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8. 新たな地で家と仕事をもらいました
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オストワル辺境伯邸は、周りを高い塀に囲まれたとても大きな館だった。豪華な照明が輝き、すれ違う人は頭を下げる。そして黒い服を着た騎士は、ジョーにぴしっと敬礼するのだ。
こんな広大な豪邸の一番奥の部屋で、私たちはオストワル辺境伯に会った。髭の生えた厳しい顔のオストワル辺境伯は、ジョーを見た瞬間に嬉しそうに顔を歪めた。
「ジョー、おかえり。生きていたのか。街中は君の話題で持ちきりだ。」
「ただいま帰りました。長い間席を空けてしまい、ご迷惑をおかけしました」
ジョーは辺境伯に頭を下げる。
「迷惑などかかっていない。
君がこの地に戻ってくれたから、この地もまた安泰だろう」
「勿体無いお言葉です」
ジョーは一体何者なのだろう。そしてその強さは、やっぱり折り紙つきなんだ。二人の会話を聞きながら、そんなことを考えている。
ジョーは頭を垂れたまま続けた。
「私は絶命するところだったのですが、運良くこちらの薬師、アンに助けていただきました。
アンはトラブルにより故郷を追われ、行く宛もなく彷徨っていたので、連れて参りました」
「えーッ!?結局、王都まで辿り着かなかったの!?」
不意に明るい声がした。驚いて声の聞こえたほうを見ると、なんと扉の前にはジョーと同じくらいの男性が立っていた。辺境伯と同じ茶色の髪に茶色の瞳、顔の作りもそっくりだ。おそらく辺境伯の息子だろう。彼は辺境伯とは違い、チャラチャラした態度でジョーに話しかける。
「ジョーともあろうものが王都まで辿り着かないなんて、何があったのぉ!?」
そんなチャラ息子を、
「セドリック」
ジョーは呼び捨てにする。どうやら仲良しらしい。
「俺はこの街の薬師でも手に負えないほど、病状は厳しかったのだ」
「えっ?でもその娘が治しちゃったんでしょー?」
チャラ息子セドリック様は、興味津々に私を見た。そして、まるで品定めするかのように口元に手を当てて呟くのだ。
「それにしても、そんなすごい薬師には見えないよねぇー。薄汚れてて、色気もないし。
あっ、でも意外と可愛い顔して……」
セドリック様は、そこまで言って口を噤んだ。というのも、ジョーから凄まじい殺気を感じ取ったからだ。
隣にいる私でさえ、その怒りのオーラに圧倒されて倒れてしまいそうだ。
「セドリック」
ジョーは、聞いたこともない地獄の底から出てくるような低い声で話す。
「お前がオストワル辺境伯の息子だとしても、アンを侮辱するなら殺す」
じょ、冗談じゃない。今のジョーなら、本気で殺してしまいそうだ。
こんな怒りに満ちたジョーに、セドリック様は焦ってごめんごめんと謝る。
「だけど、ジョーが女の肩を持つなんて……恋だよねー?
その薬師に、惚れ薬でも盛られたんじゃない?」
セドリック様は頭が軽いのか鈍感なのか、すごいと思う。私は殺気に満ちたジョーを前に、そんなことは言えない。
とうとう、セドリック様の殺気を感じ取った辺境伯爵が
「セドリック」
セドリック様を嗜めて事なきを得た。
それにしても、惚れ薬だなんて……ジョーは私を命の恩人と思って大切にしている訳だし、恋愛感情はない……と思う。分かっているが、そう考えると胸が痛むのも事実だった。
「ジョー。僕たち友達なんだし、せっかくだから、君のことを応援したいんだよねー」
セドリック様はまた変なことを言い始めるのかとビクビクしたが、彼は意外にも私に親切に対応してくれたのだ。
「アン、行く宛がないんでしょ?
この街でジョーといてくれるなら、この街の薬師ソフィアの治療院を紹介するよ。ジョーを治療出来なかったソフィアだけどね。
それに、僕の別荘を一件貸してあげる」
「えっ!?」
予想外の高待遇に、驚きを隠せない。どうして見ず知らずの私に、ここまでしてくれるのだろうか。
「ありがとうございます」
深く頭を下げる私に、セドリック様は告げた。
「ジョーを助けてくれたお返しだよー。
ジョーがいなかったら、オストワルも昔のように治安が悪化するだろうからね」
セドリック様は軽々しくウィンクなんてするが……その言葉はあながち間違いではないのかもしれない。だって、ジョーは本当に強かったし、街の人からも恐れられているようだったから。
こんな広大な豪邸の一番奥の部屋で、私たちはオストワル辺境伯に会った。髭の生えた厳しい顔のオストワル辺境伯は、ジョーを見た瞬間に嬉しそうに顔を歪めた。
「ジョー、おかえり。生きていたのか。街中は君の話題で持ちきりだ。」
「ただいま帰りました。長い間席を空けてしまい、ご迷惑をおかけしました」
ジョーは辺境伯に頭を下げる。
「迷惑などかかっていない。
君がこの地に戻ってくれたから、この地もまた安泰だろう」
「勿体無いお言葉です」
ジョーは一体何者なのだろう。そしてその強さは、やっぱり折り紙つきなんだ。二人の会話を聞きながら、そんなことを考えている。
ジョーは頭を垂れたまま続けた。
「私は絶命するところだったのですが、運良くこちらの薬師、アンに助けていただきました。
アンはトラブルにより故郷を追われ、行く宛もなく彷徨っていたので、連れて参りました」
「えーッ!?結局、王都まで辿り着かなかったの!?」
不意に明るい声がした。驚いて声の聞こえたほうを見ると、なんと扉の前にはジョーと同じくらいの男性が立っていた。辺境伯と同じ茶色の髪に茶色の瞳、顔の作りもそっくりだ。おそらく辺境伯の息子だろう。彼は辺境伯とは違い、チャラチャラした態度でジョーに話しかける。
「ジョーともあろうものが王都まで辿り着かないなんて、何があったのぉ!?」
そんなチャラ息子を、
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ジョーは呼び捨てにする。どうやら仲良しらしい。
「俺はこの街の薬師でも手に負えないほど、病状は厳しかったのだ」
「えっ?でもその娘が治しちゃったんでしょー?」
チャラ息子セドリック様は、興味津々に私を見た。そして、まるで品定めするかのように口元に手を当てて呟くのだ。
「それにしても、そんなすごい薬師には見えないよねぇー。薄汚れてて、色気もないし。
あっ、でも意外と可愛い顔して……」
セドリック様は、そこまで言って口を噤んだ。というのも、ジョーから凄まじい殺気を感じ取ったからだ。
隣にいる私でさえ、その怒りのオーラに圧倒されて倒れてしまいそうだ。
「セドリック」
ジョーは、聞いたこともない地獄の底から出てくるような低い声で話す。
「お前がオストワル辺境伯の息子だとしても、アンを侮辱するなら殺す」
じょ、冗談じゃない。今のジョーなら、本気で殺してしまいそうだ。
こんな怒りに満ちたジョーに、セドリック様は焦ってごめんごめんと謝る。
「だけど、ジョーが女の肩を持つなんて……恋だよねー?
その薬師に、惚れ薬でも盛られたんじゃない?」
セドリック様は頭が軽いのか鈍感なのか、すごいと思う。私は殺気に満ちたジョーを前に、そんなことは言えない。
とうとう、セドリック様の殺気を感じ取った辺境伯爵が
「セドリック」
セドリック様を嗜めて事なきを得た。
それにしても、惚れ薬だなんて……ジョーは私を命の恩人と思って大切にしている訳だし、恋愛感情はない……と思う。分かっているが、そう考えると胸が痛むのも事実だった。
「ジョー。僕たち友達なんだし、せっかくだから、君のことを応援したいんだよねー」
セドリック様はまた変なことを言い始めるのかとビクビクしたが、彼は意外にも私に親切に対応してくれたのだ。
「アン、行く宛がないんでしょ?
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「ありがとうございます」
深く頭を下げる私に、セドリック様は告げた。
「ジョーを助けてくれたお返しだよー。
ジョーがいなかったら、オストワルも昔のように治安が悪化するだろうからね」
セドリック様は軽々しくウィンクなんてするが……その言葉はあながち間違いではないのかもしれない。だって、ジョーは本当に強かったし、街の人からも恐れられているようだったから。
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