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もう一人の転生者キャサリン視点7
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夜会当日。
私は気合いを入れながら今夜の計画を練っていた。
本日の私のミッションは
1、エマ嬢と友達になる事
2、セドリックとの結婚を前向きに考えさせる事
3、他の攻略対象とのフラグは立たせない様にする事
取り敢えずこの3つだ。
しかし、今までの記憶を遡るに1で既に挫けてしまう可能性もある。
何せ私は悪役令嬢。
唸る様に夜会へ挑めばセドリックがエマ嬢を引き連れて夜会に登場した。
腰に回す手には既に独占欲が醸し出されている。
だって明らかに嫌がっているエマをグイグイ引き寄せながら歩いているんだよ。
もう超ドン引きだよ。
セドリックの性格が分かるだけに恐ろしくって直視出来ない。
『エマ成仏してくれ』いや違う。
『セドリックと二人で幸せになってくれ』だった。
二人の間に『協力』体制を作った直ぐ後に通信機を通して毎日の様にのろけと言う名の拷問が待っていたのは言うに難い。
そして、その拷問の日々で思った事は
『執着愛』
だろう。
もうエマ嬢にはセドリックルート離脱は有り得ない。
私は可哀想な生け贄を見る様な目でエマ嬢を見た。
何せ相手はあの『悪魔の君』の称号を冠しているのだ。
その意味も理由もこれから起こる事も既にゲームで知っている。
そして、その運命からも決して逃れられないと言う事も。
きっとエマ嬢が貴方を救うだろう。
と勝手にそう思って。
そんな事を考えながらオーウェンの話に相槌を打つ。
勿論目線はエマ嬢とセドリックを見ている。
踊るセドリック達はまるで本当の恋人同士に見えてしまう。
一層の事、このまま上手く行けば良いのにとマジに思う。
いつの間にか曲も終わり、主役の二人は軽食が置かれているコーナーへと足を向けた。
『おい。挨拶したそうな貴族が遠巻きに伺っているだろう』
『お前王族の意識薄くないか?』
と心の中でセドリックに悪態をつく。
しかし、他の貴族がセドリック達に遠慮しているのを幸いと、チャンスとばかりに兄を促し後を追う辺り私も大概なのかも。
多分他の貴族はセドリックのこっちに寄るなオーラを感じとっているのだろう。
まぁ、そんなオーラ醸し出した所で私や私の兄に効く訳もない。
二人が楽しそうにデザートを見ている後ろからオーウェンが声をかけた。
「セドリック。今日はおめでとう」
振り返ったセドリックは笑顔を張り付けているが……あぁ、これは『邪魔しに来るな』って、もろにオーラが言っているな。
と、思う。
セドリックの微笑む笑みから黒いオーラが駄々漏れですよ。
「あぁ、オーウェンとキャサリン嬢か。今日は我々の為にわざわざ有り難う」
我々の所に妙なアクセントを付けて社交辞令宜しく微笑むセドリック。
怖~。
暗に邪魔だ!のけーっ!って言っているよ。
「殿下、エマ様、ご婚約寿ぎ申し上げますわ」
私はそう言うと淑女の礼をとる。
セドリックの目が細められた。
やっぱり怖~。
そんな私の台詞にエマ嬢だけが微妙な笑みを見せる。
ん?
何か思っていた反応と違うな~。
もっと嫌そうな反応を予想していたのに……。
もしかして今までの事を気にしていないのかも。
そう思い至り一瞬にして笑みが深まる。
「殿下。少々エマ様をお借りしても宜しいでしょうか?女同士の親睦を深めたいのですわ」
私はそう言うとエマ嬢に向かって笑む。
セドリックは逡巡しているが『ここは協力しろよ。色々協力しているだろう?』と目で訴えて見ると、エマ嬢が私の方へと歩み出る。
「キャサリン様。先日のお茶会では私の不徳の致す所で、あの様な醜態を晒してしまい申し訳ございません」
エマは深々と会釈する。
「そんな事気にしてませんわ。どうか頭をお上げになって。お加減は良いのですか?」
私は慌てたようにエマ嬢に駆け寄る。
そして手を取りエマ嬢を見つめた。
「有り難うございますキャサリン様。実は私もキャサリン様とお話がしたかったのでございます。で……いえ、セドリック様も別室をご用意して下さると仰(おっしゃ)っております。是非そちらで」
お互いに手を取り合い固く手を握り合う。
「ええ。勿論でしてよ」
二人がお互いのパートナーを見ると苦笑された。
「行っておいで」
と、あの鬼畜なセドリックが優しく言った。
やっぱりエマ嬢には弱いんだな。
と半ば可笑しくなる。
かくして皆に見守られつつ私達はパーティー会場を後にしたのだった。
何しろ方や元王太子婚約者候補筆頭令嬢。
方やダークホースの如く、ぽっと出の正規の婚約者。
好奇の目で見られていたのは否めない。
私は気合いを入れながら今夜の計画を練っていた。
本日の私のミッションは
1、エマ嬢と友達になる事
2、セドリックとの結婚を前向きに考えさせる事
3、他の攻略対象とのフラグは立たせない様にする事
取り敢えずこの3つだ。
しかし、今までの記憶を遡るに1で既に挫けてしまう可能性もある。
何せ私は悪役令嬢。
唸る様に夜会へ挑めばセドリックがエマ嬢を引き連れて夜会に登場した。
腰に回す手には既に独占欲が醸し出されている。
だって明らかに嫌がっているエマをグイグイ引き寄せながら歩いているんだよ。
もう超ドン引きだよ。
セドリックの性格が分かるだけに恐ろしくって直視出来ない。
『エマ成仏してくれ』いや違う。
『セドリックと二人で幸せになってくれ』だった。
二人の間に『協力』体制を作った直ぐ後に通信機を通して毎日の様にのろけと言う名の拷問が待っていたのは言うに難い。
そして、その拷問の日々で思った事は
『執着愛』
だろう。
もうエマ嬢にはセドリックルート離脱は有り得ない。
私は可哀想な生け贄を見る様な目でエマ嬢を見た。
何せ相手はあの『悪魔の君』の称号を冠しているのだ。
その意味も理由もこれから起こる事も既にゲームで知っている。
そして、その運命からも決して逃れられないと言う事も。
きっとエマ嬢が貴方を救うだろう。
と勝手にそう思って。
そんな事を考えながらオーウェンの話に相槌を打つ。
勿論目線はエマ嬢とセドリックを見ている。
踊るセドリック達はまるで本当の恋人同士に見えてしまう。
一層の事、このまま上手く行けば良いのにとマジに思う。
いつの間にか曲も終わり、主役の二人は軽食が置かれているコーナーへと足を向けた。
『おい。挨拶したそうな貴族が遠巻きに伺っているだろう』
『お前王族の意識薄くないか?』
と心の中でセドリックに悪態をつく。
しかし、他の貴族がセドリック達に遠慮しているのを幸いと、チャンスとばかりに兄を促し後を追う辺り私も大概なのかも。
多分他の貴族はセドリックのこっちに寄るなオーラを感じとっているのだろう。
まぁ、そんなオーラ醸し出した所で私や私の兄に効く訳もない。
二人が楽しそうにデザートを見ている後ろからオーウェンが声をかけた。
「セドリック。今日はおめでとう」
振り返ったセドリックは笑顔を張り付けているが……あぁ、これは『邪魔しに来るな』って、もろにオーラが言っているな。
と、思う。
セドリックの微笑む笑みから黒いオーラが駄々漏れですよ。
「あぁ、オーウェンとキャサリン嬢か。今日は我々の為にわざわざ有り難う」
我々の所に妙なアクセントを付けて社交辞令宜しく微笑むセドリック。
怖~。
暗に邪魔だ!のけーっ!って言っているよ。
「殿下、エマ様、ご婚約寿ぎ申し上げますわ」
私はそう言うと淑女の礼をとる。
セドリックの目が細められた。
やっぱり怖~。
そんな私の台詞にエマ嬢だけが微妙な笑みを見せる。
ん?
何か思っていた反応と違うな~。
もっと嫌そうな反応を予想していたのに……。
もしかして今までの事を気にしていないのかも。
そう思い至り一瞬にして笑みが深まる。
「殿下。少々エマ様をお借りしても宜しいでしょうか?女同士の親睦を深めたいのですわ」
私はそう言うとエマ嬢に向かって笑む。
セドリックは逡巡しているが『ここは協力しろよ。色々協力しているだろう?』と目で訴えて見ると、エマ嬢が私の方へと歩み出る。
「キャサリン様。先日のお茶会では私の不徳の致す所で、あの様な醜態を晒してしまい申し訳ございません」
エマは深々と会釈する。
「そんな事気にしてませんわ。どうか頭をお上げになって。お加減は良いのですか?」
私は慌てたようにエマ嬢に駆け寄る。
そして手を取りエマ嬢を見つめた。
「有り難うございますキャサリン様。実は私もキャサリン様とお話がしたかったのでございます。で……いえ、セドリック様も別室をご用意して下さると仰(おっしゃ)っております。是非そちらで」
お互いに手を取り合い固く手を握り合う。
「ええ。勿論でしてよ」
二人がお互いのパートナーを見ると苦笑された。
「行っておいで」
と、あの鬼畜なセドリックが優しく言った。
やっぱりエマ嬢には弱いんだな。
と半ば可笑しくなる。
かくして皆に見守られつつ私達はパーティー会場を後にしたのだった。
何しろ方や元王太子婚約者候補筆頭令嬢。
方やダークホースの如く、ぽっと出の正規の婚約者。
好奇の目で見られていたのは否めない。
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