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第五章
妖精の声
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聖剣妖精の声。
バランディン家の祖が妖精女王から賜ったと言われる聖剣で、バランディン家の当主以外は触れる事すら許されないという。
剣に施された装飾の美しさはこの世の物とは思えない程優美で神秘的。
でも、本当にすごいのはその能力よ。
「いやぁ、久しぶりだよ。彼女達の声を聴くのはね。正直、一回戦から使う事になるとは思わなかったけど、負けたら元も子もないからね」
くっ……! 格下と油断している間に決めてしまいたかったのにぃ!
まさか聖剣の力を解放するなんてぇ!
見栄とか自尊心で勝負を棄てるような真似はしないかぁ。
この人は腐った貴族と違う、真っ当な戦士だったって事ね。
残念なようなホッとしたような複雑な気分。
「さぁ、ファンティーヌちゃん。ダンスの時間だよ? 楽しんでね。 妖精の声!」
天に向けられた聖剣が淡い光を放ち、綺麗な音が奏でられる。
サロンでお茶してる時だったら最高なんだけどねぇ!
「火炎短槍!」
数を増やして、全方位から襲い掛かる火炎短槍なら、少しはダメージを……っ!
「お願いするよ」
聖剣から美しい女性が現れた。
水色の髪をした官能的な若い乙女、あれは水の妖精!?
バランディン様の頬を優しく撫でたと思ったら今度は艶っぽく踊り始めた?
なに?
どういうつも……あ、あれは川?
小川がバランディン様を護るように周囲に流れ始めた!?
あれだけの数の火炎短槍が全部かき消された!?
そ、そんな……だったら!
「氷の重装槍!」
この氷の重装槍ならあの程度の川は凍結させる事ができるし、これだけの質量があればバランディン様にも届くはず!
「いっけぇええええええ!」
「素晴らしい! これだけ多彩な魔法を使いこなせるなんて、君は本当に素晴らしいよ。でも、彼女達も素晴らしいんだよ?」
また別の女性が現れた!?
褐色の肌に赤い髪、さっきの水の妖精とは違った荒々しい仕草……まさか炎の上位妖精!? 希少種族じゃないの!?
「少し寒いんだ。温めておくれ」
バランディン様がそう言うと照れたような素振りをしながら、全身から炎を噴き出して私の氷の重装槍を一瞬で溶かした……う、うそぉ……
「聖剣妖精の声の力はどうだい? 様々な属性の妖精を召喚して手伝ってもらう事ができるんだ。本当なら相反する属性の妖精は召喚できないんだけど、何故か僕にはそれが出来てね。お陰で助かってるよ」
それよ!
本来なら相反する属性のものを召喚すると相殺されてしまうのが魔法でも精霊術でも鉄則なのよ!
まして妖精は万物の根源たるエネルギーが具現化したもので、自我があるから余計に反発し合うはずなのに、それを両手にはべらせてるって意味がわからないわ!
でも、今はそんな事はどうでもいい。
どんな魔法を放っても反する属性の妖精を召喚されるだけ。
並大抵の魔法じゃダメだ。
もう……アレしかないわ!
バランディン家の祖が妖精女王から賜ったと言われる聖剣で、バランディン家の当主以外は触れる事すら許されないという。
剣に施された装飾の美しさはこの世の物とは思えない程優美で神秘的。
でも、本当にすごいのはその能力よ。
「いやぁ、久しぶりだよ。彼女達の声を聴くのはね。正直、一回戦から使う事になるとは思わなかったけど、負けたら元も子もないからね」
くっ……! 格下と油断している間に決めてしまいたかったのにぃ!
まさか聖剣の力を解放するなんてぇ!
見栄とか自尊心で勝負を棄てるような真似はしないかぁ。
この人は腐った貴族と違う、真っ当な戦士だったって事ね。
残念なようなホッとしたような複雑な気分。
「さぁ、ファンティーヌちゃん。ダンスの時間だよ? 楽しんでね。 妖精の声!」
天に向けられた聖剣が淡い光を放ち、綺麗な音が奏でられる。
サロンでお茶してる時だったら最高なんだけどねぇ!
「火炎短槍!」
数を増やして、全方位から襲い掛かる火炎短槍なら、少しはダメージを……っ!
「お願いするよ」
聖剣から美しい女性が現れた。
水色の髪をした官能的な若い乙女、あれは水の妖精!?
バランディン様の頬を優しく撫でたと思ったら今度は艶っぽく踊り始めた?
なに?
どういうつも……あ、あれは川?
小川がバランディン様を護るように周囲に流れ始めた!?
あれだけの数の火炎短槍が全部かき消された!?
そ、そんな……だったら!
「氷の重装槍!」
この氷の重装槍ならあの程度の川は凍結させる事ができるし、これだけの質量があればバランディン様にも届くはず!
「いっけぇええええええ!」
「素晴らしい! これだけ多彩な魔法を使いこなせるなんて、君は本当に素晴らしいよ。でも、彼女達も素晴らしいんだよ?」
また別の女性が現れた!?
褐色の肌に赤い髪、さっきの水の妖精とは違った荒々しい仕草……まさか炎の上位妖精!? 希少種族じゃないの!?
「少し寒いんだ。温めておくれ」
バランディン様がそう言うと照れたような素振りをしながら、全身から炎を噴き出して私の氷の重装槍を一瞬で溶かした……う、うそぉ……
「聖剣妖精の声の力はどうだい? 様々な属性の妖精を召喚して手伝ってもらう事ができるんだ。本当なら相反する属性の妖精は召喚できないんだけど、何故か僕にはそれが出来てね。お陰で助かってるよ」
それよ!
本来なら相反する属性のものを召喚すると相殺されてしまうのが魔法でも精霊術でも鉄則なのよ!
まして妖精は万物の根源たるエネルギーが具現化したもので、自我があるから余計に反発し合うはずなのに、それを両手にはべらせてるって意味がわからないわ!
でも、今はそんな事はどうでもいい。
どんな魔法を放っても反する属性の妖精を召喚されるだけ。
並大抵の魔法じゃダメだ。
もう……アレしかないわ!
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