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一ヶ月前も
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「あ」
「あ」
それは全くの偶然だった。街中でアキと遭遇したのは。
「へぇー、ばぁちゃんの見舞い行ってきたんだ。」
「顔見せに行かないとね、寂しいし。」
カプチーノだったかカフェモカだったか。
あわあわした飲み物を飲みながら、アキはえらいねぇと笑った。
とりあえずお昼でも食べようかって話になって、近くにあったビルのカフェに移動した。
丁度ランチタイムだったからか。空いていたのは窓際のカウンター席だけだったので、迷わずそこに陣取った。
正面の窓の外には歩いているたくさんの人達。
2階のここからはよく見える。
ボクはアキの隣りでカフェラテをこくり。
乾いていた喉に、それはスッと流れていく。
カラカラ鳴る氷の音。今日の気温に冷たい飲み物は丁度いい。
ちょっと甘すぎる気もするけれど、まぁでもこの甘さにもだいぶ慣れて来た。
「アキは仕事の途中?営業だっけ。」
「そー。ちょーど今一件終わって昼取ろうとしてたとこ。タイミング良かったよ。」
ちらっと店の時計に視線をやりながら、アキはまた笑った。
高校生だった頃に比べ、アキの髪色は暗く、バチバチに増えていったピアスも一つ残らず外されている。
髪型だって、違う。服装も。
制服の時は着崩して着てたのに、きちっと首元まで、当たり前のようにボタンがしめられてる。
パリッとしたダークグーレーのスーツもネクタイも。可笑しくなるくらい、いまのアキには似合っていた。
「大人になったねぇ。」
思わずそんなことを呟いてしまい、アキはおっさんかよって、吹き出した。
(おっさん?)
それはちょっとどうなの?ボクたち同い年なのに。
ボクはちょっとご不満でズズーとわざと音を立ててカフェラテを啜ってから、
「気分はお父さんなんだけど。」
と、反論を試みてみる。が、もちろんアキはなんのその。
「おっさんだろ、結局。もうじき腹とか出てくんだよ。」
左手で、わざとらしくボクのお腹をぎゅーって摘んだ。相変わらず容赦ない。
「いたっ!ちょっ、出てないしこれからもでないからね!」
ボクは反論しながらアキの左手をぱしりとはたく。
ボクのお腹を摘んだアキの手が、一瞬震えたのに気づかないふりをして。
「そういや、この前のシマとの飲み、結構料理美味くてさぁ。アオも来てれば感動しただろうなぁって。」
注文していたチーズ増し増しカルボナーラを食べながら、不意にアキは話し出した。
「そうだったんだ、それは残念。」
お腹の空いてなかったボクは、追加で頼んだグァテマラを飲みながら本心で残念に思う。
「何料理だったんだっけ?」
食欲は、まだちょっと減退続行中だけど、それでも美味しいものに興味はある。
あまり、食べたいとは思わなくてもそれはそれ。
「鶏肉。いろんな産地のがあってさぁ、それ自体はどれがどれだかさっぱりなんだけど。照り焼きがシンプルに美味くって。皮とかパリパリで。」
「へぇ。」
鶏肉。甘酢で焼いても美味しいんだよね。最近食べてないけど。
唐揚げ、照り焼き、竜田揚げ。
カナはボクの作った鶏肉料理がお気に入りで、よくリクエストされたっけ。
(クリスマスには気合いいれて一羽丸ごとどーんってテーブルに出した時は喜んでくれたなぁ。)
子供みたいにあのおっきな目をキラキラさせて、スマホでたくさん写真も撮った。オーブンから出したばかりの熱々を食べたくて、早く食べよう!って催促したのに。カナは可愛いってにこにこして。ナイフとフォーク持って待ち構えてるボクごとまたたくさん写真撮るから。ボクもなんだか笑ってしまった。
上手な食べ方が2人ともわからなくて。とにかくフォークで刺しては引きちぎって。終いにはどっちがたくさん引きちぎれるか競ったりして。
お腹の底から、笑ったクリスマス。
その後のケーキだって、ホールで出したらやっぱり大喜び。
すごい!ホール!すごい!!って。カナのテンション上がりすぎて可笑しかったなぁ。
白くてふわふわのクリームと、赤と白の苺がいっぱい。切るのが勿体無い!って騒ぐから。お互いフォーク持って反対から食べ進めたりして。
ホールケーキだからこその贅沢な食べ方。
2人で食べ切った。白くて、苺たっぷりのショートケーキ。
『今年は白いクリームだったから、次はチョコレートたっぷりのケーキがいいな。』
『もう次の話してんの?』
真面目な顔してカナが言うから。
ボクは吹き出した。
大切な、記憶。
「3年の体育祭の時の、アレ。アレも美味かった。」
「え?」
記憶に、思考を持ってかれてた。
アキの声に一瞬で今に戻され、ボクは瞬きする。
平日のカフェ。賑わう店内と窓際のカウンター席。
隣り合わせに座ったアキとボク。
「アレ?」
ぱちぱち。瞬き繰り返すボクに気付かず、アキはパスタを食べながら言葉を続ける。
「アオの弁当に入ってたあの鶏肉、なんだっけ。すごい柔らかくて、白い。」
「えっと、蒸し鶏?」
「そうそれ!シンプルなのに美味しくてさ、争奪戦したよなぁ」
記憶を辿って、お弁当に詰めた白い鶏肉を思い出す。
あの頃はおばぁちゃんの食が細くなっていたから、唐揚げじゃなくて蒸し鶏にしたんだ。
はちみつの梅干しを入れたおむすびと、それから蒸し鶏。それをボクよりずっと小さなおばぁちゃん用のお弁当箱に詰めて、お昼に食べてねって渡して。
ボクにも同じ蒸し鶏とおむすび。あとはなんだったかなぁ?前の日の残りのおかずを取っておいて、適当に詰めた気がする。
メインは蒸し鶏。作りすぎたから沢山詰めた。
それをなんでだかみんなして食べたがって。
美味しい美味しいって。
もちろんカナが美味しいって、にこにこしながら1番食べて。
「男子高校生が群がるとは思わなかったなぁ。」
「だなぁ。」
その時の光景を甘い出して、2人でぷって笑った。
アキが真っ先に手を出して。
シマ君はしれっと便乗して箸で摘んで。
ミナミは、遠慮しつつもありがとうって。
放送担当だったカナはちょっと遅れて来たから、ボクのお弁当に群がったみんなに、自分の分は…って。見えない耳と尻尾、垂れ下げてしょんぼり。
ボクはカナ用に取っておいた蒸し鶏を、笑って『あーん。』って。
そしたらカナは、ボクに近づくため前屈みになり、反射で口を開けてくれたので。
そのおっきな口に箸で突っ込んだんだ。
びっくりして目を見開きながら、口だけもぐもぐ動かすカナ。
もぐもぐごくん。
飲み込んでからまた、今度はカナからあーんって口を開けるからボクはまた蒸し鶏を突っ込む。
そしてまたもぐもぐ。
ボクの隣に座りながら、もぐもぐ。
カナはどのパーツも大きかったけど、食べ方がすごく綺麗だった。
ものが口に入ってる時は何も喋らずひたすら口を動かして味わってる。
それで口の中がちゃんとなくなってから話すんだ。
『すごい美味しい!もっとちょーだい!!』
満開の笑顔で。
ボクはその笑顔が嬉しくて、また突っ込む。
自分のお弁当広げる前に、ボクの蒸し鶏食べてるカナがなんだか可笑しくって。
ボクも笑った。
『またあーんしてる…』
すぐ横でボクらを目撃していたシマ君の、ぼやいてる声がした。
『さっきはありがとう。』
とっておいた蒸し鶏は、お礼の気持ちだった。
「あ」
それは全くの偶然だった。街中でアキと遭遇したのは。
「へぇー、ばぁちゃんの見舞い行ってきたんだ。」
「顔見せに行かないとね、寂しいし。」
カプチーノだったかカフェモカだったか。
あわあわした飲み物を飲みながら、アキはえらいねぇと笑った。
とりあえずお昼でも食べようかって話になって、近くにあったビルのカフェに移動した。
丁度ランチタイムだったからか。空いていたのは窓際のカウンター席だけだったので、迷わずそこに陣取った。
正面の窓の外には歩いているたくさんの人達。
2階のここからはよく見える。
ボクはアキの隣りでカフェラテをこくり。
乾いていた喉に、それはスッと流れていく。
カラカラ鳴る氷の音。今日の気温に冷たい飲み物は丁度いい。
ちょっと甘すぎる気もするけれど、まぁでもこの甘さにもだいぶ慣れて来た。
「アキは仕事の途中?営業だっけ。」
「そー。ちょーど今一件終わって昼取ろうとしてたとこ。タイミング良かったよ。」
ちらっと店の時計に視線をやりながら、アキはまた笑った。
高校生だった頃に比べ、アキの髪色は暗く、バチバチに増えていったピアスも一つ残らず外されている。
髪型だって、違う。服装も。
制服の時は着崩して着てたのに、きちっと首元まで、当たり前のようにボタンがしめられてる。
パリッとしたダークグーレーのスーツもネクタイも。可笑しくなるくらい、いまのアキには似合っていた。
「大人になったねぇ。」
思わずそんなことを呟いてしまい、アキはおっさんかよって、吹き出した。
(おっさん?)
それはちょっとどうなの?ボクたち同い年なのに。
ボクはちょっとご不満でズズーとわざと音を立ててカフェラテを啜ってから、
「気分はお父さんなんだけど。」
と、反論を試みてみる。が、もちろんアキはなんのその。
「おっさんだろ、結局。もうじき腹とか出てくんだよ。」
左手で、わざとらしくボクのお腹をぎゅーって摘んだ。相変わらず容赦ない。
「いたっ!ちょっ、出てないしこれからもでないからね!」
ボクは反論しながらアキの左手をぱしりとはたく。
ボクのお腹を摘んだアキの手が、一瞬震えたのに気づかないふりをして。
「そういや、この前のシマとの飲み、結構料理美味くてさぁ。アオも来てれば感動しただろうなぁって。」
注文していたチーズ増し増しカルボナーラを食べながら、不意にアキは話し出した。
「そうだったんだ、それは残念。」
お腹の空いてなかったボクは、追加で頼んだグァテマラを飲みながら本心で残念に思う。
「何料理だったんだっけ?」
食欲は、まだちょっと減退続行中だけど、それでも美味しいものに興味はある。
あまり、食べたいとは思わなくてもそれはそれ。
「鶏肉。いろんな産地のがあってさぁ、それ自体はどれがどれだかさっぱりなんだけど。照り焼きがシンプルに美味くって。皮とかパリパリで。」
「へぇ。」
鶏肉。甘酢で焼いても美味しいんだよね。最近食べてないけど。
唐揚げ、照り焼き、竜田揚げ。
カナはボクの作った鶏肉料理がお気に入りで、よくリクエストされたっけ。
(クリスマスには気合いいれて一羽丸ごとどーんってテーブルに出した時は喜んでくれたなぁ。)
子供みたいにあのおっきな目をキラキラさせて、スマホでたくさん写真も撮った。オーブンから出したばかりの熱々を食べたくて、早く食べよう!って催促したのに。カナは可愛いってにこにこして。ナイフとフォーク持って待ち構えてるボクごとまたたくさん写真撮るから。ボクもなんだか笑ってしまった。
上手な食べ方が2人ともわからなくて。とにかくフォークで刺しては引きちぎって。終いにはどっちがたくさん引きちぎれるか競ったりして。
お腹の底から、笑ったクリスマス。
その後のケーキだって、ホールで出したらやっぱり大喜び。
すごい!ホール!すごい!!って。カナのテンション上がりすぎて可笑しかったなぁ。
白くてふわふわのクリームと、赤と白の苺がいっぱい。切るのが勿体無い!って騒ぐから。お互いフォーク持って反対から食べ進めたりして。
ホールケーキだからこその贅沢な食べ方。
2人で食べ切った。白くて、苺たっぷりのショートケーキ。
『今年は白いクリームだったから、次はチョコレートたっぷりのケーキがいいな。』
『もう次の話してんの?』
真面目な顔してカナが言うから。
ボクは吹き出した。
大切な、記憶。
「3年の体育祭の時の、アレ。アレも美味かった。」
「え?」
記憶に、思考を持ってかれてた。
アキの声に一瞬で今に戻され、ボクは瞬きする。
平日のカフェ。賑わう店内と窓際のカウンター席。
隣り合わせに座ったアキとボク。
「アレ?」
ぱちぱち。瞬き繰り返すボクに気付かず、アキはパスタを食べながら言葉を続ける。
「アオの弁当に入ってたあの鶏肉、なんだっけ。すごい柔らかくて、白い。」
「えっと、蒸し鶏?」
「そうそれ!シンプルなのに美味しくてさ、争奪戦したよなぁ」
記憶を辿って、お弁当に詰めた白い鶏肉を思い出す。
あの頃はおばぁちゃんの食が細くなっていたから、唐揚げじゃなくて蒸し鶏にしたんだ。
はちみつの梅干しを入れたおむすびと、それから蒸し鶏。それをボクよりずっと小さなおばぁちゃん用のお弁当箱に詰めて、お昼に食べてねって渡して。
ボクにも同じ蒸し鶏とおむすび。あとはなんだったかなぁ?前の日の残りのおかずを取っておいて、適当に詰めた気がする。
メインは蒸し鶏。作りすぎたから沢山詰めた。
それをなんでだかみんなして食べたがって。
美味しい美味しいって。
もちろんカナが美味しいって、にこにこしながら1番食べて。
「男子高校生が群がるとは思わなかったなぁ。」
「だなぁ。」
その時の光景を甘い出して、2人でぷって笑った。
アキが真っ先に手を出して。
シマ君はしれっと便乗して箸で摘んで。
ミナミは、遠慮しつつもありがとうって。
放送担当だったカナはちょっと遅れて来たから、ボクのお弁当に群がったみんなに、自分の分は…って。見えない耳と尻尾、垂れ下げてしょんぼり。
ボクはカナ用に取っておいた蒸し鶏を、笑って『あーん。』って。
そしたらカナは、ボクに近づくため前屈みになり、反射で口を開けてくれたので。
そのおっきな口に箸で突っ込んだんだ。
びっくりして目を見開きながら、口だけもぐもぐ動かすカナ。
もぐもぐごくん。
飲み込んでからまた、今度はカナからあーんって口を開けるからボクはまた蒸し鶏を突っ込む。
そしてまたもぐもぐ。
ボクの隣に座りながら、もぐもぐ。
カナはどのパーツも大きかったけど、食べ方がすごく綺麗だった。
ものが口に入ってる時は何も喋らずひたすら口を動かして味わってる。
それで口の中がちゃんとなくなってから話すんだ。
『すごい美味しい!もっとちょーだい!!』
満開の笑顔で。
ボクはその笑顔が嬉しくて、また突っ込む。
自分のお弁当広げる前に、ボクの蒸し鶏食べてるカナがなんだか可笑しくって。
ボクも笑った。
『またあーんしてる…』
すぐ横でボクらを目撃していたシマ君の、ぼやいてる声がした。
『さっきはありがとう。』
とっておいた蒸し鶏は、お礼の気持ちだった。
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