魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

133『サンプル供与』

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「出来たわ!」

 アンナリーナが先日から開発していた【強力、魔獣除けの香EX】の量産の目処が立ったのだ。
 これはベースになる薬草とバイパー系の上位種を手に入れるのが難しく、すべて手作業なので手間がかかるのだ。
 大きさも、普通の香と違って投げて使うのでかなり大きい。

「でもこれがあれば、一時的にでも魔獣を撃退できるわ」

 ただ、相当高価な対価はいただくが。


 アンナリーナは、先日魔獣に襲われかけた王都に来ていた。
 中央門でギルドカードを見せ中に入ると、その足でギルドに向かう。

「リーナ、おまえが積極的に動くなんて珍しいじゃないか」

 馬車の中から出てきたセトに手綱を任せ、テオドールがアンナリーナとともに御者台から降りる。
 そしてアンナリーナの護衛として、ギルドの扉を開けた。

「いらっしゃいませ。ご依頼ですか?」

 アンナリーナの姿を見た受付嬢が愛想のよい微笑みを浮かべた。
 先日の襲撃から、まださほど日が経っていないのだが、この落ち着いた雰囲気のギルドはさすがだ。

「こんにちは」

 アンナリーナはテオドールのものと合わせて、2枚のギルドカードを差し出した。
 途端、受付嬢の顔色が変わる。
 その、今彼女の目の前にあるのは、この王都でも滅多に見ないS級のカードと、A級で薬師と記されたカードだ。

「鑑定士さんか、管理職の方とお会いしたいのですが」

 すぐに隣の席の受付嬢が立ち上がり、奥に駆けていった。

「失礼しました。
 どうぞこちらへ……お部屋に案内させていただきます」

 アンナリーナたちがその応接室に入ると、すぐその後からひとりの男がやって来た。

「お待たせしました。
 私はここの副ギルドマスターのヤン・ソーサラスです。
 今日はどう言ったご用件でしょうか?」

「初めまして、私は旅の薬師で現在は採取旅行中ですが、ハルメトリア王立魔法学院生のアンナリーナ。
 こちらは護衛のテオドールです」

 受付嬢から返されたギルドカードをテーブルに置く。
 そこにもうひとり、老人と言っていいほどの年齢の男が入ってきた。

「お呼びですか?」

 アンナリーナの鑑定では【鑑定士】と出た。だが老人からの鑑定はレジストされてしまう。
 びくりと身を震わせた老人を見て、アンナリーナは笑みを浮かべた。

「こんにちは。
 実は今日は、私が新しく開発した【魔獣除けの香】を持って参りました。
 これは香の効果を格段に上げた、スタンピートすら一時的に退けるものです。
 私は、これを今回、一個だけお預けして効果を確かめて頂きたいと思っています」

 そう言ってアンナリーナはアイテムバッグから、ひとつの箱を取り出した。

「これに点火して、魔獣の群れに投げ込むだけです……もちろんこちらでは、こんなものは使われない方がよいと思いますが、サンプルとしてお預けします。もしも気に入っていただいたら、次からは買って下さいね」

 アンナリーナが言った、この一個に関してはタダだと言うことが信じられなかった。
 それを見透かしたように、アンナリーナはクスクスと笑う。

「これは材料が特殊で、かなりお高いのですよ。
 ですので効果を確かめていただかないと購入してもらうのは難しいと」

「本来はいかほど?」

「金貨10000枚です。
 効果は5日間続きます……そのくらいあれば形勢を立て直せますよね。
 それとこの香を複数使うと、進行方向を変えることが出来ると思いますよ?」

 ヤン・ソーサラスの目つきが変わった。

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