食うために軍人になりました【一人称版】

KBT

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第五章

屋敷侵入

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 ロンドベルゲン。
 2年前までは帝都に近いってだけの街だったが、成り上がりの田舎者が領主になってから発展した街だ。
 土地の開拓や街道整備、技術研究への資金援助、税の軽減、観光事業開発などあらゆる面にどこから湧いたかわからねぇ多額の資金を投入した。
 店には質の良い商品が大量に並び、それを買いに商人達が訪れ、金回りは良くなる一方だ。
 3000人だった街の人口は、今じゃ10000人を超えようとしてるって話だ。
 これなら税が低かろうとたんまり金が入ってくる。
 つまり……

「お前ら、依頼主から見つけた物は好きにしていいと言われている。その代わり、屋敷にいる者は皆殺し、屋敷も派手に壊せって命令だ」

「団長。女はどうします? メイドにいい女がいるって話ですよ。殺すのは勿体無いんじゃありませんか?」

「ばーか。楽しんでから殺せばいいだけだ」

「なるほど。へへへっ、了解です」

 ちっ、昔のノリで敬礼なんかすんじゃねえよ。
 まぁいい、今は目の前の獲物が優先だ。
 街の奴らの話じゃ田舎者は帝都にいて、屋敷にいるのはメイドと召使と執事の合わせて8人程度らしい。
 警備の領兵がいると思ったが、平和ボケのせいか誰もいやしねぇ。
 まったく簡単な仕事だな。
 ちょっと遊ぶか。
 
「おい、お前らゲームしねぇか?」

「ゲームですか?」

「間抜けな領兵は街の外に出てるし、屋敷の中には使用人が8人くらいしかいねぇそうだ。全員で押しかけてもあっという間に終わっちまう。だから今いる28人を4チームに分けて別々に屋敷に侵入すんだ。そんで宝は早い者勝ちってのはどうだ?」

「いいっすね! おもしろそうじゃないっすか!」

「女も早い者勝ちでいいっすか? 壊れてても文句言わないでくださいよ」

 やっぱり乗ってきたか、当然だな。
 最近はしみったれた仕事ばっかりだっからな。
 女にも飢えてるし、金にも飢えてる。
 俺も同じだがな。

「よし、なら久しぶりに小隊編成で行くぞ。いいな、目標は屋敷の破壊と金品の確保、使用人達の皆殺しだ。忘れるなよ。いけ!」

「おう!」

 3チームが屋敷へと突入して行った。
 それぞれが正面と屋敷の左右に分かれて屋敷内に潜入するようだ。
 
「団長、俺達も早く行きましょう!」

「お宝全部持っていかれちまいますぜ!」

 俺のチームの奴らが焦り始めた。
 ったく、これだから力だけの単細胞は使えねぇ。

「慌てるな。俺達は2階から攻める。先ずは執事を押さえるんだ」

「執事なんかただのジジイでしょ? 殺し甲斐もないし、ほっときましょうよ」

「ばーか、執事は屋敷内の管理を任されてるんだ。つまり、金目の物の在り方も金庫の開け方も知ってるってわけだ」

「なるほど! さすが団長だ!」

 ふん。 
 どうせ先に行った奴らは賤しく室内を物色して進むだろうから当然動きは遅くなる。
 その間にこのアーハト・トルデル様は執事から金目の物をいただくってわけだ。
 俺様だけがな。
 
「行くぞ」

「へい!」

 俺達は屋敷の2階テラスから室内へと侵入した。
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