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23アルフィーの苦手なもの
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制服に着替えが終わった私は再び訓練場に戻っていた。
そこでは、丁度アルフィー殿下が兄でもある団長と剣を交えている所だった。
どちらも王族同士だからか手加減なんてしていない。
どうやら団長は風魔法が得意のようで無数の刃をその剣から繰り出していた。
魔力を剣に付与しながら戦えるかどうかで魔法騎士の中での位置付けが変わる。
瞬時に魔法を剣に付与させる為には緻密な魔力コントロールを要するからだ。
対するアルフィー殿下は水魔法で防御している。
どう見ても防戦一方のアルフィー殿下に勝ち目はない。
魔力と言うよりは命を掛けた実戦馴れしているかどうかが二人の戦闘能力に差をつけているのだろう。
傍目に見ても魔力量はそんなに変わらないのだから。
そんな事を思っていると団長が一歩アルフィー殿下の方へと足を踏み入れた。
「あっ」
瞬きをする僅かな時間で団長の放った剣がアルフィー殿下の剣を弾き飛ばし、その功いでアルフィー殿下の張っていた水魔法の結界が揺らぎ、アルフィー殿下の服の上から無数の擦り傷を作る。
「くっ」
悔しそうに片膝を着くアルフィー殿下。
「勝負あったな。強くなったなアルフィー」
アルフィー殿下に致命傷を与える前に魔術を解除した団長がアルフィー殿下に労いの言葉をかける。
負けた方のアルフィー殿下は悔しそうに団長を見上げた。
そんなアルフィー殿下に団長は手を差し伸べる。
一瞬の沈黙の後団長の手を素直に取ったアルフィー殿下は
「ありがとうございました」
と一礼すると、私達の居る方へと歩き出した。
怪我を治して貰うんじゃないの?救護班とは別方向だよ。
どう見てもズタボロのアルフィー殿下。
遠くからは
「「「アルフィーでんかぁ~お怪我お治し致しますぅ~」」」
と黄色い声が響く。
すると、アルフィー殿下の歩く速度が増した。
どう見ても団長に負けた時以上に眉間にしわを寄せている。
「お怪我をお治しますわよぉ~」
と尚も声をかける令嬢方。
それにより更に歩く速度を上げるアルフィー殿下。
えっと……つまり、私達の方へと逃げて来ると言う事だほうか?
遠くから「アルフィーでんかぁ~どちらへ~?」と甘い声が聞こえるけど、その声が聞こえた瞬間にアルフィー殿下の顔が更に青くなった。
「ん~。何となく察し」
傷だらけのアルフィー殿下に近付き軽く手をかざし『癒しの』と『修復』と小さく呟く。
すると、アルフィー殿下の体が光に包まれたと思うや、切り傷だらけの体も服も何もなかったこのように修復されていく。
「ルーク。お前……」
隣で見ていたジルベルトは直ぐに気付いた。
「何?」
振り替えると
「何でもない」
とそっぽを向かれる。
アルフィー殿下が私達の所に着く頃に、後ろから数名の令嬢方がアルフィー殿下に追い付きアルフィー殿下の袖を掴んでいた。
「お怪我をお直し致しますわ。さぁこちらへ」
そう言って手を引く令嬢方、でも
「どこも怪我なんてしていないよ。離して下さい。不愉快です」
辛口対応のアルフィー殿下。
けど、傷もなければ服も破けておらず。
それに気付いた令嬢方は顔を青くした。
「申し訳ございません。私達の見間違いでした」
と頭を下げて走り去る令嬢方。
どんな勘違いにしろ王子を呼び止めて袖を引っ張るなんて確かに、不敬だもんね。
それに、あからさまにアルフィー殿下は嫌がっていたし。
「そんなに嫌なの?可愛い子達だったのに」
ボッチのようだからもしかしてとも思っていたんだけど、どうやら彼は人との関わりをあまり持ちたくない様子。
まぁ、生まれからして色々言われてはいるだろうけどさぁ。
「女は特に苦手だ」
アルフィー殿下はボソリとそう呟いた。
健全な男子として、それは良いのだろうか?
そこでは、丁度アルフィー殿下が兄でもある団長と剣を交えている所だった。
どちらも王族同士だからか手加減なんてしていない。
どうやら団長は風魔法が得意のようで無数の刃をその剣から繰り出していた。
魔力を剣に付与しながら戦えるかどうかで魔法騎士の中での位置付けが変わる。
瞬時に魔法を剣に付与させる為には緻密な魔力コントロールを要するからだ。
対するアルフィー殿下は水魔法で防御している。
どう見ても防戦一方のアルフィー殿下に勝ち目はない。
魔力と言うよりは命を掛けた実戦馴れしているかどうかが二人の戦闘能力に差をつけているのだろう。
傍目に見ても魔力量はそんなに変わらないのだから。
そんな事を思っていると団長が一歩アルフィー殿下の方へと足を踏み入れた。
「あっ」
瞬きをする僅かな時間で団長の放った剣がアルフィー殿下の剣を弾き飛ばし、その功いでアルフィー殿下の張っていた水魔法の結界が揺らぎ、アルフィー殿下の服の上から無数の擦り傷を作る。
「くっ」
悔しそうに片膝を着くアルフィー殿下。
「勝負あったな。強くなったなアルフィー」
アルフィー殿下に致命傷を与える前に魔術を解除した団長がアルフィー殿下に労いの言葉をかける。
負けた方のアルフィー殿下は悔しそうに団長を見上げた。
そんなアルフィー殿下に団長は手を差し伸べる。
一瞬の沈黙の後団長の手を素直に取ったアルフィー殿下は
「ありがとうございました」
と一礼すると、私達の居る方へと歩き出した。
怪我を治して貰うんじゃないの?救護班とは別方向だよ。
どう見てもズタボロのアルフィー殿下。
遠くからは
「「「アルフィーでんかぁ~お怪我お治し致しますぅ~」」」
と黄色い声が響く。
すると、アルフィー殿下の歩く速度が増した。
どう見ても団長に負けた時以上に眉間にしわを寄せている。
「お怪我をお治しますわよぉ~」
と尚も声をかける令嬢方。
それにより更に歩く速度を上げるアルフィー殿下。
えっと……つまり、私達の方へと逃げて来ると言う事だほうか?
遠くから「アルフィーでんかぁ~どちらへ~?」と甘い声が聞こえるけど、その声が聞こえた瞬間にアルフィー殿下の顔が更に青くなった。
「ん~。何となく察し」
傷だらけのアルフィー殿下に近付き軽く手をかざし『癒しの』と『修復』と小さく呟く。
すると、アルフィー殿下の体が光に包まれたと思うや、切り傷だらけの体も服も何もなかったこのように修復されていく。
「ルーク。お前……」
隣で見ていたジルベルトは直ぐに気付いた。
「何?」
振り替えると
「何でもない」
とそっぽを向かれる。
アルフィー殿下が私達の所に着く頃に、後ろから数名の令嬢方がアルフィー殿下に追い付きアルフィー殿下の袖を掴んでいた。
「お怪我をお直し致しますわ。さぁこちらへ」
そう言って手を引く令嬢方、でも
「どこも怪我なんてしていないよ。離して下さい。不愉快です」
辛口対応のアルフィー殿下。
けど、傷もなければ服も破けておらず。
それに気付いた令嬢方は顔を青くした。
「申し訳ございません。私達の見間違いでした」
と頭を下げて走り去る令嬢方。
どんな勘違いにしろ王子を呼び止めて袖を引っ張るなんて確かに、不敬だもんね。
それに、あからさまにアルフィー殿下は嫌がっていたし。
「そんなに嫌なの?可愛い子達だったのに」
ボッチのようだからもしかしてとも思っていたんだけど、どうやら彼は人との関わりをあまり持ちたくない様子。
まぁ、生まれからして色々言われてはいるだろうけどさぁ。
「女は特に苦手だ」
アルフィー殿下はボソリとそう呟いた。
健全な男子として、それは良いのだろうか?
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