魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第三章

41『前世の味のクリームシチュー』

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「主人様、何を作っていらっしゃるのですか?」

 夕刻になり早々にツリーハウスへと戻ってきたアンナリーナは、キッチンで特大寸胴鍋を前に奮戦していた。

「ん~?
 何となく、招かざるお客が来そうで、その準備?
【異世界買物】で買ったクリームシチューのルーを使えば簡単だし、私もしばらくぶりに食べてみたいから」

 大振りの野菜に大振りの鳥肉。
 具沢山なのでこれだけでも結構腹に溜まるだろう。
 それにこの調理は、昨夜イジに供与した【生活魔法】のスキル、料理の練習にちょうど良い。

「今日はお昼が軽い目だったから、出来上がったら食べてしまいましょ」

 あの冒険者パーティが何かと面倒かけてきそうな気がする。
 アンナリーナは最低限しか関わらないつもりだが。

「やっぱりあの治癒師が気になるのよね」

【異世界買物】で買ったきゅうりとカニかまぼこ、それにチューブ入りの本わさび。
 シチューの仕上げの煮込みをイジとアマルに任せて、きゅうりを千切りし、カニかまをほぐしてわさびマヨネーズで和える。
 たったこれだけの手抜きサラダだが、アンナリーナは前世の頃大好きだった。
 あと、トマトとチーズにはオリーブオイルをたっぷりとかけて、いつものロールパンを添える。


 食後、アンナリーナがいつものポーションを調薬していると、セトが念話で話しかけてきた。

『アルジ、アルジノヨソクドオリ、キノウノボウケンシャタチガヤッテキタ。ダガ、キョウハボロボロダ』

『わかった、すぐにそっちに行くわ』

 ちょうどラベル貼りをしていたアンナリーナは、仕上げてしまうとテントに向かう。
 結界が有効なので気配ひとつ感じられないが、透視で見てみるとボロボロな6人がアンナリーナの結界にもたれかかっていた。

 ジッと様子を確認してみると、ステータスが悲惨な事になっている。
 体力値や魔力値だけなら一晩寝ればそこそこ回復する。
 だがそれに加えて怪我をしていると変わってくる。

「うん、ここまで来るなんて結構頑張ったんじゃない?
 でも、このままじゃ……もう駄目だね。
 ミノタウロスが近づいて来てる」

 アンナリーナの探索マップには、赤い点がいくつかこちらに向かって来るのが見て取れる。

「はっきり言って冒険者パーティなんてどうでもいいんだけど……あの治癒師さんには興味があるんだよね」

「主人様、お一人で行かれるつもりですか?せめてセトをお連れ下さい」

 ブラック・リザードのセトは魔力を感じられるものなら畏怖するほどの魔力量を持つ。
 これはアンナリーナも、意識して抑えておかないと、弱いものなら失神レベルだ。

「じゃあ、セト。行こうか」



 ダンジョンの中で昼夜の区別があると、冒険者たちの体内時計が狂う事がなくてその点は良いのだが、夜は魔獣が強くなる事が多い。
 昨夜、アンナリーナの結界の前で野営した彼らは、当然の事ながら8階層に挑戦し、今は命からがらこの場所にたどり着いた。
 そして自らの目を疑う。
 そこにあるのは昨夜、背後だけだがその結界に守られたテントだ。

「嘘だろ……? いつの間に追い抜いたんだよ」

 這々の体でここまでやって来た彼らは満身創痍。
 特に、盗賊の彼は2人の肩を借りてやっとここまで運ばれて来たのだが、その傷は深い。
 それなのに治癒師は魔力が枯渇してフラフラな状態だ。

「今夜もここで厄介になろう。
 おい、サフラ(盗賊)の治療をしてやろう、ここに寝袋を広げて……」

 リーダーの盾役の男の視界に動くものが捉えられ、顔を上げるとなんともこの場所に不似合いな人物と目が合った。

「こんばんは。
 お困りのように見えますが、手助けは要りますか?」
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