鑑定能力で恩を返す

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第二章

異種族結婚

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「す、すいません、無神経なことを……」

 サトは慌てていたが、リサは軽く笑っただけだった。

「気にしないでいいのよ。考えてもみてよ? エレンちゃんが100歳越えてるのよ? 人間の旦那が生きてるわけないよ。寿命が違うんだから仕方ない……」

「それはそうかもしれませんけど……」

 気にしたような表情のサトにリサははにかむようにため息を吐いた。

「人間のあの人を愛した時に覚悟もしていたわ。でないと添い遂げる事なんて出来ないわよ。異種族と付き合うってそれだけ大変な事なのよ。だから永遠の別れが来たとしても後悔はしてないわ」

 生活、文化、寿命など現代社会における国際結婚以上の障害が存在する。
 それを乗り越えるには生半可な覚悟では到底為し得ないのだ。

「貴方の周りにも色んな娘がいるみたいだけど、どの娘を選ぶにしても簡単に選んじゃダメよ? 特にっ! エレンちゃんを泣かせたら、末代まで呪うからね」

「の、呪うって……それに俺は結婚するつもりはありませんから」

「あら? どうして?」

「エレンさんから聞いてると思いますけど、俺は迷い人、つまり異世界から来た人間なんですよ。だから、なんて言うか……」

 サトは臆病と言っていいほど慎重な男だった。
 生来そうだったわけではないが、見知らぬ世界に来た事で物事を決める際には慎重にならざるを得なくなっていた。

「迷い人だって別にいいじゃない。貴方の価値はそんなところにはないわよ」

「でも、もし俺と結婚した事でエレンさん達が不幸になったら……」

「そんなの貴方が迷い人って事に関係あるの? それとも不幸にする気でもあるの?」

「そんなわけないですよ! ただ、大切な人には幸せになって欲しいじゃないですか……」

 愚痴愚痴ともどかしいサトに苛立ちを覚え始めていたリサだったが、これまでのサトとのやりとりを思い返して全てを察した。
 サトは義理堅い完璧主義者なのだ。
 異世界から来た自分に優しくしてくれた人全員の幸せを願っているが、その分、少しの隙も許せないのだ。
 特にロンメルに対しては強い恩義を感じているが故に他の何を差し置いても尽くそうとする。
 他の4人の娘に対しても幸せを願っているもののその中に自分は含まれていないのだ。
 自分が異世界人なせいで幸せを壊してしまうんじゃないかと心配しているのだ。
 
「はぁ……私の心配は杞憂だったようね。いえ、寧ろ別の心配が出てきたわ」

「何の話ですか?」

「エレンちゃん達が大変だなって話よ。まぁ、軽率な男よりはマシかしら? でも奥手過ぎるのも困るわね。うーん、どうしようかしら」

「何がですか?」

「要は迷い人でも大丈夫って事がわかればいいわけよね……サトちゃん、私と子どもつくってみない?」



 
 
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