食うために軍人になりました【一人称版】

KBT

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第五章

極秘会議

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「先ずはダウスター卿もシュナイデン卿も初参加故に全員の紹介を済ませておく。右から帝国軍軍隊司令長官のヴォルドン元帥、軍令部総長のヘルフォード元帥、軍務大臣のフェラース元帥、そしてウォーレイク元帥だ」

 帝国四元帥が勢揃いだ。
 ねちっこく睨んでくるヴォルドン長官と厳つい顔したヘルフォード総長、それと当然だけど我らがウォーレイク元帥は知っている。
 軍務大臣のフェラース元帥は初めてお会いするけど、口髭を貯えた知的な感じがする男性だ。
 腕組みをして目を瞑っているけど、嫌な感じはしないな。

「それから北方軍司令長官でもあるレッドウッド辺境伯と東方方面軍司令長官のジェニングス辺境伯。それから前回の競合戦優勝者のオリオール。そして、儂が帝国軍上級大将! ウィルバルト……」

「今はそんな場合じゃないだろ! あんたの事はいいからそっちの若造二人をここに呼んだ理由を説明しなっ!」

「そうだそうだ! こちとら暇じゃねぇんだぞ! 早く済ませろ!」

 オリオール様とレッドウッド辺境伯に名乗りを止められて若干しょんぼりしてる閣下……ちょっと可哀想だな。
 それより、あの方がジェニングス中将の父君であるジェニングス辺境伯か。
 険しい表情で鋭い目つきをしているのに美しさを感じさせる中将に負けず劣らずの美形だ。
 二人の肖像画でもあればきっと後世に残る名画になるんじゃないか?

「ぬぅぅ……西方方面軍管轄のダウスター領領主であるダウスター卿と同じくダウスター出身のシュナイデン卿だ! 此度の事態について情報を得るために呼んだ」

 此度の事態? 一体何の事だ? 

「ローゼンハイム閣下。その二人が今回の件に関わっている可能性は?」

 美形に相応しい美しくも威厳を感じさせる声でジェニングス辺境伯が問いかけた。
 腹が立つくらい完璧だな。
 呪われろ。

「それはなかろう。ダウスター卿はサンイラズ侯爵の寄子で、クラッセン辺境伯とは領地も離れており関係は疎遠だ。オーマンの時でさえ軍を派遣せぬ程にな。それとシュナイデン卿については軍への入隊から話題に事欠かぬ人物だ。隠す方が難しかろう」

「ふん! リクトが加担しているとしたら、とっくの昔に事を起こしているだろうぜ! こいつの戦力は大隊に匹敵する。俺だったら即行動に移すからな」

「ほぅ。レッドウッド辺境伯ともあろう人が、たかが中佐を高く評価したものだな」

「ヘルフォード総長もアレを見たらわかるさ。なんせ地形を変えられたせいで地図を作り直す羽目になったんだからなぁ~?」

 うっ……二年も前の事を今更持ち出すとは人が悪い。
 気にするなって言ったくせに!

「むっ! そうだ! 貴様はあの時にルーストレームを逃したではないかっ!? あれも此度の作戦の一部だったのではあるまいなっ!」

 相変わらずヴォルドン長官こいつは嫌な話しばっかりしやがる!
 だいたい『あれ』とか『此度の作戦』とか言われてもわからないぞ!

「ヴォルドンよ、それは話が飛躍し過ぎだ。そもそも共和国が関係している確証もない。下手に北を突いて騒ぎに便乗されては困るぞ」

 フェラース大臣はめっちゃ冷静だ。
 こうなってくると残念な元帥はヴォルドン長官だけって事か。
 ちょっと安心した。
 そういえばウォーレイク閣下は全然喋らないな。
 どうしたんだろ?
 何か考え込んでるみたいだけど?

「待て! 皆、話を急いてはならん。特にこの二人には話が見えておらぬのだ。先ずはそこから説明しよう。二人も座るがよい」

 促されて俺と子爵は空いている席に座った。
 それにしても重苦しい雰囲気だなぁ。
 これはまた結構やばい事があったんじゃないか。
 例えばまた誰かが叛乱を企てたとか……

「二人ともよく聞け。実は西のクラッセン辺境伯に謀反の疑いがあるのだ」
 
 俺の馬鹿ぁあああ!! 
 当ててどうするっ!?
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