魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第三章

39『ハンバーグ』

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 アンナリーナの移動は基本森林中心だったので、今まで遭遇した事がないが、草原地帯に行けば牛の魔獣【健啖牛】や【ネビルバッファロー】がいる。
 だが、牛系魔獣を手に入れた事がなかった為、牛肉は今回のミノタウロスが初めてだった。
 そして試しに解体してみると、そのお肉は見事な霜降りで、アンナリーナは感涙してしまった。

「ステーキも美味しそう……セトやイジにお腹いっぱい食べさせてあげたい。ビーフシチューにすき焼き、しゃぶしゃぶ……はっ、涎が……」

 アンナリーナの瞳は瞳孔が開き、ぶつぶつ呟くさまは、少し怖い。

「ミノタウロスがこんなに素晴らしい肉質だったなんて……
 これを他の人に取られるのは業腹だわ」

 何か変なスイッチが入ってしまったようである。
 だが、アンナリーナは知らないが、このダンジョン産のミノタウロスはレベルが高く、平均体力値が2000を超える難関魔獣なのだ。
 昨夜の冒険者パーティの実力では拮抗する事が想像できる。
 そんな魔獣をアンナリーナから横取り出来る者など錚々いないのだが。


「ねぇ、ナビ。
 ダンジョンの中に転移の起点を置く事は出来ないのかしら」

「主人様の魔力なら問題ないのではないですか?」

「私、このミノタウロスのパラダイスから離れる気にならない……」

 アンナリーナの目が据わっている。
【解体】のスキルを使いながらどんどんブロック肉を量産しているアンナリーナは肉以外の部位はアマルのおやつにしようと思う。
 今夜のメイン、ハンバーグに想いを寄せ、また涎を垂らした。


「ついにあなたたちの出番がきたわ」

 アンナリーナの前には以前【異世界買物】で購入していた業務用ミンサーとフードプロセッサーが鎮座している。
 そして彼女の後ろにはアマルとイジが控えていた。

「さあ2人とも、始めるわよ」

 イジに揃いのエプロンを渡し、インベントリから材料を取り出していく。
 まずは玉ねぎ。
 イジに皮をむくように言って、アンナリーナはミノタウロスのブロック肉をスライスしていく。
 その横ではアマルが、適度な大きさに切ったパンをフードプロセッサーでパン粉にしていく。
 その後、玉ねぎをみじん切りにしていき炒めはじめる。
 飴色になるまでゆっくりと炒め、冷ましておく。ちなみに途中で腕がだるくなったのでイジに代わってもらった。
 彼は案外器用で、次回のスキル供与では生活魔法を与えて料理を伸ばしていくのがいいかもしれない。

 フードプロセッサーがあるのですべての材料を一括で混ぜても良いのだが、今回は手捏ねする。
 まず、挽肉はミノタウロス1対オーク1.5。そこに炒めた玉ねぎ、パン粉、玉子、塩、胡椒、マヨネーズ、生クリーム、ナツメグを入れて捏ねる。
 十分捏ねたタネをしばらく寝かせて、小判形に成形していく。
 これはアマルやイジにも手伝ってもらってどんどん作っていった。

 焼く前にもう一度空気を抜き、真ん中を少し凹ませて、フライパンに並べていく。

 ジュウジュウと音を立てて焼けていくハンバーグ。両面を慎重に焼き、竹串を刺して焼け具合を確かめる。
 これで透明の肉汁が出てきたら焼き上がりだ。
 今日はソースは簡単に出来るものにした。これ以上手間のかかるものは、アンナリーナの胃袋が保たない。
 柑橘系の果汁と、醤油、酒、みりん、水、そして玉ねぎのみじん切り。
 これを煮詰めて、玉ねぎに火が通ったら出来上がり。
 とても簡単で美味しいソースだ。

 今夜の夕食は、作り置きしていたコンソメスープ。
 あとはハンバーグと、スプラウトとベビーリーフのサラダ、フレンチドレッシング和え。シンプルなロールパンだ。

 テントの方からセトも呼び、皆で食卓についた。

「いただきます!」

 大皿に山のように盛られたハンバーグを各自取り皿に取って食する。
 アンナリーナは2個も食べればお腹いっぱいだがセトとイジは夢中になって食べている。

 明日も朝一からミノタウロス狩りにいそしむつもりのアンナリーナは、今夜は早く寝ようと思っている。

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