468 / 577
第四章
228『再びの上陸』
しおりを挟む
今、アンナリーナは再び、大陸の土を踏んだ。
この大陸の正式な名称は【ブエルネギア大陸】と言い、主に魔族とエルフ、ドワーフに獣人と稀少な種族の暮らす、いわゆる人外魔境であった所を昨今、ヒト属が交易のために入植した、雑多な種族の暮らす地である。
「リーナ、無茶は許せない」
今回、一応船に乗った記録のある4人……アンナリーナを含め、テオドール、セト、イジが転移点から姿を現した。落ち着ける拠点が定まり次第、ネロを呼び出す予定である。
「【飛行】出来るか試してみて、駄目ならセトに乗せてもらって様子を見るだけじゃん。
上空から確認しなければ、どちらの方向に進めば良いかもわからないでしょう?」
いつまでもこんな僻地でぐずぐずしていられない。
アンナリーナはステータスを確認してから【飛行】を行使した。
同時にドラゴンの羽を生やしたセトが続く。
テオドールとイジは、その場で見上げる事しか出来ない。
「【飛行】は問題なさそう」
ゆっくりと上空に上がっていったアンナリーナは、その場で360度見回して見た。
まずは自分たちがやってきた海。
海岸線からどこまでも続く大海原……島影ひとつ見えない。
そしてさらに高度を上げて、砂浜と森の海岸線を追った。
「本当に……まったく何もない所なのね。
もっと上から見ないと全体像が掴めないわ」
この場からでは、どこまでも続く大森林しか見えない。
アンナリーナはさらに上昇して、まるで航空写真のような高度から下を見下ろした。
そして、船の中で見せてもらった地図と重ね合わせて見る。
「ここまで上がるとさすがに、人が住んでいる地域がわかるわよね」
「主人」
「さて、どの方向に行けば良いかしら。
港は……不法入国がバレるからやめた方がいいわよね。
海岸線から比較的近い村か町に、遭難者として潜り込むのが、一番無難かなぁ」
「主人、まさかひとりで行くつもりではないでしょうね?」
セトの怒った声が聞こえてくる。
「その方が警戒されないでしょ?
熊さんやイジを連れていたら警戒されるだけだよ」
「主人、俺は」
「もちろんセトはアイデクセに変化してもらって、一緒にいてもらうよ。
……しかしこの森林は、魔獣の森並みに深いよね。
私たち、実はめちゃくちゃ運が悪い?」
念話でその遣り取りを聞いていたテオドールが吹き出した。
アンナリーナが選んだのはここから海岸沿いに西に向かって、普通の人間の足で3日、さらに内陸部に向かって北に2日歩いた場所にある割と大きめの町だ。
この近くにはいくつかの漁村があったが、あまりにも小さな村なので、余所者に対する危機感が強かった時のため、あえて避けたのだ。
そしてここは元々は魔族の勢力地であったのだが、今は獣人族やドワーフ、少数だがエルフも住む稀有な町だ。
今、アンナリーナはかなり緊張していた。
魔獣の森から出て、初めてモロッタイヤ村を訪れた時を思い出す。
「主人、大丈夫か?震えている」
「うん、ちょっと緊張している。
この大陸での身分証を持っていないし、ちゃんと町に入れるかどうか……
はっきり言って、ちょっと不安」
海側から伸びてきている道は、街道と言うには細すぎて、まるで小径のようだ。
ようやく馬車が通れる、車輪の轍が通り道となっている、そんな道だ。
そこをアンナリーナがトコトコと歩いている。
もうすでに町を囲む高い石壁が見えて来ていて、門に至る道に馬車の姿もあった。
「ドキドキするね」
この大陸の正式な名称は【ブエルネギア大陸】と言い、主に魔族とエルフ、ドワーフに獣人と稀少な種族の暮らす、いわゆる人外魔境であった所を昨今、ヒト属が交易のために入植した、雑多な種族の暮らす地である。
「リーナ、無茶は許せない」
今回、一応船に乗った記録のある4人……アンナリーナを含め、テオドール、セト、イジが転移点から姿を現した。落ち着ける拠点が定まり次第、ネロを呼び出す予定である。
「【飛行】出来るか試してみて、駄目ならセトに乗せてもらって様子を見るだけじゃん。
上空から確認しなければ、どちらの方向に進めば良いかもわからないでしょう?」
いつまでもこんな僻地でぐずぐずしていられない。
アンナリーナはステータスを確認してから【飛行】を行使した。
同時にドラゴンの羽を生やしたセトが続く。
テオドールとイジは、その場で見上げる事しか出来ない。
「【飛行】は問題なさそう」
ゆっくりと上空に上がっていったアンナリーナは、その場で360度見回して見た。
まずは自分たちがやってきた海。
海岸線からどこまでも続く大海原……島影ひとつ見えない。
そしてさらに高度を上げて、砂浜と森の海岸線を追った。
「本当に……まったく何もない所なのね。
もっと上から見ないと全体像が掴めないわ」
この場からでは、どこまでも続く大森林しか見えない。
アンナリーナはさらに上昇して、まるで航空写真のような高度から下を見下ろした。
そして、船の中で見せてもらった地図と重ね合わせて見る。
「ここまで上がるとさすがに、人が住んでいる地域がわかるわよね」
「主人」
「さて、どの方向に行けば良いかしら。
港は……不法入国がバレるからやめた方がいいわよね。
海岸線から比較的近い村か町に、遭難者として潜り込むのが、一番無難かなぁ」
「主人、まさかひとりで行くつもりではないでしょうね?」
セトの怒った声が聞こえてくる。
「その方が警戒されないでしょ?
熊さんやイジを連れていたら警戒されるだけだよ」
「主人、俺は」
「もちろんセトはアイデクセに変化してもらって、一緒にいてもらうよ。
……しかしこの森林は、魔獣の森並みに深いよね。
私たち、実はめちゃくちゃ運が悪い?」
念話でその遣り取りを聞いていたテオドールが吹き出した。
アンナリーナが選んだのはここから海岸沿いに西に向かって、普通の人間の足で3日、さらに内陸部に向かって北に2日歩いた場所にある割と大きめの町だ。
この近くにはいくつかの漁村があったが、あまりにも小さな村なので、余所者に対する危機感が強かった時のため、あえて避けたのだ。
そしてここは元々は魔族の勢力地であったのだが、今は獣人族やドワーフ、少数だがエルフも住む稀有な町だ。
今、アンナリーナはかなり緊張していた。
魔獣の森から出て、初めてモロッタイヤ村を訪れた時を思い出す。
「主人、大丈夫か?震えている」
「うん、ちょっと緊張している。
この大陸での身分証を持っていないし、ちゃんと町に入れるかどうか……
はっきり言って、ちょっと不安」
海側から伸びてきている道は、街道と言うには細すぎて、まるで小径のようだ。
ようやく馬車が通れる、車輪の轍が通り道となっている、そんな道だ。
そこをアンナリーナがトコトコと歩いている。
もうすでに町を囲む高い石壁が見えて来ていて、門に至る道に馬車の姿もあった。
「ドキドキするね」
4
あなたにおすすめの小説
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約者を姉に奪われ、婚約破棄されたエリーゼは、王子殿下に国外追放されて捨てられた先は、なんと魔獣がいる森。そこから大逆転するしかない?怒りの
山田 バルス
ファンタジー
王宮の広間は、冷え切った空気に満ちていた。
玉座の前にひとり、少女が|跪い《ひざまず》ていた。
エリーゼ=アルセリア。
目の前に立つのは、王国第一王子、シャルル=レインハルト。
「─エリーゼ=アルセリア。貴様との婚約は、ここに破棄する」
「……なぜ、ですか……?」
声が震える。
彼女の問いに、王子は冷然と答えた。
「貴様が、カリーナ嬢をいじめたからだ」
「そ、そんな……! 私が、姉様を、いじめた……?」
「カリーナ嬢からすべて聞いている。お前は陰湿な手段で彼女を苦しめ、王家の威信をも|貶めた《おとし》さらに、王家に対する謀反を企てているとか」
広間にざわめきが広がる。
──すべて、仕組まれていたのだ。
「私は、姉様にも王家にも……そんなこと……していません……!」
必死に訴えるエリーゼの声は、虚しく広間に消えた。
「黙れ!」
シャルルの一喝が、広間に響き渡る。
「貴様のような下劣な女を、王家に迎え入れるわけにはいかぬ」
広間は、再び深い静寂に沈んだ。
「よって、貴様との婚約は破棄。さらに──」
王子は、無慈悲に言葉を重ねた。
「国外追放を命じる」
その宣告に、エリーゼの膝が崩れた。
「そ、そんな……!」
桃色の髪が広間に広がる。
必死にすがろうとするも、誰も助けようとはしなかった。
「王の不在時に|謀反《むほん》を企てる不届き者など不要。王国のためにもな」
シャルルの隣で、カリーナがくすりと笑った。
まるで、エリーゼの絶望を甘美な蜜のように味わうかのように。
なぜ。
なぜ、こんなことに──。
エリーゼは、震える指で自らの胸を掴む。
彼女はただ、幼い頃から姉に憧れ、姉に尽くし、姉を支えようとしていただけだったのに。
それが裏切りで返され、今、すべてを失おうとしている。
兵士たちが進み出る。
無骨な手で、エリーゼの両手を後ろ手に縛り上げた。
「離して、ください……っ」
必死に抵抗するも、力は弱い。。
誰も助けない。エリーゼは、見た。
カリーナが、微笑みながらシャルルに腕を絡め、勝者の顔でこちらを見下ろしているのを。
──すべては、最初から、こうなるよう仕組まれていたのだ。
重い扉が開かれる。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる