食うために軍人になりました【一人称版】

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第六章

魔族の国

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「ちょ、ちょっと待ってくれ! ラ、ライブランド王国は人口4000万、兵力はおよそ150から200万の大陸屈指の大国なんだぞ!? それが敗れた? ア、アマナ王国ってそんな大国だったのか?」

「ん? そんな事ないよ。アマナ王国は150万くらいだから、国力的に見れば小国じゃないかな?」

 だったら敗れる理由がないじゃないか!
 人口150万って、ライブランドの兵力と同じくらいって事だろ?
 それでどうやって負けるってんだよ!

「……本当にライブランドが敗れたのか?」

「しつこいなぁ~、疑ってばかりじゃモテないぞ? アマナ王国は魔族が住んでる国だって言っただろ? 魔族は人間より戦闘力が高いんだから当然だよ」

 いくら魔族が強いと言っても兵力差があり過ぎる。
 そんなに魔族ってやつは強いのか?

「アマナ王国の兵力ってどれくらいかわかるか?」

「ん? 10万くらいかな?」

「た、たった10万っ!? 兵力差は単純計算でも15倍だぞ?」

「あのね~【下位種レッサー】でも普通の人間の10倍は強いんだよ? そこに【中位種ミドル】や【上位種グレーター】が参戦してみなよ。【中位種】は【下位種】の10倍、【上位種】に至っては最低でも【中位種】の10倍だよ」

 それって【上位種】は最低でも兵士1000人分の強さってことか?
 一騎当千って言葉は知ってるが、どうにも信じられない。
 騙されてるのか?
 フォルネアがフェンドラの工作員で俺に偽情報を流そうとしてるとか……いや、それはないな。
 いくら何でも手が混み過ぎてるし、目的がない。
 俺を殺そうとして助ける意味も、ここで偽情報を流す意味も殆どない。
 って事は、愉快犯……ってのも考えにくいな。
 でも、フォルネアの言う事も信じ難いし……

「ま~だ疑ってるぅ~しょうがないなぁ。じゃあ、僕と戦ってみたらいいよ」

「えっ? 俺とフォルネアがか?」

「そうだよ。魔族の【上位種】の力を身をもって教えてあげるよ。こう見えても昔はそれなりに強かったんだからね!」

 強かったって……いくら何でも少女みたいなフォルネアと戦えないぞ。
 まだ俺が弱いと思ってるのか?
 
「フォルネア。俺はこう見ても帝国軍では……」

「ほら、ボーっとしてていいの?」

 っ!? な、何っ!?
 いつの間に間合いに入ってきたんだ!?
 全然気がつかなったぞ!

「がら空きじゃん。ほいっ」

 フォルネアが細い腕でパンチを打ってくる! 何で見えているのに避けれないんだよ!

「ぐっ!?」

 お、重い……なんて重い拳だ。
 拳がめり込んで背中まで届いてるような……い、意識が飛びそうだ……

「ほらね。人間としては最強レベルの君が手加減したパンチ一発でこのダメージだよ? 人間の雑兵が相手になると思う?」

 な、なるわけがない……
 普通の兵士がこのパンチを受けたら跡形もなく肉片となって飛び散るぞ。
 こ、これが魔族なのか……
 ライブランドが敗けたのも納得できる。

「くっ! はぁはぁ……」

「それにしても君はやっぱり強いよ。死んじゃうかと思ったのに、立ち上がってくるんだもん。見どころあるよ、君ぃ~」

「そ、それはどうも……なら、次は俺の番だ!」

 この後、威勢よく向かっていった俺だったが、結局完膚なきまでに叩きのめされた。
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