも冒険者組合は黙ってなかっただろう。だが、今回の普請には手の空いている冒険者達も参加していたし、報酬も出ていたと言うから、何らかの取引があったのではないかと考えている」
もしかして、オフィリアンか?
あいつなら陛下との間を取り持ちつつ、冒険者組合を納得させられるかもしれない。
うーん、それも気になるところではあるが、本題の方もそろそろ切り出してみるか。
「大佐。普請の件はとりあえず納得しました。それで改めてお聞きします。此処は何処ですか?」
「答えのわかっている質問をするとは、貴官も人が悪いな」
「わかっていても、万が一という事もありますので」
「なら、答えよう。此処は君の屋敷だよ。リクト・フォン・シュナイデン男爵」
大佐が大きく広げた両腕の先には大きな屋敷が建っていた。
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