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第五章
火花散る
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広間の扉の前で紅茶と菓子を載せたワゴンを持ったメイドが固まっていた。
近くで見ると怯えているかのように小刻みに震えていた。
何をやっているんだ?
「どうかしたのか?」
「あっ! だ、旦那様! も、申し訳ありません! 皆様にお茶をと思ったのですが……」
「それは御苦労だったな。しかし、ならば何故入らないのだ?」
メイドは言いにくそうに視線を逸らし、広間の方をチラチラと見ている。
どうやら広間が気になっているようだ。
「何か気になるのか?」
「その……気になると言いますか……なんとなく入りづらいと言いいますか……」
歯切れの悪い言い方だ。
言葉にするには憚られるような事なのか?
まぁ、どっちにしても俺は中に入らないといけないから考えても仕方ないか。
「わかった。なら、一緒に入るとしよう。それならば問題あるまい?」
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます! よろしくお願いします!」
メイドが何度も頭を下げてくる。
そこまで気にする事などないだろうに。
俺はゆっくり扉を開け……
「えっ……?」
自分の屋敷の広間に入った俺はメイドと同じように固まった。
そこには八人の女達が睨み合いをしているところだった。
ただならぬ雰囲気が部屋中に充満している。
メイドが入れなかった理由はこれか!
何をやってるんだ?
「卿らにもう一度問うぞ。シュナイデン男爵との関係はなんだ?」
「私達はただの使用人です。ヴォルガング少佐殿。旦那様の身の回りのお世話をさせていただいているだけです」
「ふぅん……ただの使用人ねぇ? そんな危なかっしい雰囲気の使用人なんて見た事ないんですけどぉ?」
「旦那様のお側にお仕えするのであればこれぐらいは当然の嗜みです。旦那様との訓練も欠かしておりませんしね」
「だ、旦那様との訓練っ!? お、お前達はいつも中佐と何をやってるんだ!?」
「だから訓練。昼も夜もガッツリバッチリ」
「ひ、昼も夜も……ですって! 貴女達は好きになれそうにありませんわね!」
「好かれようとも思っておりませんよ~旦那様のただの部下の方々程度とはね」
うぉぉぉぉ……な、なんだ?
なんでアリシア、ファンティーヌ、イリア、クリスティーヌの四人とテレシア、クラリス、エマ、ソフィアの四人が火花を散らしているんだ?
「っ! 失礼しました。旦那様。お見苦しいところをお見せしまして申し訳ありません。テレシア、クラリス、エマ、ソファア。ただいま到着いたしました」
「お、おぅ……悪いな、テレシアもクラリスも急に呼び出して」
「いえ、旦那様の御望みとあらばいつでもこの身を捧げる覚悟です。いつでもお求めになってください」
「うっ……そ、その言い方はちょっと……」
「旦那様、エマはまた旦那様の胸で寝たいです」
「エ、エマっ!? 胸で寝たいじゃなくて、胸を借りたいだろ!? 大事なところを間違うなよ」
「旦那様! また私とお付き合いしてくださいよ! 今度は旦那様より先にイッちゃわないようにすっから!」
「ば、ばかっ! お前が手合わせ中に気を失った事だろ!? お前達なんで今日はそんなに誤解を招く事ばっかり……はぅあっ!?」
背後からの殺気に背筋を冷たいものが伝うのがわかった。
「リクト……話がある」
「リッく~ん、ちょっとお姉さん聞きたい事があるんだけどなぁ~?」
「リ、リクト様……不潔です!」
「女の敵め」
キャアアアアアアア!!
だ、誰か助けてぇええええええ!!
近くで見ると怯えているかのように小刻みに震えていた。
何をやっているんだ?
「どうかしたのか?」
「あっ! だ、旦那様! も、申し訳ありません! 皆様にお茶をと思ったのですが……」
「それは御苦労だったな。しかし、ならば何故入らないのだ?」
メイドは言いにくそうに視線を逸らし、広間の方をチラチラと見ている。
どうやら広間が気になっているようだ。
「何か気になるのか?」
「その……気になると言いますか……なんとなく入りづらいと言いいますか……」
歯切れの悪い言い方だ。
言葉にするには憚られるような事なのか?
まぁ、どっちにしても俺は中に入らないといけないから考えても仕方ないか。
「わかった。なら、一緒に入るとしよう。それならば問題あるまい?」
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます! よろしくお願いします!」
メイドが何度も頭を下げてくる。
そこまで気にする事などないだろうに。
俺はゆっくり扉を開け……
「えっ……?」
自分の屋敷の広間に入った俺はメイドと同じように固まった。
そこには八人の女達が睨み合いをしているところだった。
ただならぬ雰囲気が部屋中に充満している。
メイドが入れなかった理由はこれか!
何をやってるんだ?
「卿らにもう一度問うぞ。シュナイデン男爵との関係はなんだ?」
「私達はただの使用人です。ヴォルガング少佐殿。旦那様の身の回りのお世話をさせていただいているだけです」
「ふぅん……ただの使用人ねぇ? そんな危なかっしい雰囲気の使用人なんて見た事ないんですけどぉ?」
「旦那様のお側にお仕えするのであればこれぐらいは当然の嗜みです。旦那様との訓練も欠かしておりませんしね」
「だ、旦那様との訓練っ!? お、お前達はいつも中佐と何をやってるんだ!?」
「だから訓練。昼も夜もガッツリバッチリ」
「ひ、昼も夜も……ですって! 貴女達は好きになれそうにありませんわね!」
「好かれようとも思っておりませんよ~旦那様のただの部下の方々程度とはね」
うぉぉぉぉ……な、なんだ?
なんでアリシア、ファンティーヌ、イリア、クリスティーヌの四人とテレシア、クラリス、エマ、ソフィアの四人が火花を散らしているんだ?
「っ! 失礼しました。旦那様。お見苦しいところをお見せしまして申し訳ありません。テレシア、クラリス、エマ、ソファア。ただいま到着いたしました」
「お、おぅ……悪いな、テレシアもクラリスも急に呼び出して」
「いえ、旦那様の御望みとあらばいつでもこの身を捧げる覚悟です。いつでもお求めになってください」
「うっ……そ、その言い方はちょっと……」
「旦那様、エマはまた旦那様の胸で寝たいです」
「エ、エマっ!? 胸で寝たいじゃなくて、胸を借りたいだろ!? 大事なところを間違うなよ」
「旦那様! また私とお付き合いしてくださいよ! 今度は旦那様より先にイッちゃわないようにすっから!」
「ば、ばかっ! お前が手合わせ中に気を失った事だろ!? お前達なんで今日はそんなに誤解を招く事ばっかり……はぅあっ!?」
背後からの殺気に背筋を冷たいものが伝うのがわかった。
「リクト……話がある」
「リッく~ん、ちょっとお姉さん聞きたい事があるんだけどなぁ~?」
「リ、リクト様……不潔です!」
「女の敵め」
キャアアアアアアア!!
だ、誰か助けてぇええええええ!!
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