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第6章 願わくば桜の下にて……
しおりを挟む静かだ。
絹糸のような細い雫が音もなく降り注ぐ。
ほころび始めた桜を濡らし、頬を撫でる風の冷たさに小さく震えた。
「さむぅぅ……」
――寒の戻りというヤツである。
なんとなく気まずくて夏樹とは話をするどころか目を合わせる事さえできない。紅葉は縁側で膝を抱えて背中を丸めてつま先を睨んだ。
(あの日もこんな風に雨が降ってたのよね……)
天気雨――狐の嫁入り。
自分を差し置いて話が進んでいくのがなんとなく嫌だった。
あのままお嫁入したらどうしていたのかと思案して――
「……最悪だわ」
亭主関白、えっらそうにふんぞり返ったあいつの姿が思い浮かんで紅葉は思いっきりひきつった笑顔になる。
「あいつに嫁入りなんてないない!」
大きく頭を振ってあいつの姿を頭の中から追い出す。
(ちょっと、何を弱気になってるのよ!? 自分のお婿さんぐらい自分で見つけるわよ! あいつに嫁入り!? ないない!)
目を吊り上げて立ち上がる。
(見られた以上、責任は取ってもらわねば!)
拳を握って決意を新たにした。無理やリテンションを引き上げた紅葉に近づいてくる気配には全く気付けなかった。
「――紅葉さん」
「はっ、はいぃっ?」
声を掛けられて文字通り飛び上がらんばかりに驚いた。そこに立っていたのはいつも通りにっこり笑顔の夏樹だ。
「よかった、母さんが当日の着物を選んで欲しいって」
「着物?」
「当日は一緒に野点の手伝いをしてもらいたいみたいでね」
「は? 『のだて』ってなんですか?」
「外でやるお茶会だよ。桜祭りで氏子さんや近所の人にお抹茶を振る舞うんだよ。茶室でやるほど格式ばったものじゃないし……」
(そんなこと、やったことありません!)
情けない顔で眉根を寄せる紅葉を気遣うように柔らかく笑う。
「紅葉さんは母さんの横でにこにこしてたら十分だよ」
――なんてことはなかったのだ。
場所は雨だれの音だけが響く茶室。
床の間の花瓶には白い水仙が生けられている。
「じゃぁ、次は紅葉さんの番ね」
茶筅を手ににっこり笑ったのは優菜さん。お客さん役は呼びつけられた夏樹だ。
「あたし、やったことないですけど……」
ごそごそと座り直しながら少しひきつった笑いを向ける。
(――やばい)
そっと足先をさすって冷汗が噴き出した。
(これも、こんなに長時間やったことがないんですが……!)
「大丈夫よ。さっきやって見せた通りにお抹茶を入れて、茶筅で混ぜるだけ。簡単でしょ?」
「は、はぁ……」
(そろそろ、限界かも……!)
にっこり笑う優菜に指示されるまま紅葉がお点前を披露する番だ。
棗から抹茶を掬って震える手でお湯を注ぐ。そして茶筅を摘まみ上げた。
小さな泡立て器のようなそれを摘まみ上げて神妙な顔になる。
(これで、混ぜるのよね)
ちらちらと優菜の顔をうかがってにっこり笑うのを確認して手を動かす。
しゃか、しゃか。小気味よい音。
(――あれ、楽しいかも)
そして調子に乗り過ぎた。
「紅葉さん。そんなに泡立てたら……」
戸惑った優菜の声ではたと我に返った。茶碗の中は緑のカフェラテ状態。
「まあ、これはこれで……」
困ったような優菜の隣で紅葉はもそもそと体を動かしている。
お人形のように大人しく座っているのも――そろそろ限界だ。
なぜなら――足の感覚がない。
(しかも、指先がピリピリとする)
「折角のお点前ですもの、夏樹に味見してもらいましょうね」
立ち上がろうと畳に手をついた状態でそのまま固まった。
(――無理。動けません)
「紅葉さん?」
不自然な格好で固まった紅葉に小首をかしげたのは夏樹だ。
(いや、このままはマズい。ちゃんとできる嫁をアピールせねば!)
どうにか笑顔で誤魔化して立ち上がった――はずだった。
手から滑り落ちた茶碗が畳に転がる。
足がもつれてすっ転ぶ変わりに目の前の人物に抱き着いてしまった。
(――――!!)
とたん鼓動が跳ね上がる。
夏樹の方は咄嗟に抱きとめて目を丸くしている。
(重ね重ね、ごめんなさい!)
紅葉は慌てて飛び退こうとした。が、困ったことに痺れた足は踏ん張りがきかない。今度はずるずると畳にへたり込んだ。
心配そうにのぞき込む顔に更に鼓動が跳ね上がる。
(顔、近い!)
「あ、足が……!」
(足がしびれて動けません。あたしにお茶は向いてないかも!)
卯月の声と共に桜が綻び、枝に囀る小鳥の声。
頬を撫でる風も穏やかで絶好のお花見日和。
「紅葉さん、今日はよろしくね」
笑顔で張り切った優菜さんに朝から紙を結い上げてもらい、着付けをされてきりきりと帯を締め上げられた。今日の衣装は薄紫の小袖。動くたびに根付の鈴がちりんと涼やかに鳴る。
――口を噤んでさえいれば立派な若奥様!
(自分でもびっくり、衣装でこんなに変わるのね。中身はキツネのなんだけど……夏樹さん喜んでくれるかな?)
「どうですか?」
袖を広げてにっこり笑って夏樹へお披露目。少し目を細めて素直に褒めてくれた。それから少し申し訳なさそうな顔になって、「今日は大変だろうけどよろしくね」と声をかけてくれた。
(はい。ちゃんとお手伝いししますよ。お茶を点てる以外で!)
何度試したのだが、足のしびれには勝ってなかった。
(お客さんに運ぶ係があたしということになった。抱き着くのは夏樹さんだけで十分です)
ほめられて機嫌よく境内に回ると一足先にごあいさつ回りに言っていた優菜さんに笑顔で手招きされた。
(なんだろう?)
小首をかしげて近づくと、両手でぐいと腕を引かれた。
(え?)
目の前には緋毛氈をかけた床几台にちんまり座った笑顔の見知らぬおじいちゃんとおばあちゃん。
(誰?)
どうやら神社の氏子さんのようだが――当然、知らない人である。
優菜にぐいと、両手で肩をつかまれ紅葉は見知らぬ人の前で必死にひきつる顔を押さえつけて笑顔になった。
「こちらは紅葉さん、今日は私のお手伝いをしてくださるのよ。事情があってうちでお預かりしているお嬢さんなんですけどね――」
「かわいらしいお嬢さんで、夏樹さんのお嫁さんかい?」
「将来が楽しみだねぇ」
「でしょ? 可愛いの。お点前も上手でね。紅葉さんこのままうちのお嫁さんになっちゃってほしいくらい」
思わずにんまりして頭に耳が出そうになって慌てて引っ込める。
(キツネとバレちゃいけない!)
「夏樹がダメなら重広も一樹もいるし、うちは男ばっかりだから選びたい放題よ。このままうちにお嫁に来ちゃえばいいのに」
しっかり外堀を埋めて優菜が微笑む。
(なんて素敵なお誘い。でも知らない名前の人もいるんですけど、誰ですか? お婿さんを探すために家出したのは確かなんだけどね)
目を丸くした紅葉をほったらかしにして優菜さんとおばあちゃんたちはしっかり盛り上がっている。そこに水を差しに来たのは遅れて来た夏樹だ。
「母さん、紅葉さんは今日はお手伝いしてもらうだけでしょう? 困らせちゃダメですよ」
「お点前も筋が良かったし紅葉さんがお嫁さんに来てくれたらうれしいなって話をしてただけよ。怒んなくったっていいじゃない」
「ごめんね、うちは男しかいないからデリカシーが無くて。紅葉さんは立派なお嬢さんですよ僕よりいい人がいるかもしれないのに失礼だよ」
この場で一番冷静なのは夏樹だったようで、舞い上がる優菜にくぎを刺して渋い顔になる。
(いえ、いつでもお嫁に参ります!)
――などと言えるわけがない。夏樹は当たり障りのない話題で丁寧に話を丸く収めて挨拶をする。
(改めて見るとかっこいいかも……)
夏樹は朝に会った時は紫の袴だった、今は神主としての正装に着替えている。紋を織り込んだ薄い緑の狩衣と水色の袴。烏帽子姿が凛々しく見える。
「あら、お菓子が足りないみたい。紅葉さん母屋から持ってきてくださる?」
(もう少し、夏樹さんを見ていたいけど、今日はお手伝いだからしょうがない)
名残惜しい気分で笑顔で声を返して、母屋へ向かって小走りに駆け出したところだった。気分を一変させるそれがいたのは。
「――グズ紅葉。こんなところで何してんだ?」
幼いころから嫌というほど聞きなれた声。聞き間違うわけがない。
有無を言わさず腕をつかんで引きずるように社務所の影に引っ張り込まれた。
(誰っ? まさかキツネさらい!?)
「あんたこそ、何しに来たのよ?」
紅葉の二の腕をつかむそれを振り払い、半眼で睨んで声のトーンを下げた。
(こいつに愛想を振りまく必要はない!)
間近にあるのは細く眇められた金色の目。さらりと癖のない銀色の髪。灰鼠色の着物を着たすらりとした長身の男。見た目は悪くない。
頭にはぴんと三角の耳。――キツネだ。名前を千秋という。ほんの少し早く生まれた紅葉の幼馴染みで元許嫁。
紅葉の家出の原因が――偉そうに――そこに居た。
(あんたにだけは会いたくないんですが!)
睨んだ紅葉を斜めに見下ろして千秋は鼻を鳴らす。
「嫁ごっこか? 尻尾を出す前にさっさと帰ってこい」
「誰があんたの言う事なんか聞くもんですか!」
(そんな間抜けな事、誰がしますかい!)
紅葉は鼻息荒くあっかんべーをしてやる。
「肝心なところで失敗してべそかくのはお前だろうが。そんなドジでグズなお前を嫁にしてやるんだ」
「誰も頼んでないしー」
「百年嫁の貰い手がなかったんだ。誰の嫁になっても同じだろう?」
(出た、この嫌味!)
「あんた以外ならあきらめて嫁に行ったかもしれないけどね。あんたも女の子にモテるくせに何であたしに執着するの? 好きな子を見つけて結婚すりゃいいじゃないの」
そう、こいつは見た目だけはいいから女の子には不自由していない。
(なぜか小さい頃からあたしにだけ意地悪をしてくる嫌な奴なのだ!)
「嫁の貰い手のないお前はどうするんだ?」
「大丈夫。あたしはここでうまくやってるから。さっきだってここのお嫁さんにならないかって誘われてるの」
「――親父さんもしょんぼりしてるぞ」
ぐっと言葉に詰まった。
それを言われると心の奥がちりりと痛む。
(家出したこと後悔してない訳じゃない。でも、自分のことは自分で決める)
「出て行けって言ったのはあっちの方でしょ、謝らないからね!」
「どっちも強情だな」
腕組みをしてそっぽを向く紅葉に千秋はため息をついた。
「正体がバレたらどうするつもりだ? バケモンだぜ、俺ら」
「――どうにかするわよ」
言葉に詰まった紅葉を一瞥して、千秋は何か言いかけて何かを思案するように口を閉ざした。
目の前のことに夢中でこちらへ近づいてくる気配に気づくことはなかった。
さくっと玉砂利を踏む音が近づいている。
「――紅葉さん?」
(夏樹だ)
紅葉は飛び上がらんばかりに驚いて振り返る。軽く眉根を寄せ困ったような顔をしている。ゆっくり一呼吸分遅れて思い出した。
(そういえばお菓子を頼まれてたんだった!)
母屋に向かう途中で千秋に引きずられたのだ。戻ってこないので心配してくれたのだろう。
「話し声が聞こえたんだけど誰か知り合いの人でもいた?」
「独り言です!」
(言えません!)
とても独り言とは思えない声量だったろうが無視する。
何より千秋の姿を見られるわけにはいかなない。
慌てて両手で夏樹の背中を押して歩き出した。刹那、風が立ち。ざざと木立が揺れて木の葉が舞う。
肩越しに振り返ったそこに千秋の姿はなかった。
(あんたこそ見られたらヤバイいでしょ!)
桜というのは一日の内で表情をいくつも変える花なのかもしれない。
昼間は抜けるような青空に初々しい薄紅を陽光を浴びて誇らしげに煌めく。
夜になると月明かりに照らし出されて淡く光を纏うような妖艶な美しさがある。
「夜桜も素敵ですね」
満開の枝垂桜を見上げて紅葉の華やいだ声。
「あと数日もすると散り始めて綺麗なんだけど、掃除が大変なんだ」
「それは褒めてるのかけなしてるのか分からないです」
優菜の指示でいそいそと手を動かしながら夏樹が答える。
今日の晩御飯は特別だ。
(夜桜ってのは何度か見た事はあるけれど……)
紅葉にとって食事をしながらの夜桜見物は初めてである。
「今日の晩御飯は桜祭りの打ち上げを兼ねてお花見にしましょう」
お茶会で使った床几台にお茶セットの代わりにおいしそうな料理を詰め込んだお重やお酒を並べて優菜が笑う。
「お疲れ様。今年は紅葉さんがいてくれたおかげで助かったわ。たくさん食べてね。うちは男の子ばかりだし、手伝ってくれるにしても華やかさに欠けるもの」
海苔巻きをよそってくれながら優菜が笑う。
「実はね、今年は桜祭りは中止にしようかと思ってたの」
「桜がこんなにきれいに咲いてるのにどうしてですか?」
「うちの神社も人手不足でね。夏樹だけじゃ氏子さんのお相手も大変だし、桜にはかわいそうだけどお休みにしようと思ったの。うちの人も長男も他所の神社の手伝いに行ってて戻れないって言うし」
紅葉は意味が分からず小首をかしげた。
(ん? どういう事?)
「少子高齢化のせいで担い手のいない神社の管理を手伝ってるんだ。ここは僕が居残りで神主やってる」
「それで人がいないんですか」
どうして夏樹が神主をやっているのかようやく納得した。ここにいないのは何やら紅葉には分からない事情があるらしい。
「そういえば紅葉さんのご家族はどうされてるの?」
(化けキツネの元締めやってます! ……なんて言えるわけがない!)
家族。
売り言葉に買い言葉。
喧嘩して家出してきましたなどとは口が裂けても言えない。
「元気ですよー」
紅葉は少しひきつった笑顔で差し障りのない事だけを答える。
(千秋は父さんがしょげてるって言ってたけどあたしを連れ戻すためのお芝居かも知れないし、うるさい娘がいなくなったってぴんぴんしてるわよ。でも母さんには……悪い事しちゃったかな)
そんなことを考えてるとは知らない優菜は夏樹に視線を投げて頬に手を当てにっこり微笑む。
「紅葉さんさえよければいつでもお嫁入してくれてもいいのよ」
「―――母さん。そうやって紅葉さんを困らせちゃダメだって」
睨む夏樹を横目に紅葉は海苔巻きを口に放り込んだ。
(きっとお腹が減ってるから悪い方に考えるのよ! おいしい物しっかり食べなきゃ)
お皿の上の稲荷ずしを見て昼間に現れたあいつを思い出した。
(わざわざ連れ戻しに来たなんてどういう風の吹き回し? 千秋って根に持つタイプだからこと嫁入りの事をほったらかしという訳にはいかないわよね……どうしよう)
――紺色の空、浮かぶは十六夜の月。
月明かりが柔らかに降り注ぐ。
隣の夏樹からはほんのりお酒の匂い。
(気を利かせた優菜さんのお陰で二人っきりのデートだ)
「紅葉さんも一緒にどう?」
(待ってました!)
夏樹の声にすぐに飛びついた。
赤い江戸切子の酒杯に透明な液体がたっぷりと注がれるのを目じりを下げて見守って、口を付けて細く息を吐く。
久しぶりの味にとろけそうな笑顔。
(さすが大吟醸。おいしい)
さらりとしていて後口はほんのり甘い。
気がつけば四合瓶が空っぽに。
乾いた喉に潤いを……調子に乗った。
少し湿った土の匂いのする柔らかな風が火照った頬をひんやりと撫でて通り過ぎる。
夏虫ほどではないが気の早い虫の声が聞こえる。
「月が綺麗ですね――って、夏目漱石だっけ、知ってる?」
お酒のせいか、夏樹がほんの少し頬を赤くして笑う。
問われて紅葉はこてりと首を傾げた。
(困った……意味が分からない。でも、何か答えた方がいいのよね)
紅葉も同じように月を見上げて思案する。
沈黙に、さやと、風が流れた。
(月が綺麗だって聞かれてるんだから、綺麗だって答えたらいいんだよね)
「……お月様は今も昔も変わらず綺麗です」
素直に感想を答えたのに夏樹はわずかに目を見張る。
(もしかして、何かマズい事言った!?)
「――――?」
紅葉を見つめたまま、夏樹が小首をかしげた。
――視線がかみ合わない。夏樹の視線は紅葉の少し上を見ているのだ。
夏樹は酒杯を置き、目をしばたたかせて、のろのろと手を挙げて目をこする。
「なんですか? 私の顔に何かついてますか?」
「いや、なんか変なモノが……呑みすぎかな?」
視線の意味が分からないまま、なんとも言えない空気が流れた。
(頭の、上……?)
はっと気づいて頭を抱え込むように手を挙げた。
ふわりと髪の毛とは違う柔らかな感触に酔いがふっ飛んだ。
(ヤバい!!)
「――飲み過ぎですよ」
困った顔で笑う夏樹に空になった酒瓶に視線を送って笑う。
(油断大敵! 飲み過ぎは、いけません!!)
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