145 / 577
第三章
38『ダンジョンの牛、ミノタウロス』
しおりを挟む
アンナリーナは、テントの中のリビングのソファーに腰を下ろし、ツリーハウスから持ってきたマグカップを手に睨みつけるように結界の外の冒険者たちを見ていた。
彼らは6人パーティで、大楯を持つ男がリーダーのようだ。体力値5630、魔力値525。
あとは重戦士(体力値4589、魔力値963) 魔法剣士(4890、魔力値3924) 盗賊(体力値3640、魔力値1450) 魔術師(体力値3149、魔力値6580) 治癒師(体力値1950、魔力値1130)で構成されていた。
「んんっ?! 治癒師?」
この職種は初めて見た。
治癒魔法を使える者が数少なく希少なので滅多にお目にかからない。
さすが王都の大手クランという事か。
「ああ~ 興味あるな~
色々、お話してみたいな~」
「どうなさいます?」
「声、かけたいな。
でも、あとの人は邪魔!」
アンナリーナはそわそわと動き回っている。
結界を背にして座り込んだ男たちは銘々取り出した金属製のマグカップに、魔術師が作り出した湯が注がれていく。
焚き火をして温かい食事を摂りたいところだが魔獣を誘う可能性があるのでご法度だ。
「なあ、お前結界くらい張れないのかよ」
盗賊の男が魔術師に絡む。
「無茶言わないで下さいよ。
どれだけ希少な魔法かわかってるんですか?」
現実では、このパーティが火も熾さずに湯を得ているというのも凄いのだが。水魔法を使うものは多いがそれを加熱出来るかと言えば、それはまた別の話だ。
彼らは今、硬いパンと干し肉、そして熱い湯で食事を摂っていた。
テントの中のアンナリーナたちとはかなりの違いである。
「リーダー、今夜はここで野営していくんだろう?
見張りの順番はどうする?」
「じゃあ、2・2・2で行くか。
初めは……」
翌朝、アンナリーナは6人組が立ち去るまで動きを見せなかった。
彼らは興味津々で、テントの持ち主が出てくるのを待っていたが、いつまで待っても出てこない事に焦れて、ようやく出発してくれた。
おかげでアンナリーナたちの出発も遅れてしまい、すっかりおかんむりだ。
「今日はあのひとたちを追い越して次の階層に降りて行くよ」
この階層に出没する魔獣は森林タイプ。森狼の上位者と亜種が数十頭の群れで襲ってくる。
直上の階層とほぼ同じ種だ。
「この階層の魔獣に興味ないし、ヒトと魔獣を避けて行こうか……昨夜のあの人たちはまだもぐるつもりかしら。
もう、結構ギリギリっぽかったけど」
この世界のダンジョンは、アンナリーナの前世の知識にあるダンジョン(迷宮)と違ってボスもいなければ、ワープポイント(魔法陣)もない。
当然冒険者は帰りの分も考慮してもぐらなくてはならないのだが、昨夜の連中はいささか暴走ぎみだ。
苦戦する冒険者や魔獣の間をすり抜け、アンナリーナは8階層に降りて行く。
そこで、この階層に出没する魔獣を見てアンナリーナは狂喜した。
「ミノタウロス! 牛ーっ!!」
その姿を見て、目の色を変えたアンナリーナは【飛行】しながら【血抜き】を乱発した。
「ヒャッホー! 牛だよ、牛ーーっ」
階層のミノタウロスをすべて狩り、今アンナリーナは階段の踊り場で復活を待っている。
「主人様、どうなさるおつもりですか?」
「うん、ミノタウロスは珍しいですからね、とことん狩るつもりですよ。
この階層に何泊かしてもいいと思ってます。牛肉は美味しいですよ」
今夜のご飯はハンバーグだと、アンナリーナは強く思った。
彼らは6人パーティで、大楯を持つ男がリーダーのようだ。体力値5630、魔力値525。
あとは重戦士(体力値4589、魔力値963) 魔法剣士(4890、魔力値3924) 盗賊(体力値3640、魔力値1450) 魔術師(体力値3149、魔力値6580) 治癒師(体力値1950、魔力値1130)で構成されていた。
「んんっ?! 治癒師?」
この職種は初めて見た。
治癒魔法を使える者が数少なく希少なので滅多にお目にかからない。
さすが王都の大手クランという事か。
「ああ~ 興味あるな~
色々、お話してみたいな~」
「どうなさいます?」
「声、かけたいな。
でも、あとの人は邪魔!」
アンナリーナはそわそわと動き回っている。
結界を背にして座り込んだ男たちは銘々取り出した金属製のマグカップに、魔術師が作り出した湯が注がれていく。
焚き火をして温かい食事を摂りたいところだが魔獣を誘う可能性があるのでご法度だ。
「なあ、お前結界くらい張れないのかよ」
盗賊の男が魔術師に絡む。
「無茶言わないで下さいよ。
どれだけ希少な魔法かわかってるんですか?」
現実では、このパーティが火も熾さずに湯を得ているというのも凄いのだが。水魔法を使うものは多いがそれを加熱出来るかと言えば、それはまた別の話だ。
彼らは今、硬いパンと干し肉、そして熱い湯で食事を摂っていた。
テントの中のアンナリーナたちとはかなりの違いである。
「リーダー、今夜はここで野営していくんだろう?
見張りの順番はどうする?」
「じゃあ、2・2・2で行くか。
初めは……」
翌朝、アンナリーナは6人組が立ち去るまで動きを見せなかった。
彼らは興味津々で、テントの持ち主が出てくるのを待っていたが、いつまで待っても出てこない事に焦れて、ようやく出発してくれた。
おかげでアンナリーナたちの出発も遅れてしまい、すっかりおかんむりだ。
「今日はあのひとたちを追い越して次の階層に降りて行くよ」
この階層に出没する魔獣は森林タイプ。森狼の上位者と亜種が数十頭の群れで襲ってくる。
直上の階層とほぼ同じ種だ。
「この階層の魔獣に興味ないし、ヒトと魔獣を避けて行こうか……昨夜のあの人たちはまだもぐるつもりかしら。
もう、結構ギリギリっぽかったけど」
この世界のダンジョンは、アンナリーナの前世の知識にあるダンジョン(迷宮)と違ってボスもいなければ、ワープポイント(魔法陣)もない。
当然冒険者は帰りの分も考慮してもぐらなくてはならないのだが、昨夜の連中はいささか暴走ぎみだ。
苦戦する冒険者や魔獣の間をすり抜け、アンナリーナは8階層に降りて行く。
そこで、この階層に出没する魔獣を見てアンナリーナは狂喜した。
「ミノタウロス! 牛ーっ!!」
その姿を見て、目の色を変えたアンナリーナは【飛行】しながら【血抜き】を乱発した。
「ヒャッホー! 牛だよ、牛ーーっ」
階層のミノタウロスをすべて狩り、今アンナリーナは階段の踊り場で復活を待っている。
「主人様、どうなさるおつもりですか?」
「うん、ミノタウロスは珍しいですからね、とことん狩るつもりですよ。
この階層に何泊かしてもいいと思ってます。牛肉は美味しいですよ」
今夜のご飯はハンバーグだと、アンナリーナは強く思った。
5
あなたにおすすめの小説
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
婚約者を姉に奪われ、婚約破棄されたエリーゼは、王子殿下に国外追放されて捨てられた先は、なんと魔獣がいる森。そこから大逆転するしかない?怒りの
山田 バルス
ファンタジー
王宮の広間は、冷え切った空気に満ちていた。
玉座の前にひとり、少女が|跪い《ひざまず》ていた。
エリーゼ=アルセリア。
目の前に立つのは、王国第一王子、シャルル=レインハルト。
「─エリーゼ=アルセリア。貴様との婚約は、ここに破棄する」
「……なぜ、ですか……?」
声が震える。
彼女の問いに、王子は冷然と答えた。
「貴様が、カリーナ嬢をいじめたからだ」
「そ、そんな……! 私が、姉様を、いじめた……?」
「カリーナ嬢からすべて聞いている。お前は陰湿な手段で彼女を苦しめ、王家の威信をも|貶めた《おとし》さらに、王家に対する謀反を企てているとか」
広間にざわめきが広がる。
──すべて、仕組まれていたのだ。
「私は、姉様にも王家にも……そんなこと……していません……!」
必死に訴えるエリーゼの声は、虚しく広間に消えた。
「黙れ!」
シャルルの一喝が、広間に響き渡る。
「貴様のような下劣な女を、王家に迎え入れるわけにはいかぬ」
広間は、再び深い静寂に沈んだ。
「よって、貴様との婚約は破棄。さらに──」
王子は、無慈悲に言葉を重ねた。
「国外追放を命じる」
その宣告に、エリーゼの膝が崩れた。
「そ、そんな……!」
桃色の髪が広間に広がる。
必死にすがろうとするも、誰も助けようとはしなかった。
「王の不在時に|謀反《むほん》を企てる不届き者など不要。王国のためにもな」
シャルルの隣で、カリーナがくすりと笑った。
まるで、エリーゼの絶望を甘美な蜜のように味わうかのように。
なぜ。
なぜ、こんなことに──。
エリーゼは、震える指で自らの胸を掴む。
彼女はただ、幼い頃から姉に憧れ、姉に尽くし、姉を支えようとしていただけだったのに。
それが裏切りで返され、今、すべてを失おうとしている。
兵士たちが進み出る。
無骨な手で、エリーゼの両手を後ろ手に縛り上げた。
「離して、ください……っ」
必死に抵抗するも、力は弱い。。
誰も助けない。エリーゼは、見た。
カリーナが、微笑みながらシャルルに腕を絡め、勝者の顔でこちらを見下ろしているのを。
──すべては、最初から、こうなるよう仕組まれていたのだ。
重い扉が開かれる。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる