食うために軍人になりました【一人称版】

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第五章

真紅流星爆発

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 真紅流星爆発クリムゾンメテオエクスプロージョン
 私が研究の末に復活させた最大最強の古代魔法。
 本当は使いたくなかったけど、このまま小手先の魔法を使っても相殺されるだけ。
 だったらやるしかない!
 いくら上位妖精だって、この真紅流星爆発クリムゾンメテオエクスプロージョンは防げないはず。
 この一撃に全てを賭ける!

「作戦は決まったかな?」

 いつも通りの笑顔で優しく問いかけてくる。
 私が今戸惑ってる間にも攻撃する機会はいくらでもあったのにね。
 ちょっとムカつく。

「待っててくれたんですかぁ? お優しいんですねぇ。それとも余裕ですかぁ?」

「レディを急かす程野暮じゃないさ。相手の全てを受け入れる器量を持ってこそだよ。そして全て受け切った上で僕が勝つのさ」

 浮いた性格に軽い言葉。
 私の大っ嫌いなタイプなはずなのに何故か心底嫌いはになれない。
 変な魅力があるのは間違いない。
 リッくんがいなかったら危なかったかも。
 リッくん……そうよ! 
 リッくんのために!
 私のために私は負けられないのよ!

「はぁあああああ!」

 杖を天に掲げて魔力を集中する。
 頭上に小さな炎の塊が現れた。
 あとはこれに全魔力を注ぐだけ!

「むっ……これはちょっと危ないかもしれないね」

 私が何をするのかわかったのか、少しバランディン様の顔に緊張が走ったような気がした。
 正直、バランディン様に通用するかはわからない。
 でも、私には負けられない理由がある!
 リッくんと出会って仲良くなって、そして恋をした。
 出世したら一緒になってあげてもいいと思ってたのに、予想以上に彼は先に行ってしまった。
 立場が逆転したのを最初は好機だと思ってたけど、政略結婚を狙う奴等が現れた。
 貴族の結婚は所詮は権力闘争の一部でしかない。
 私も昔はそれを覚悟していた。
 望まぬ結婚に耐えるのも貴族の務めだと……でも今は違う!
 家を捨ててでも一緒になりたいと思った人が現れたのよ!
 ライバルも多いけど、それはリッくんの魅力が凄いんだから仕方ないこと!
 だけど、リッくんの利用価値しか見てないような女にとられるのだけは絶対に嫌っ!
 この大会で私の存在を帝国中に知らしめて、リッくんに相応しい女である事を周囲に認めさせる!
 そのために私は……この英雄バランディンを倒さないといけないのよ!
 私利私欲上等よっ!

「りゃぁあああああああ!」
 
 私の魔力で小さかった炎の塊はどんどん大きくなって、既に闘技場の三分の一くらいの大きさになっていた。
 防御結界があるとはいえ、さすがに怖くなったのかバランディン様の後ろの観客達はが逃げ始めた。
 悪いけど、そこに構っていられないの!
 上手く逃げて!
 
「素晴らしい魔力だ! これだけの魔力、宮廷魔導師達をも凌駕するだろう! 見事だよ!」

 逃げ惑う観客達の声を気にする事もなく、相変わらず私を褒めてくれる。
 意図読めないけど、手心を加えるつもりはありませんよぉ!

「お褒めに預かり光栄ですぅ! これが私の全身全霊を賭けた……真紅流星爆発クリムゾンメテオエクスプロージョンですぅ!」

 視界を全て覆う巨大な炎の塊をバランディン様めがけて解き放った。
 具現化した巨大な炎の塊は風を巻き起こし、土煙を上げて爆音を轟かせながら進んでいく。
 既に逃げ道はない!
 勝ったわ!
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