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第七章
久しぶりの再会
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「ウォーレイク閣下。どうやら、儂は貴殿のことを侮っていたようである。無作法をお詫びするのである」
グランツが頭を下げ、護衛の女、シラナも頭を深々と下げた。
だが、張本人のガルヴァンは不服そうに顔を逸らしただけ。
なるほど。
さっきの茶番はグランツの策略で、ガルヴァンは矢面に立たされただけというわけか。
「最初に言った通り、無用な腹芸をしている場合ではありません。同盟の締結をする、しないをこの場でお答えください。解答なければ反対と見做します」
「ルークリア共和国は同盟締結に賛成します。胸襟を開いて言うなら、我々にはそれ以外、生き残る道はありませんから」
「フェンドラも同意するのである。儂は国王陛下より軍事に関しては全権を任されているので、この場で調印することも可能である」
「結構です。では、こちらの盟約状に署名を」
差し出された盟約状にサウデンベルクとグランツが署名し、最後にウォーレイク閣下が署名をした。
これで、長きに渡り敵対してきた三国が初めて同盟国となったのだ。
多少の感慨深さはあるが、複雑な気分の方が大きいな。
所詮、敵の敵は味方の関係でしかないのだ。
事が収まれば、また敵となるだろう。
そう考えると、あまり歓迎する気にもなれない。
「これでヴァランタイン帝国、ルークリア共和国、海洋国家フェンドラの同盟は成されました。それで、早速なのですが同盟国たる貴国達にお聞きしたいのですが、アマナ王国に勝てるとお思いですか?」
「それは……私どもの国の現状を見ればお分かりでしょう。三国が揃って戦ったとして、分けるのが精一杯ではないかと愚考します」
「それは確かに愚考であるな。奴等の戦力がいかに強大でも、我ら海神十二将、ルークリアの百勇士、そしてヴァランタインの英雄達が揃えば恐るるに足りんのである」
「それはあまりにも楽観し過ぎです! 百勇士第三席、ダインが一撃で屠られたのですよ! 奴等の戦力を軽視してはなりません!」
「ダイン殿、そして敵の将を軽視してはおらぬよ。だが、その者がおそらく敵の最高戦力であるなら、総員でかかれば倒すことも可能であろう。まして、ルークリアは和平を望んでいたところを襲われたと聞く。つまり、不意打ちさえされ無ければ、我らにも勝機はあるのである」
「しかし、それは……っ!」
やれやれ、サウデンベルクとグランツの問答は聞いていられないな。
サウデンベルクは国を壊滅に追い込まれたからか、過剰なまでに敵を警戒しているようだし、逆にグランツは情報は得ているものの、敵戦力を己の理解の範囲内でしか考えていないだ。
おそらくだが、奴は敵の力量を一年前のリクトと同程度と考えているのだろう。
碧海のグランツと呼ばれ、フェンドラ一のキレ者と聞いたが、この程度か。
「お二人とも、落ち着いてください」
「しかし、ウォーレイク元帥! グランツ様はあまりにも敵を甘く見ておいでだ!」
「いやはや、サウデンベルク殿は祖国を攻められた事で、敵の力量が過大に見えている様である。心情は理解できるが、戦力は正確に見極めねばならんのである」
「お二人の言い分、ごもっともです。ですので、私はアマナ王国の事をよく知る人物をここに呼んでいるのです。お会いになりませんか?」
っ!? つ、遂にかっ!?
遂に来るのかっ!?
「アマナ王国をよく知る人物、ですか?」
「ええ、お二人とも驚かれるとは思いますが、害はない事はお約束しますので」
害はない?
ああ、そうか。
リクトはルーストレームの魔眼で死にかけたし、フェンドラは一年前に直に襲われている。
怒って当然だ。
しかし、同盟を組んだとあれば、我慢してもらうしかない。
な、なんなら、私が抱きしめて押さえても……ふふふっ。
「……何やら不気味な者もおるが、敵の戦力を正確に知るのは必要であるな。呼んでくださって結構である」
「私も構いません」
「では、お願いします」
閣下が声をかけると、一呼吸おいてから奥の扉がゆっくりと開いた。
おおっ! その肩で風を切るような歩き方は堂々していて、靡く長い金髪が一層の迫力を……金髪?
グランツが頭を下げ、護衛の女、シラナも頭を深々と下げた。
だが、張本人のガルヴァンは不服そうに顔を逸らしただけ。
なるほど。
さっきの茶番はグランツの策略で、ガルヴァンは矢面に立たされただけというわけか。
「最初に言った通り、無用な腹芸をしている場合ではありません。同盟の締結をする、しないをこの場でお答えください。解答なければ反対と見做します」
「ルークリア共和国は同盟締結に賛成します。胸襟を開いて言うなら、我々にはそれ以外、生き残る道はありませんから」
「フェンドラも同意するのである。儂は国王陛下より軍事に関しては全権を任されているので、この場で調印することも可能である」
「結構です。では、こちらの盟約状に署名を」
差し出された盟約状にサウデンベルクとグランツが署名し、最後にウォーレイク閣下が署名をした。
これで、長きに渡り敵対してきた三国が初めて同盟国となったのだ。
多少の感慨深さはあるが、複雑な気分の方が大きいな。
所詮、敵の敵は味方の関係でしかないのだ。
事が収まれば、また敵となるだろう。
そう考えると、あまり歓迎する気にもなれない。
「これでヴァランタイン帝国、ルークリア共和国、海洋国家フェンドラの同盟は成されました。それで、早速なのですが同盟国たる貴国達にお聞きしたいのですが、アマナ王国に勝てるとお思いですか?」
「それは……私どもの国の現状を見ればお分かりでしょう。三国が揃って戦ったとして、分けるのが精一杯ではないかと愚考します」
「それは確かに愚考であるな。奴等の戦力がいかに強大でも、我ら海神十二将、ルークリアの百勇士、そしてヴァランタインの英雄達が揃えば恐るるに足りんのである」
「それはあまりにも楽観し過ぎです! 百勇士第三席、ダインが一撃で屠られたのですよ! 奴等の戦力を軽視してはなりません!」
「ダイン殿、そして敵の将を軽視してはおらぬよ。だが、その者がおそらく敵の最高戦力であるなら、総員でかかれば倒すことも可能であろう。まして、ルークリアは和平を望んでいたところを襲われたと聞く。つまり、不意打ちさえされ無ければ、我らにも勝機はあるのである」
「しかし、それは……っ!」
やれやれ、サウデンベルクとグランツの問答は聞いていられないな。
サウデンベルクは国を壊滅に追い込まれたからか、過剰なまでに敵を警戒しているようだし、逆にグランツは情報は得ているものの、敵戦力を己の理解の範囲内でしか考えていないだ。
おそらくだが、奴は敵の力量を一年前のリクトと同程度と考えているのだろう。
碧海のグランツと呼ばれ、フェンドラ一のキレ者と聞いたが、この程度か。
「お二人とも、落ち着いてください」
「しかし、ウォーレイク元帥! グランツ様はあまりにも敵を甘く見ておいでだ!」
「いやはや、サウデンベルク殿は祖国を攻められた事で、敵の力量が過大に見えている様である。心情は理解できるが、戦力は正確に見極めねばならんのである」
「お二人の言い分、ごもっともです。ですので、私はアマナ王国の事をよく知る人物をここに呼んでいるのです。お会いになりませんか?」
っ!? つ、遂にかっ!?
遂に来るのかっ!?
「アマナ王国をよく知る人物、ですか?」
「ええ、お二人とも驚かれるとは思いますが、害はない事はお約束しますので」
害はない?
ああ、そうか。
リクトはルーストレームの魔眼で死にかけたし、フェンドラは一年前に直に襲われている。
怒って当然だ。
しかし、同盟を組んだとあれば、我慢してもらうしかない。
な、なんなら、私が抱きしめて押さえても……ふふふっ。
「……何やら不気味な者もおるが、敵の戦力を正確に知るのは必要であるな。呼んでくださって結構である」
「私も構いません」
「では、お願いします」
閣下が声をかけると、一呼吸おいてから奥の扉がゆっくりと開いた。
おおっ! その肩で風を切るような歩き方は堂々していて、靡く長い金髪が一層の迫力を……金髪?
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