これこそが、ボクの人生史上最高の

金糸雀

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昔の話

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『ただいまの結果、1位3年、2位1年、3位2年。3年生、華麗なる衣装で有終の美を飾りましたー!!』

アンカーの神主さんがテープを切った瞬間、3年生はどっとわき、大音量で歓声をあげた。
スカートが短いおかげで座るわけにもいかず、仁王立ちしてレースを見守っていたボクももちろん、よーしって、叫んだよ。
こんな恥ずかしさ全開の格好で走ったんだ。1位くらい取らないと割に合わない!!
スカート、本当に短いんだよ?膝なんかとっくに出てて、しゃがんだら見えちゃう。本当に見えちゃう!!しっかり短パン履いてますけどね。走り出した瞬間、巻き上がったスカートの中身にぎゃーって変な雄叫び上がったけど、馬鹿どもめ!!衆人にパンツ晒すか!!
ちなみに、真っ先に短パン用意したのはカナでした。


「アオくーん!」
ミナミが笑顔でポテポテ駆け寄ってくる。
「すごい可愛かったし瞬足すぎて驚いたー!」
「可愛いはいらないけど、足は褒められてうれしー!」
2人でわーいと手を合わせる。
「もうちょいへそ出してもいいんじゃね?お腹ぺったんだし。」
ミナミの後ろからのしのしアキが歩いてくる。
「お腹冷えるのはよくないかなー。けど、本当早かった!!2人抜きとか優勝に多大に貢献だよ!」
シマ君は興奮気味だ。
そう。ボクに渡ったバトンは3番目。
そこから一気に2人抜いて、1番でバトンを繋いだ、とはいえ。
「1年はでっかい着ぐるみくまさんだったし、2年は剣道の防具付けてたしなぁ。ボクだけ超身軽。」
くまさんも剣道着も走りづらそうな上にすっごい息荒かった!
剣道着の子は防具で面までつけててすごい真面目すぎる!!って、感嘆しつつ。横目で見ながら抜かしました。
段ボールとかでそれっぽいの作るわけでもなく本物使っちゃうところ。剣道への愛を感じたよ!多分!!
その子はさっきまで地面に転がってたけど、やっと回復してきたのか起き上がってる。周りからバシバシ肩とか叩かれて健闘称えられてる。
うんうん、キミは頑張った。
ボクもだけど!!

「それにしたってはやい!」
「MVPとれそうだねぇ!」
シマ君に続いてミナミもにこにこだ。
ほかのクラスメートからも、すげーなだとか、かっこよかったよーなんて声かけてもらったり。別のクラスの生徒からもこの格好をどーとかじゃなくて、走りについてすごいすごいって興奮気味に声掛けられすぎてだんだん…恥ずかしくなってきた。

「う、うん、でもやっぱりボク身軽だったからね。」

意味なくスカートの裾をひっぱたりしてしまう。
不本意ながら、チアリーダーの格好はすこぶる身軽だった。手にしたのもポンポンだけだったし。
それもバトンを受け取る寸前に放り投げてしまった。
(このお腹だけはほんとに何でこうしたのかって謎すぎるけど。そもそも、なんでチアの子はお腹見せて踊るんだ?)
ちらりと見えるお臍。
なんとなくそれを触りながら、恥ずかしさから逃れたくもあり、そんなたわいないことを考えていたから。
ふって、影が落ちてきたことに一瞬反応が遅れ。正面からガバリと抱きしめられて、心底驚いた!

「アオ!」
「ひゃっ…!な、なに?!」

上からのしかかるように抱きしめられて、いつぞやのようにボクは仰け反る。
「アオっ…すごかった。すごい、かっこよかった!」
テンション高めな普段より高音な声。
すごいすごいと何度も繰り返しながらぎゅーぎゅーしてくる。
抱きついて来た主はもちろんカナだ。
そもそもボクに抱きついてくるなんてカナしかいないから、顔見なくてもわかる。興奮なのか感動なのか、抱きついて来たカナの腕がボクを掴んで右に左に大きく揺らす。
「ちょ、わっ!揺らすなぁ!」
仰け反ったまま右に左にぶんぶん!腕ごと掴まれてるから叩いて阻止もできない!ぐわんぐわん脳みそ揺れるから、ほんとちょっと待って待って!
ぐぇえ、なんて。潰れた声まで出てくるボクを。
ぶんぶん揺らしながらカナが。
「…頑張ったねぇ。」
って。
ちょっぴり涙声で言うから。



「ありがとう。」

ボクまでうっかり泣きそうになりながら、それだけ返した。

カナがあの朝、話してくれてありがとうって言った言葉みたいに。
嬉しさを込めて。
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