魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第三章

38『ダンジョンの牛、ミノタウロス』

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 アンナリーナは、テントの中のリビングのソファーに腰を下ろし、ツリーハウスから持ってきたマグカップを手に睨みつけるように結界の外の冒険者たちを見ていた。

 彼らは6人パーティで、大楯を持つ男がリーダーのようだ。体力値5630、魔力値525。
 あとは重戦士(体力値4589、魔力値963) 魔法剣士(4890、魔力値3924) 盗賊(体力値3640、魔力値1450) 魔術師(体力値3149、魔力値6580) 治癒師(体力値1950、魔力値1130)で構成されていた。

「んんっ?! 治癒師?」

 この職種は初めて見た。
 治癒魔法を使える者が数少なく希少なので滅多にお目にかからない。
 さすが王都の大手クランという事か。

「ああ~ 興味あるな~
 色々、お話してみたいな~」

「どうなさいます?」

「声、かけたいな。
 でも、あとの人は邪魔!」

 アンナリーナはそわそわと動き回っている。


 結界を背にして座り込んだ男たちは銘々取り出した金属製のマグカップに、魔術師が作り出した湯が注がれていく。
 焚き火をして温かい食事を摂りたいところだが魔獣を誘う可能性があるのでご法度だ。

「なあ、お前結界くらい張れないのかよ」

 盗賊の男が魔術師に絡む。

「無茶言わないで下さいよ。
 どれだけ希少な魔法かわかってるんですか?」

 現実では、このパーティが火も熾さずに湯を得ているというのも凄いのだが。水魔法を使うものは多いがそれを加熱出来るかと言えば、それはまた別の話だ。
 彼らは今、硬いパンと干し肉、そして熱い湯で食事を摂っていた。
 テントの中のアンナリーナたちとはかなりの違いである。

「リーダー、今夜はここで野営していくんだろう?
 見張りの順番はどうする?」

「じゃあ、2・2・2で行くか。
 初めは……」



 翌朝、アンナリーナは6人組が立ち去るまで動きを見せなかった。
 彼らは興味津々で、テントの持ち主が出てくるのを待っていたが、いつまで待っても出てこない事に焦れて、ようやく出発してくれた。
 おかげでアンナリーナたちの出発も遅れてしまい、すっかりおかんむりだ。


「今日はあのひとたちを追い越して次の階層に降りて行くよ」

 この階層に出没する魔獣は森林タイプ。森狼の上位者と亜種が数十頭の群れで襲ってくる。
 直上の階層とほぼ同じ種だ。

「この階層の魔獣に興味ないし、ヒトと魔獣を避けて行こうか……昨夜のあの人たちはまだもぐるつもりかしら。
 もう、結構ギリギリっぽかったけど」

 この世界のダンジョンは、アンナリーナの前世の知識にあるダンジョン(迷宮)と違ってボスもいなければ、ワープポイント(魔法陣)もない。
 当然冒険者は帰りの分も考慮してもぐらなくてはならないのだが、昨夜の連中はいささか暴走ぎみだ。

 苦戦する冒険者や魔獣の間をすり抜け、アンナリーナは8階層に降りて行く。
 そこで、この階層に出没する魔獣を見てアンナリーナは狂喜した。

「ミノタウロス! 牛ーっ!!」

 その姿を見て、目の色を変えたアンナリーナは【飛行】しながら【血抜き】を乱発した。

「ヒャッホー! 牛だよ、牛ーーっ」

 階層のミノタウロスをすべて狩り、今アンナリーナは階段の踊り場で復活を待っている。

「主人様、どうなさるおつもりですか?」

「うん、ミノタウロスは珍しいですからね、とことん狩るつもりですよ。
 この階層に何泊かしてもいいと思ってます。牛肉は美味しいですよ」

 今夜のご飯はハンバーグだと、アンナリーナは強く思った。
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