285 / 480
第五章
暗躍する光る者達
しおりを挟む
「まったく陛下の身内贔屓にも困ったもんだ!」
俺がグラスをテーブルに叩きつけると、他の者達が一斉に肩を震わせた。
腰抜けどもめ、情けない。
「ま、まったくですよ、ヴォルドン閣下。我々はあの生意気な小僧と顔だけが取り柄の小娘2人を推薦したのに、まさかその身内まで参加させるとは……」
「それだけではありませんよ、ノイマイスター様。陛下はあのメアリー・シーランまで推薦しているではありませんか。どこの馬の骨ともわからぬ小娘を推薦して、いつから四勲章競合戦はその品位を貶めたのか!?」
「そうだ! その通り!」
ふん、口々に陛下の不満をぶちまけおって。
御前になれば床を舐める勢いで頭を擦り付ける小物どもが、随分と偉そうな事だな。
だが、こいつらの言い分にも一理ある。
昨今の陛下は確かにおかしい。
田舎者の小僧であるシュナイデンに男爵位とロンドベルゲンを与え、更にはエルチェ通りにタウンハウスまで用意したというではないか。
ウォーレイクの時もそうだったが、陛下は下賎な輩に甘過ぎる!
我々のような高貴な生まれの者に対しての配慮に欠け、下賎な輩を優遇するとはどういうつもりか、全くわからん!
いや、下賎な輩を優遇する心など知りたくもないわ!
「しかし、ヴォルドン閣下。このままで良いのでしょうか?」
「あ? どういう事か?」
「南方、北方の推薦とはいえあの4名はウォーレイク陣営です。それに小僧まで加わると参加者の半数近くはウォーレイクの配下となります。これは由々しき事態かと」
「確かに。高等士官学校で奴に相応しい汚名をくれてやる事は叶わなかったのか?」
「残念ながら……小僧の傍にはあのヴォルガングとリンテールが常におりましたので、下手に手を出せば、こちらが痛手を食うことになるかと……」
「小娘達の方も同じです。南方ではローゼンハイム、北方ではテーニセンが常に側に付いていた! 忌々しい奴らめ!」
チッ、使えぬ者達め。
少しは頭を働かせたらどうなんだ?
あるだろうが、一箇所。
仕方のない奴らめ。
「ところで最近は物騒だな」
「は? それはどういう……」
「近頃は手練れの賊も多いと聞く。街道沿いとはいえ危険ではないか? 帝都に近い街などはさぞ危ないだろうな。なぁ、ノイマイスター?」
「はぁ……あっ! ロンドベルゲン……なるほど、確かに物騒ですな」
「そうであろう? 警備は厳重にせよ。厳重にな」
「はっ! では、明日にでも『光の革命団』を帝都近郊の街に」
「迅速なのはいい事だ。ふふふっ、はっはっはっはっはっ!」
見るがいい、小僧!
貴様の下賎な輩の下賎な街が崩れ去るのをな!
クカカカカカッ、ギャハハハハハハハ!
俺がグラスをテーブルに叩きつけると、他の者達が一斉に肩を震わせた。
腰抜けどもめ、情けない。
「ま、まったくですよ、ヴォルドン閣下。我々はあの生意気な小僧と顔だけが取り柄の小娘2人を推薦したのに、まさかその身内まで参加させるとは……」
「それだけではありませんよ、ノイマイスター様。陛下はあのメアリー・シーランまで推薦しているではありませんか。どこの馬の骨ともわからぬ小娘を推薦して、いつから四勲章競合戦はその品位を貶めたのか!?」
「そうだ! その通り!」
ふん、口々に陛下の不満をぶちまけおって。
御前になれば床を舐める勢いで頭を擦り付ける小物どもが、随分と偉そうな事だな。
だが、こいつらの言い分にも一理ある。
昨今の陛下は確かにおかしい。
田舎者の小僧であるシュナイデンに男爵位とロンドベルゲンを与え、更にはエルチェ通りにタウンハウスまで用意したというではないか。
ウォーレイクの時もそうだったが、陛下は下賎な輩に甘過ぎる!
我々のような高貴な生まれの者に対しての配慮に欠け、下賎な輩を優遇するとはどういうつもりか、全くわからん!
いや、下賎な輩を優遇する心など知りたくもないわ!
「しかし、ヴォルドン閣下。このままで良いのでしょうか?」
「あ? どういう事か?」
「南方、北方の推薦とはいえあの4名はウォーレイク陣営です。それに小僧まで加わると参加者の半数近くはウォーレイクの配下となります。これは由々しき事態かと」
「確かに。高等士官学校で奴に相応しい汚名をくれてやる事は叶わなかったのか?」
「残念ながら……小僧の傍にはあのヴォルガングとリンテールが常におりましたので、下手に手を出せば、こちらが痛手を食うことになるかと……」
「小娘達の方も同じです。南方ではローゼンハイム、北方ではテーニセンが常に側に付いていた! 忌々しい奴らめ!」
チッ、使えぬ者達め。
少しは頭を働かせたらどうなんだ?
あるだろうが、一箇所。
仕方のない奴らめ。
「ところで最近は物騒だな」
「は? それはどういう……」
「近頃は手練れの賊も多いと聞く。街道沿いとはいえ危険ではないか? 帝都に近い街などはさぞ危ないだろうな。なぁ、ノイマイスター?」
「はぁ……あっ! ロンドベルゲン……なるほど、確かに物騒ですな」
「そうであろう? 警備は厳重にせよ。厳重にな」
「はっ! では、明日にでも『光の革命団』を帝都近郊の街に」
「迅速なのはいい事だ。ふふふっ、はっはっはっはっはっ!」
見るがいい、小僧!
貴様の下賎な輩の下賎な街が崩れ去るのをな!
クカカカカカッ、ギャハハハハハハハ!
14
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる