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第五章
罰
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屋敷東側の窓の鍵が開いた。
所詮は田舎の小僧とその下っ端の屋敷だ。
警備もチョロいもんだぜ。
「よし、俺達はここから侵入するぞ」
「おう!」
全員が窓から屋敷内に潜入した。
チッ、ブーツに付いた花壇の土のせいで侵入者がいる事がバレバレじゃねぇか。
まぁいい、どうせ皆殺しだしな。
「おい、カルロ。急ごうぜ。たいちょ……じゃなくて、アーハトさんより先にお宝を見つけないと、全部持ってかれちまうぞ」
こいつの言う通りだ。
ゲームって言ってたが、どうせ宝の在り方に目星をつけていて、自分の取り分を多くしようって魂胆だろうからな。
ったく、ウチの隊長は昔っからケチなんだよな!
そのくせ金儲けが下手で仕方ねぇ。
だいたい女も殺せって言われたが、どうせ殺すんなら適当に遊んでから売っぱらえば金になって得するじゃねぇか。
そんな簡単なことにも考えが回らねぇとはな。
「……やっぱり俺が上に立つしかねぇな」
「カルロ? 何か言ったか?」
「いや……とにかく金目のものと女を探せ。屋敷を壊すのはその後で……」
「お客様」
聞き覚えのない声に全員で武器を構える。
視線を向けると暗い廊下の先に使用人の格好をした男が立っていた。
声の主はあいつか。
それにしても『お客様』だと?
馬鹿かよ? 呑気もここまで来たら逆に大したもんだぜ。
「申し訳ありませんが、連絡のない深夜の来訪は困ります。日を改めてお越しいただけませんでしょうか?」
こいつは本当の馬鹿のようだな。
夜中に武器を持った男達が屋敷に入ってきたんだぞ?
普通は大声で助けを呼ぶなりするもんだろうが。
でかい図体して役立たずも良いところだ。
さっさと殺しちまおう。
「やれ」
小声で指示を出すと同時に、後ろから馬鹿男に向かって矢が放たれた。
あばよ、役立たず……なに!?
「困りますね。屋敷内で勝手にこんな物を放たれては」
う、受け止めた?
暗がりで放たれた矢をたった2本の指で挟んで止めたってのか!?
やべぇ! こいつは馬鹿なんかじゃねぇぞ!
「どうされました?」
使用人の男が俺達に向かってゆっくり歩いてくる。
隙がない!
こいつはヤベェぞ!
「お前ら! こいつはただの使用人じゃねえ! 全員で囲んで一斉に……」
「お客様。独り言はお静かに願います」
「なに? ひ、独り言だと? ま、まさか……」
ゆっくり振り返ると、そこには目を見開き泡を吹いて、恐怖に引き攣った顔のまま倒れている仲間達の姿があった。
「な、な、なんだ……ど、どうして……」
「花壇を荒らした罰」
「ひっ!」
いつの間にか仲間達の死体の奥に小さな人影があった。
背の小さな少女。
オーバーオールを着て、手に農具らしき物を持っている場違いな姿が不気味で仕方ない。
「か、花壇?」
「窓の下。綺麗にしたのに」
感情の起伏のない面で少女がそう言った。
「そ、それだけで……それだけの事でこいつら全員を殺したのか……」
「おいおい、どの口が言ってんだよ? それにしてもエマにびびって隙だらけじゃないか。元軍人というから期待したのに、ガッカリだ」
いつの間にか俺の背後に使用人の男が立っていた。
所詮は田舎の小僧とその下っ端の屋敷だ。
警備もチョロいもんだぜ。
「よし、俺達はここから侵入するぞ」
「おう!」
全員が窓から屋敷内に潜入した。
チッ、ブーツに付いた花壇の土のせいで侵入者がいる事がバレバレじゃねぇか。
まぁいい、どうせ皆殺しだしな。
「おい、カルロ。急ごうぜ。たいちょ……じゃなくて、アーハトさんより先にお宝を見つけないと、全部持ってかれちまうぞ」
こいつの言う通りだ。
ゲームって言ってたが、どうせ宝の在り方に目星をつけていて、自分の取り分を多くしようって魂胆だろうからな。
ったく、ウチの隊長は昔っからケチなんだよな!
そのくせ金儲けが下手で仕方ねぇ。
だいたい女も殺せって言われたが、どうせ殺すんなら適当に遊んでから売っぱらえば金になって得するじゃねぇか。
そんな簡単なことにも考えが回らねぇとはな。
「……やっぱり俺が上に立つしかねぇな」
「カルロ? 何か言ったか?」
「いや……とにかく金目のものと女を探せ。屋敷を壊すのはその後で……」
「お客様」
聞き覚えのない声に全員で武器を構える。
視線を向けると暗い廊下の先に使用人の格好をした男が立っていた。
声の主はあいつか。
それにしても『お客様』だと?
馬鹿かよ? 呑気もここまで来たら逆に大したもんだぜ。
「申し訳ありませんが、連絡のない深夜の来訪は困ります。日を改めてお越しいただけませんでしょうか?」
こいつは本当の馬鹿のようだな。
夜中に武器を持った男達が屋敷に入ってきたんだぞ?
普通は大声で助けを呼ぶなりするもんだろうが。
でかい図体して役立たずも良いところだ。
さっさと殺しちまおう。
「やれ」
小声で指示を出すと同時に、後ろから馬鹿男に向かって矢が放たれた。
あばよ、役立たず……なに!?
「困りますね。屋敷内で勝手にこんな物を放たれては」
う、受け止めた?
暗がりで放たれた矢をたった2本の指で挟んで止めたってのか!?
やべぇ! こいつは馬鹿なんかじゃねぇぞ!
「どうされました?」
使用人の男が俺達に向かってゆっくり歩いてくる。
隙がない!
こいつはヤベェぞ!
「お前ら! こいつはただの使用人じゃねえ! 全員で囲んで一斉に……」
「お客様。独り言はお静かに願います」
「なに? ひ、独り言だと? ま、まさか……」
ゆっくり振り返ると、そこには目を見開き泡を吹いて、恐怖に引き攣った顔のまま倒れている仲間達の姿があった。
「な、な、なんだ……ど、どうして……」
「花壇を荒らした罰」
「ひっ!」
いつの間にか仲間達の死体の奥に小さな人影があった。
背の小さな少女。
オーバーオールを着て、手に農具らしき物を持っている場違いな姿が不気味で仕方ない。
「か、花壇?」
「窓の下。綺麗にしたのに」
感情の起伏のない面で少女がそう言った。
「そ、それだけで……それだけの事でこいつら全員を殺したのか……」
「おいおい、どの口が言ってんだよ? それにしてもエマにびびって隙だらけじゃないか。元軍人というから期待したのに、ガッカリだ」
いつの間にか俺の背後に使用人の男が立っていた。
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