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第三章
17『虚弱なアンナリーナとアーネストの保護欲』
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結局翌日もナビやセトの懇願を聞いてベッドでゴロゴロとして過ごし、宿の部屋に戻るのは食事の時のみで、あとは本を読んで過ごしていた。
打って変わって翌日は調薬三昧。
ひたすらレシピ固定された【回復薬】と【中級体力ポーションC】を作り続けた。
今回から、アマルが木箱の用意や瓶の収納を手伝ってくれて随分助かる。
アンナリーナは調子に乗ってポーション瓶がなくなるほど作成してしまった。
で、翌日も寝込む事になる。
ナビの小言は耳に痛く、上掛けに包まって丸くなる。耳を塞いでも念話で話しかけてくるのだ。
甘んじて諫言を受け入れるしかない。
宿の方にはアマルにメモを届けさせ、降りてこなくても心配しないように言っておく。
一方【疾風の凶刃】の面々は、いつまで待っても来ない連絡にいい加減、焦れていた。
ようやく、決心してテオドールとアーネストが訪ねてみて、寝込んでいると聞いて、真っ青になった。
慌てて階段を駆け上がろうとすると、結界が張られているから、と止められる。
「大丈夫なのか?」
「1日1回は、あのヒラヒラした子がメモを持って降りてくるから、ちゃんと連絡は取れているのよ?」
2人はそのときを待つ事にする。
自分たちが訪れている事を書いたメモを用意し、じっと階段を見つめていた。
小一時間もそうしていただろうか。
ヒラヒラのジェリーフィッシュがふわふわと降りてきた。
その触手で食器の入った盆を持ち、近づいてくる。
このジェリーフィッシュという魔獣はさほど強い種ではないが、弱いというわけでもないはずだ。
それが、召使いよろしく、人の命令を聞いているのがとても奇異に思えてくる。
「悪いが、お前のご主人様にこのメモを渡してもらえるだろうか?」
差し出されたメモを受け取って、ジェリーフィッシュはまたフヨフヨと浮かんで部屋に戻っていく。
2人はそのまま、後に続いた。
ふつうにドアを開けて、ふつうに入っていく。
2人の目の前で閉められたドアはどうやっても開けることが出来ない。
「結界……本当だったんだな」
「あんな女の子が1人で旅をしているんです。結界がないと生き残れないでしょう。
宿屋でも警戒を怠らず結界を張る。
間違っていませんよ」
冒険者にとって、ある意味理想だろう。強力な結界持ちがいれば夜営の見張りはずいぶん楽になる。
「あの子がうちのクランに入ってくれたら、言うことないんだけどな」
「それ、絶対に本人に言わないで下さいね。
ああいうタイプの子は束縛を何よりも嫌うんです。
耳にした途端、あっという間にドロンですよ? わかってますよね?」
アーネストの目が座っている。
「わかってるよ。
ただ、少しでもお近づきになりたいじゃないか」
2人の話が落ち着くのを待っていたかのようにドアが開く。
アマルが入るようにと手招きしていて、アーネストは恐る恐る足を踏み入れた。
部屋には先日と同じようにテントが張られたままで、入り口の布を捲って入ると、怠そうに座るアンナリーナがいた。
「何の連絡もせずにごめんなさい。
今日はちょっと余裕がなくて、お構い出来ないけど」
それでもアマルが茶器を運んできて、2人にハーブ茶を淹れてくれた。
見るからに顔色の悪いアンナリーナを見て、2人は言葉を失った。
思っていたよりずっと良くなさそうな状態にアーネストなどはうろたえている。
「ごめんなさいね。
私、身体が弱くて……
たまにこういう状態になるの」
アーネストには思い当たる事があってさらに顔つきがきつくなる。
……魔力が多い子供が良くなる症状なのだが、膨大な量の魔力に生身の身体が耐えきれずに悲鳴をあげる。
内臓の働きが弱って、命を落とすものもいるのだが根本的な治療法はない。
ただ、対処療法でしのぐしかない。
ふつうは大人になれば、身体に魔力が馴染むものなのだが、彼女は子供と言っても良い体格だ。
「私……生みの親から虐待を受けて、子供の頃に成長が止まってしまったようなの。
もう、これ以上大きくなれないって師匠も言ってたし、だから体力ないのよ」
儚げな笑みを浮かべるアンナリーナを、アーネストは己の持つ力、全力で守りたいと思う。
打って変わって翌日は調薬三昧。
ひたすらレシピ固定された【回復薬】と【中級体力ポーションC】を作り続けた。
今回から、アマルが木箱の用意や瓶の収納を手伝ってくれて随分助かる。
アンナリーナは調子に乗ってポーション瓶がなくなるほど作成してしまった。
で、翌日も寝込む事になる。
ナビの小言は耳に痛く、上掛けに包まって丸くなる。耳を塞いでも念話で話しかけてくるのだ。
甘んじて諫言を受け入れるしかない。
宿の方にはアマルにメモを届けさせ、降りてこなくても心配しないように言っておく。
一方【疾風の凶刃】の面々は、いつまで待っても来ない連絡にいい加減、焦れていた。
ようやく、決心してテオドールとアーネストが訪ねてみて、寝込んでいると聞いて、真っ青になった。
慌てて階段を駆け上がろうとすると、結界が張られているから、と止められる。
「大丈夫なのか?」
「1日1回は、あのヒラヒラした子がメモを持って降りてくるから、ちゃんと連絡は取れているのよ?」
2人はそのときを待つ事にする。
自分たちが訪れている事を書いたメモを用意し、じっと階段を見つめていた。
小一時間もそうしていただろうか。
ヒラヒラのジェリーフィッシュがふわふわと降りてきた。
その触手で食器の入った盆を持ち、近づいてくる。
このジェリーフィッシュという魔獣はさほど強い種ではないが、弱いというわけでもないはずだ。
それが、召使いよろしく、人の命令を聞いているのがとても奇異に思えてくる。
「悪いが、お前のご主人様にこのメモを渡してもらえるだろうか?」
差し出されたメモを受け取って、ジェリーフィッシュはまたフヨフヨと浮かんで部屋に戻っていく。
2人はそのまま、後に続いた。
ふつうにドアを開けて、ふつうに入っていく。
2人の目の前で閉められたドアはどうやっても開けることが出来ない。
「結界……本当だったんだな」
「あんな女の子が1人で旅をしているんです。結界がないと生き残れないでしょう。
宿屋でも警戒を怠らず結界を張る。
間違っていませんよ」
冒険者にとって、ある意味理想だろう。強力な結界持ちがいれば夜営の見張りはずいぶん楽になる。
「あの子がうちのクランに入ってくれたら、言うことないんだけどな」
「それ、絶対に本人に言わないで下さいね。
ああいうタイプの子は束縛を何よりも嫌うんです。
耳にした途端、あっという間にドロンですよ? わかってますよね?」
アーネストの目が座っている。
「わかってるよ。
ただ、少しでもお近づきになりたいじゃないか」
2人の話が落ち着くのを待っていたかのようにドアが開く。
アマルが入るようにと手招きしていて、アーネストは恐る恐る足を踏み入れた。
部屋には先日と同じようにテントが張られたままで、入り口の布を捲って入ると、怠そうに座るアンナリーナがいた。
「何の連絡もせずにごめんなさい。
今日はちょっと余裕がなくて、お構い出来ないけど」
それでもアマルが茶器を運んできて、2人にハーブ茶を淹れてくれた。
見るからに顔色の悪いアンナリーナを見て、2人は言葉を失った。
思っていたよりずっと良くなさそうな状態にアーネストなどはうろたえている。
「ごめんなさいね。
私、身体が弱くて……
たまにこういう状態になるの」
アーネストには思い当たる事があってさらに顔つきがきつくなる。
……魔力が多い子供が良くなる症状なのだが、膨大な量の魔力に生身の身体が耐えきれずに悲鳴をあげる。
内臓の働きが弱って、命を落とすものもいるのだが根本的な治療法はない。
ただ、対処療法でしのぐしかない。
ふつうは大人になれば、身体に魔力が馴染むものなのだが、彼女は子供と言っても良い体格だ。
「私……生みの親から虐待を受けて、子供の頃に成長が止まってしまったようなの。
もう、これ以上大きくなれないって師匠も言ってたし、だから体力ないのよ」
儚げな笑みを浮かべるアンナリーナを、アーネストは己の持つ力、全力で守りたいと思う。
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