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第四章
試練の部屋での、穏やかな時間
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ゆるやかに時間が流れるこの場所で、クリフさんとただ二人で過ごした。
この場所には何もない。……食堂の仕事も、国王の仕事も考えなくてもいい。ただひたすら、お互いのことだけを考えている。
ダイニングテーブルで、美味しいフルーツを食べる。フルーツは甘くてみずみずしくて、じゅわっと口の中で濃厚な味があって広がる。
「美味しい!! 無人の神殿なのに、こんなものが出てくるなんて!」
思わず感激する私を、クリフさんは優しい瞳で見つめる。
「うー!これ、なんだかイチゴみたいです!! 」
「イチゴ……? 」
「えっ、クリフさん、イチゴを知らないんですか?
この世界にないんですか? 」
色は緑色なのに、味はまさしくイチゴだ。青梅を想像していたのに、食べた時のギャップが半端ない。
驚く私を見て、幸せそうな顔をするクリフさん。そして、いつもの甘い瞳で私を見る。
「そのイチゴとやらを、俺も食べたいな」
だが、元の世界にはもう戻れない。……戻らない。それは、私が決めたことなのだ。
「俺はエマに惚れ、こうして共にいることを選んだ。だが、エマの故郷のことを何も知らない。
だから、俺に教えて欲しい。
エマは今までどうやって生き、大きくなったのか」
私の故郷なんて、この世界に住むクリフさんには関係ない。私の住んでいた世界は異次元であり、今後クリフさんが行くことはないのだから。
だが、こうしてクリフさんは、私の全てを知ろうとしてくれる。知っても意味がない、私の故郷の話を聞いてくれる。
ダイニングテーブルに座って美味しいフルーツを食べながら、私はクリフさんに話をした。私が今まで何をし、どうやって生きてきたのかを。
「私の住んでいた国は日本といって、黒色の髪の人間が住む国でした。
でも、日本人はこの黒髪にコンプレックスを持っていて、多くの人がヘアカラーをしているんですよ」
「人間は竜人族みたいな力がないから、私たちの世界では、機械が発達していました。
飛行機に乗って空を飛び、自動車に乗って地を走り、携帯電話で遠くにいる人と連絡をとります」
「東京の大学で、考古学を学んでいました。
実は私、遺跡が大好きで、このパルトロン神殿にも惹かれるものがあったんです!
黒竜国でも遺跡巡りがしたいなぁ」
私の話を聞き、その光景を思い浮かべるように目を細めるクリフさん。この世界が私にとって驚きの連続であったように、私の世界もクリフさんにとって驚きの連続であるようだった。
「そうか……俺もエマの故郷を見てみたかったな。
空を飛ぶ鉄の塊とか、離れたところにいる人と会話できる装置とか。
その話を聞くだけで、夢のような世界だ」
「私にとって、この世界が夢のようです。
そして、大きくて優しい黒竜が見せてくれた絶景も、夢のようでした。
私はこの世界が大好きです。この世界で、大好きなクリフさんに出会えました」
我ながら、なんてことをべらべら話しているのだと驚くばかりだ。この部屋には、思っていることを全部話してしまうような魔法でもかかっているのだろうか。
恥ずかしげもなく好きだ好きだと言う私を見て、クリフさんは泣きそうな嬉しそうな顔をする。
その顔があまりに美しくて、真っ赤な顔でふふっと笑う。すると、クリフさんも私を見て幸せそうに笑う。胸が甘く音を立て、体全身が熱くなる。
あぁ、クリフさんが好き。大好きだ。
「エマ……」
甘くて切ない声で、私の名前を呼ぶクリフさん。
「もう一つ、この部屋ですべきことがある」
絞り出すように、クリフさんが告げる。
「分かってます。……ずっと前から、もう決心しています」
真っ赤な顔でそう答えると、我慢出来ないとでもいうように、ぎゅっと抱きしめられる。その力強い体で、割れ物に触れるように優しく、だが離さないようにきつく。
「愛してるよ、エマ……」
甘く切ないその声が、余裕のないその顔が、私の胸をぎゅっと締め付ける。
「言葉では言い表せないほど……愛してるんだ」
軽いキスは、次第に深いものへと変わっていく。気付いたら、部屋の奥にあるベッドに倒れ込んでいた。
「私も……愛しています」
触れられる手が、唇が。その全てが、全力で愛してると言っている。こんなにも全力で愛されているのだから、不安になることは何もない。
私はこの愛しい竜の王を、ぎゅっと抱きしめていた……ーー
この場所には何もない。……食堂の仕事も、国王の仕事も考えなくてもいい。ただひたすら、お互いのことだけを考えている。
ダイニングテーブルで、美味しいフルーツを食べる。フルーツは甘くてみずみずしくて、じゅわっと口の中で濃厚な味があって広がる。
「美味しい!! 無人の神殿なのに、こんなものが出てくるなんて!」
思わず感激する私を、クリフさんは優しい瞳で見つめる。
「うー!これ、なんだかイチゴみたいです!! 」
「イチゴ……? 」
「えっ、クリフさん、イチゴを知らないんですか?
この世界にないんですか? 」
色は緑色なのに、味はまさしくイチゴだ。青梅を想像していたのに、食べた時のギャップが半端ない。
驚く私を見て、幸せそうな顔をするクリフさん。そして、いつもの甘い瞳で私を見る。
「そのイチゴとやらを、俺も食べたいな」
だが、元の世界にはもう戻れない。……戻らない。それは、私が決めたことなのだ。
「俺はエマに惚れ、こうして共にいることを選んだ。だが、エマの故郷のことを何も知らない。
だから、俺に教えて欲しい。
エマは今までどうやって生き、大きくなったのか」
私の故郷なんて、この世界に住むクリフさんには関係ない。私の住んでいた世界は異次元であり、今後クリフさんが行くことはないのだから。
だが、こうしてクリフさんは、私の全てを知ろうとしてくれる。知っても意味がない、私の故郷の話を聞いてくれる。
ダイニングテーブルに座って美味しいフルーツを食べながら、私はクリフさんに話をした。私が今まで何をし、どうやって生きてきたのかを。
「私の住んでいた国は日本といって、黒色の髪の人間が住む国でした。
でも、日本人はこの黒髪にコンプレックスを持っていて、多くの人がヘアカラーをしているんですよ」
「人間は竜人族みたいな力がないから、私たちの世界では、機械が発達していました。
飛行機に乗って空を飛び、自動車に乗って地を走り、携帯電話で遠くにいる人と連絡をとります」
「東京の大学で、考古学を学んでいました。
実は私、遺跡が大好きで、このパルトロン神殿にも惹かれるものがあったんです!
黒竜国でも遺跡巡りがしたいなぁ」
私の話を聞き、その光景を思い浮かべるように目を細めるクリフさん。この世界が私にとって驚きの連続であったように、私の世界もクリフさんにとって驚きの連続であるようだった。
「そうか……俺もエマの故郷を見てみたかったな。
空を飛ぶ鉄の塊とか、離れたところにいる人と会話できる装置とか。
その話を聞くだけで、夢のような世界だ」
「私にとって、この世界が夢のようです。
そして、大きくて優しい黒竜が見せてくれた絶景も、夢のようでした。
私はこの世界が大好きです。この世界で、大好きなクリフさんに出会えました」
我ながら、なんてことをべらべら話しているのだと驚くばかりだ。この部屋には、思っていることを全部話してしまうような魔法でもかかっているのだろうか。
恥ずかしげもなく好きだ好きだと言う私を見て、クリフさんは泣きそうな嬉しそうな顔をする。
その顔があまりに美しくて、真っ赤な顔でふふっと笑う。すると、クリフさんも私を見て幸せそうに笑う。胸が甘く音を立て、体全身が熱くなる。
あぁ、クリフさんが好き。大好きだ。
「エマ……」
甘くて切ない声で、私の名前を呼ぶクリフさん。
「もう一つ、この部屋ですべきことがある」
絞り出すように、クリフさんが告げる。
「分かってます。……ずっと前から、もう決心しています」
真っ赤な顔でそう答えると、我慢出来ないとでもいうように、ぎゅっと抱きしめられる。その力強い体で、割れ物に触れるように優しく、だが離さないようにきつく。
「愛してるよ、エマ……」
甘く切ないその声が、余裕のないその顔が、私の胸をぎゅっと締め付ける。
「言葉では言い表せないほど……愛してるんだ」
軽いキスは、次第に深いものへと変わっていく。気付いたら、部屋の奥にあるベッドに倒れ込んでいた。
「私も……愛しています」
触れられる手が、唇が。その全てが、全力で愛してると言っている。こんなにも全力で愛されているのだから、不安になることは何もない。
私はこの愛しい竜の王を、ぎゅっと抱きしめていた……ーー
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