ムズキュン注意報!7分で恋のドキドキ完結

もっくん

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この恋、ジェネリックじゃありません!

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西村紗季(にしむら さき)、26歳。内科クリニックの受付医療事務として働きはじめて4ヶ月。

そして、クリニックに毎週やってくる製薬会社のMR(医薬情報担当者)、32歳の遠山憲一郎(とおやま けんいちろう)との間に、恋が始まっていた。

とはいえ、まだ職場の人たちには公にしていない。
だってまだ1回デートしただけだから。


院長や看護師たちはみんな40代以上の既婚者で、遠山さんも長年の付き合いのある“クリニックの身内”のような存在。
私がこの職場に来る前から遠山さんは院長のお気に入りMRで、雑談もするし、飲み会に呼ばれたり当然のようにランチに行くくらい仲がいい。

そんな彼と仲良くなったのはついこの前、新年会の時だった。
院長がいつもどおり「どうせなら遠山くんも」と誘ったことで参加し、そこで私たちは距離を縮めた。

それまで私は遠山さんのことを「きっと既婚者なんだろうな」と勝手に思い込んでいた。
でも、会話の中で独身だと判明した瞬間から、なんだか話しやすくなった。
お酒の力もあってか、気づけば二人で連絡先を交換し、後日デート。
そして、その後の夜のことも……まだ誰にも知られていない。


数日後、遠山さんが新薬の紹介でクリニックにやってきた。
受付で遠山さんがみんなに挨拶する。紗季にはこっそり目配せしてくれる。
紗季もマスクの下でこっそり笑顔を返した。
心の中で、また後で連絡するね…と呟く。


ちょっと経って院長が出てきた。
「やあ遠山くん、この前の新年会は楽しかったね。」

「こちらこそ、ありがとうございます。」

そして新薬の説明が始まるが、私はついつい彼の横顔をチラ見しながら聞き耳を立ててしまう。

話題はまた雑談に戻る。
院長がふと別の話題を振った。

「そういえば最近奥さんはどうだね?」

「いや~相変わらずですよ。あれこれチェックしてきて口うるさいったらありゃしない。この前なんて…」

「それは奥さんらしいね。元気そうで安心したよ。この前の新年会も一緒に来ればよかったのに。」

「そうですね。一応誘ったんですが、産婦人科の予定があって。」


その瞬間、私の頭が真っ白になった。

奥さん……?

遠山さんに奥さんがいた……?

そして、産婦人科……? 妊娠してるの? そんな状態で、私と一晩過ごしたの……!?

思考がぐるぐると回る。


遠山さんが帰り際、また私に目配せしてきたが、私は気づかないフリをした。

裏切られた気持ちでいっぱいだった。

その後の仕事は手につかない。


悶々としながら、私は職場にある遠山さんの製薬会社のファイルを何気なくパラパラとめくっていた。

新薬のデータ、パンフレット、送り状には全部、担当MRとして遠山憲一郎の名前がある。
もちろんそんなものを見ても遠山さんが既婚者か独身かなんてわかりっこない。

意味も無くパラパラと過去の日付の書類を遡っていく。
私とまだ会う前の遠山さん…

すると、2年前の書類で担当MRの名前が変わっていたことに気づく。


奥信彦(おく のぶひこ)


何気なく院長に聞いてみた。
「この奥信彦さんって人……?」

「ああ、奥さんね。遠山くんの前任者だよ。面白い人でね。2年前にマネージャーに昇進したんだよ。もう50歳くらいかな。」


奥さん……


いや、奥信彦(おく のぶひこ)……

男じゃん!!!!おっさんじゃん!!!

思わず手に持っていたファイルを落としそうになった。


じゃああの「奥さん」って……

まさか……

「産婦人科の予定」って……

……MRだから、仕事で産婦人科に行く予定があったってこと!?

私、思いっきり勘違いしてた……!!!

ああああ!!!


私は大急ぎでスマホを取り出し、遠山さんにメッセージを送った。

『さっきは忙しくてごめんなさい!また二人で会いたい』

すると、すぐに返信がきた。

『僕もそう思っていたところだよ。正式にお付き合い始めたら、クリニックのみなさんにも知らせようと思う』

……!!!

私の顔は一気に真っ赤になった。

なんて返せばいいかわからなくて、しばらく迷った後、結局『ありがとう』のうさぎさんスタンプを押した。

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