ムズキュン注意報!7分で恋のドキドキ完結

もっくん

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ラブコメ主人公、今日もギリギリの試練です

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僕の家は大学の同級生たちの溜まり場になっている。誰かしらがふらっと訪れては適当にくつろぎ、雑談し、時には泊まっていく。
青春の舞台だ。
そんな中、今日は富美香が遊びに来た。

彼女は軽い生地のふわっとしたスカートを履いていて、その姿が妙に可愛らしい。
正直に言うと、僕は富美香のことが好きだ。
気の強いところもあるけど、時々見せる無防備な表情がたまらなく愛おしい。
そう、無防備さが。

「昨日さ、動画観てたら止まんなくなってさー、寝不足~」
そう言いながら、彼女は床に寝転がった。

「おいおい、そんなところで寝るなよ。すぐにみんな来るぞ?」

しかし、返事はない。

彼女は秒速で眠りの世界に落ちていた。横向きにS字の形になり、規則正しい寝息を立てている。


「すぅ…すぅ…すぅ…」


なんて無防備な……。そしてやっぱりかわええ…。


ふと目を向けると、スカートの裾が微妙にめくれ、お尻側のパンツがちらりと見えていた。

サーモンピンク…か…。
僕は思わず視線をフォーカスする。
見てはいけない、見てはいけない、と思いながらも、目が離せない。

しかし、次の瞬間、冷静になった。

このあと、他の男メンバーが授業前に来るじゃないか!?

このままでは富美香のパンツがみんなに見られてしまう。それは僕にとっても由々しき問題だ。
せっかく僕だけが見れたのに、他の男に見られるのは許せない!

いや、そうじゃない。富美香の名誉のためだ!


僕は富美香を起こさず、そっとスカートを元の位置に戻す作戦に出た。

スカートの裾を親指と人差し指で慎重につまみ、ゆっくりと持つ。

しかし、その瞬間。

「んん~…むにゃ…」

富美香が寝返りを打った。

やばい!この状態でバレたら僕がわざわざスカートをめくっていたと誤解される!

さらに悪いことに、寝返りの勢いでスカートがさらに捲れてしまい、お尻側だけでなく前側まで見えそうになってしまった。

意外に布面積が狭いな…。
スリル満点すぎる。

そのとき、僕の目覚まし時計が目に入った。

やばい! あと1分でアラームが鳴る設定になっている!
登校準備の時間を早めに設定してたんだ、過去の僕!

急いで止めないと大音量で鳴り響き、富美香が目を覚ましてしまう。
しかし、いまスカートを戻す手を放したら、太ももにパサッと触れて彼女を起こしてしまうかもしれない。

僕は苦肉の策で、足の指でスカートの裾をつまんだまま、体をギリギリ伸ばして目覚まし時計を止めることに成功した。

だが、次なるピンチが訪れる。

テーブルの上のマラカスが落ちそう。
棚の上のペンが転がりそう。
スタンドライトが倒れそう。

僕はそれぞれに手足を伸ばし、アクロバティックな体勢で対応する。
完全にツイスターゲームのようになっていた。

ラブコメ小説の主人公ってここまでしないといけないのかよ。

しかしさらなるピンチが、そのときスマホの着信音が鳴りはじめた。

ピロ…
「やばっ!」

反射的に右手でスマホを取って止めたが、その瞬間スカートをつまんでいた足からスルリと布が滑り落ちる。

「しまっ……!」

富美香がまた寝返りを打った。

「むにゃ…」

起きてしまう!!

僕はとっさにスカートをくわえた。いや、なにやってんだ僕!?

 右手にはスマホ。
 左手にはマラカス。
 足でライトとペンを押さえ、

 口にはスカート。

完全に変態である。

「やべぇ……」

そんな中、指で挟んでいたマラカスが今にも落ちそうになった。

握力が…もうダメだ……!

万事休す。


僕はイチかバチかの賭けに出た。

すべての物を放り投げ、スカートを手放し、富美香を思い切り抱き寄せた。

「地震だ!!!」

 ガターン!

勢いでテーブルがひっくり返り、部屋中に物が散乱する。

富美香は驚いて目を覚ました。

「な、なに!? 地震!?」

僕は覆いかぶさるように彼女を守る体勢になっていた。

「大丈夫か!? 」

富美香は呆然としたあと、しばらく僕を見つめ、やがて顔を赤らめた。

「……守ってくれたのね。ありがとう……」

彼女はそっと目を閉じた。

キス……する流れ?

僕はゆっくりと顔を近づけた。



だが、その瞬間

「おーい!来たぞー!」

ドアが開き、他の男メンバーたちが入ってきた。

「……え?」

密着したふたり、散乱した部屋、覆いかぶさる僕。

「え、おまえらなにしてんの?」

全員が騒然とする。


富美香は涙目でみんなを見つめながら、震える声で言った。

「今の……大地震から守ってくれたの……私、死んでたかも……みんなは大丈夫だったの?」
「いやー直下型だったな!」

「地震?なに言ってんだお前ら?」
全員が首をかしげた。

僕は適当に場を取り繕うしかなかった。

「まあまあ、みんな生き残れてよかったよ!大学行こうぜ!さあさあ!」

こうして、僕の人生で最もスリリングで、そしてたぶん最もラッキーな一日は幕を閉じた。

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