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第四章
109『わがまま王女の拒絶』
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ユングクヴィストに鍵を言伝た翌日、アンナリーナたちは西方街道を西に向かってひた走っていた。
そしてその頃、学院ではまたひと騒動起きそうな予感がしていた。
ユングクヴィストの元からアンナリーナの部屋の鍵が返された寮監は血相を変えて『1号室』に走った。
鍵を開け、手を伸ばして前方を探る。
そして結界の有無を確認して中に入った。
明かりの一切ない中は暗く、魔導灯をつけてようやく確かめることが出来た。
「なんてこと……」
鍵を返却されたことで想像はついていたのだが、こうして目の当たりにしてしまうと自分の無力さに歯噛みしてしまう。
「リーナさん……」
アンナリーナは学院側としても手のかからない優秀な生徒であった。
ユングクヴィストによると退学したわけではないが、これからは外部からの通学となる。
彼女の、折を見て差し入れてくれる菓子類を楽しみにしていた寮監はがっかりしていた。
学院の庶務部から連絡を受けたかの国の大使が駆けつけた時、すべてはマイナスの方へ傾きはじめていた。
「金貨2000枚などと何を言っておられるのかわかりません」
そのとんでもない金額を受けて、大使は顔色を変えている。
「貴国の王女殿下がそのわがままで、ある生徒の部屋を明け渡せと仰られて、話を聞きつけたその生徒の好意で、支払い済みの部屋代金貨2000枚の払い戻しを条件に彼女は退室してくれました。
金貨2000枚と交換でこの鍵をお渡し致します」
「しかし王族は無料のはずだ」
「本来ならばそうですが、この度はこちらから与えた部屋と違う部屋を、元々の住人を追い出してまで入られるのです。
これ以上のわがままは認められません」
大使は冷や汗を拭き拭き、今日のところは保留として大使公邸に引き揚げていった。
そんなところを嗅ぎつけたのか、王女が侍女を伴い寮監の部屋に押しかけてくる。
先日奪った合鍵は、さすがに返さずにはいられなかったが、今日は『1号室』が空いたと聞いてきたので、その行動は大胆だった。
彼女らは “ 金貨2000枚 ”という条件を無視して鍵を要求する。
もみ合いになった女騎士がついに剣を抜いて “ 無礼討ち ”にして寮監に怪我を負わせてしまった。
その上、怪我人を放置し、鍵を奪い取ってしまったのだ。
嬉々とした王女は『1号室』に向けて足取り軽く歩んでいた。
「何これ?」
扉を開けた途端、開口一番王女はそう言った。
「何もない? 何もないわ!」
がらんどうの玄関ホールを通り抜け、向かった居間には、見るからに地味だが良質なソファーセットが置かれていて、先日彼女が目にした素敵な設えの部屋とはまったく違っている。
「何? ここってどうなっていると言うの?」
居間を抜けた寝室も地味なベッドが置かれて、クローゼットの扉が開かれたままだ。
奥の書斎を見、水回りも確かめて、王女は怒りの表情を浮かべていた。
「何よ! こんなのおかしいわ!
あの素敵な家具はどこにいったの?!」
侍女がその時、何かに気づいたように身を震わせた。
自分たちが王女の家具を持ち込んでいるという事に気づいたのだ。
「ああ、王女様。
あの部屋は、すべて持ち込みだったのではないでしょうか?」
その声は震えている。
「嘘っ! そんなのってないわ!!
もう、こんな部屋なんていらない!」
怒りのあまり、ドスドスと足音を立てて、王女は部屋から出ていった。
そしてその頃、学院ではまたひと騒動起きそうな予感がしていた。
ユングクヴィストの元からアンナリーナの部屋の鍵が返された寮監は血相を変えて『1号室』に走った。
鍵を開け、手を伸ばして前方を探る。
そして結界の有無を確認して中に入った。
明かりの一切ない中は暗く、魔導灯をつけてようやく確かめることが出来た。
「なんてこと……」
鍵を返却されたことで想像はついていたのだが、こうして目の当たりにしてしまうと自分の無力さに歯噛みしてしまう。
「リーナさん……」
アンナリーナは学院側としても手のかからない優秀な生徒であった。
ユングクヴィストによると退学したわけではないが、これからは外部からの通学となる。
彼女の、折を見て差し入れてくれる菓子類を楽しみにしていた寮監はがっかりしていた。
学院の庶務部から連絡を受けたかの国の大使が駆けつけた時、すべてはマイナスの方へ傾きはじめていた。
「金貨2000枚などと何を言っておられるのかわかりません」
そのとんでもない金額を受けて、大使は顔色を変えている。
「貴国の王女殿下がそのわがままで、ある生徒の部屋を明け渡せと仰られて、話を聞きつけたその生徒の好意で、支払い済みの部屋代金貨2000枚の払い戻しを条件に彼女は退室してくれました。
金貨2000枚と交換でこの鍵をお渡し致します」
「しかし王族は無料のはずだ」
「本来ならばそうですが、この度はこちらから与えた部屋と違う部屋を、元々の住人を追い出してまで入られるのです。
これ以上のわがままは認められません」
大使は冷や汗を拭き拭き、今日のところは保留として大使公邸に引き揚げていった。
そんなところを嗅ぎつけたのか、王女が侍女を伴い寮監の部屋に押しかけてくる。
先日奪った合鍵は、さすがに返さずにはいられなかったが、今日は『1号室』が空いたと聞いてきたので、その行動は大胆だった。
彼女らは “ 金貨2000枚 ”という条件を無視して鍵を要求する。
もみ合いになった女騎士がついに剣を抜いて “ 無礼討ち ”にして寮監に怪我を負わせてしまった。
その上、怪我人を放置し、鍵を奪い取ってしまったのだ。
嬉々とした王女は『1号室』に向けて足取り軽く歩んでいた。
「何これ?」
扉を開けた途端、開口一番王女はそう言った。
「何もない? 何もないわ!」
がらんどうの玄関ホールを通り抜け、向かった居間には、見るからに地味だが良質なソファーセットが置かれていて、先日彼女が目にした素敵な設えの部屋とはまったく違っている。
「何? ここってどうなっていると言うの?」
居間を抜けた寝室も地味なベッドが置かれて、クローゼットの扉が開かれたままだ。
奥の書斎を見、水回りも確かめて、王女は怒りの表情を浮かべていた。
「何よ! こんなのおかしいわ!
あの素敵な家具はどこにいったの?!」
侍女がその時、何かに気づいたように身を震わせた。
自分たちが王女の家具を持ち込んでいるという事に気づいたのだ。
「ああ、王女様。
あの部屋は、すべて持ち込みだったのではないでしょうか?」
その声は震えている。
「嘘っ! そんなのってないわ!!
もう、こんな部屋なんていらない!」
怒りのあまり、ドスドスと足音を立てて、王女は部屋から出ていった。
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