ムズキュン注意報!7分で恋のドキドキ完結

もっくん

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恋愛ゲームで推しを育ててたら、現実の推しにバレた

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僕は密かに香澄かすみのことが好きだった。

同じクラスで笑顔が可愛くて、ちょっと抜けてるけど、そんなところも愛しい。

だから僕は、恋愛シミュレーションゲームのヒロインの名前を「かすみ」にして、アバターの外見もそっくりにしていた。性格、趣味、体型、プロフィールも細かく設定できる。
彼女と疑似的な恋愛ができる…という、男の悲しい習性に付け込んだ憎らしいゲームだ。
もちろんちょっとエッチな展開も期待できる。正直、バレたらやばい。

そんな僕の部屋に、今日、香澄が遊びに来た。

「へえ~、ゲーム好きなんだ?」

香澄が部屋に入るなり、ゲームパッケージを眺める。

頼む、そのタイトルを読まないでくれ。

「なになに…『カレと甘いヒメゴト』?」

読んだぁぁぁ!!!

しかも、興味津々な顔でこっちを見ている。

「これ、やってみてもいい?」

「いや、それは…!」

「ダメなの?どんなゲームか気になるな~」

ダメに決まってる!!
なんでよりによってそれを選ぶんだよ!他にも香澄の好きそうなパズルとかレースゲームがあるだろ!!

だって香澄そっくりのヒロインが登場するし、しかもその子とイチャイチャするゲームなんだぞ!?


「この手のゲームって、最初の選択肢が重要なんだよね?」

勝手に電源を入れる香澄。もう、止める時間すら与えられなかった。


『主人公たちの出会いの場面です。ヒロインは『かすみ』でよろしいですか。それとも他のヒロインを選択しますか?』

僕は心臓が止まりそうになった。香澄が入力画面を見て、言葉を失う。

「え、デフォルトネームが『かすみ』なの?すごい偶然じゃない?」

違う!!偶然じゃない!!けど、ここで正直に話すわけにはいかない!

「そ、そうなんだよ。ほら、よくあるだろ?主人公の名前をつけられるけど、デフォルトのまま遊ぶ人もいるから…ね?」

ふう、ごまかせ…た?

「ふーん。でも、すごく運命的だね!じゃあこのまま『かすみ』で進めるね!」

いやあああああ!!!他の子にしてえええ!!


僕は冷や汗を流しながら、香澄がゲームを進めるのを見守ることしかできなかった。

このままだとまずい。エッチな展開になる前に、なんとかゲームを終わらせないと!

「そうだ!このゲーム、結構難しくて、選択肢を間違えるとすぐゲームオーバーになるんだよ」

「へえ~、じゃあ慎重にやらないとね!」

違う、そうじゃない!!失敗してくれ!!!

僕は意図的にゲームオーバーになる選択肢を探し、さりげなくアドバイスを送る。

「ここは…えっと、あえて冷たい態度を取ると好感度が上がるらしいよ!」

「えっ、でもこれ『そっけなくする』って選択肢だけど?」

「う、うん…(実はこれ、ヒロインの怒りゲージが上がるだけで、別れイベントに直行する選択肢)やってみたら?」

「じゃあ、やってみるね!」

 ポチッ。

ゲーム画面に『かすみは悲しそうな目でこちらを見た。あなたへの好感度が下がった』の文字。よし!あともう一押し!

「次の選択肢は『デートに遅刻する』がいいと思うよ!」

「え~、普通デートに遅刻したらアウトじゃない?」

「いや、ヒロインの意外な一面が見れるらしい!」(嘘 『かすみは怒り、あなたとの関係は終わった』でゲームオーバーの予定)

「そっか!たしかに焦らされる方が燃えるかも!じゃあ試してみよう!」

 ポチッ。

『待ちくたびれたかすみの頬がなぜか紅潮している。モジモジしながらあなたを見ている。』

「え?」

ちょっと待ってくれ。僕の計算では、ここでゲームオーバーのはずだったのに。
知らない裏コマンドが発動した?聞いてないぞ!

香澄自身をモデルにしてるから香澄のほうが攻略法わかってたってことか?

そしてついに、ゲームはいよいよ危険なシーンに突入。

『かすみはブラウスのボタンに手を掛け、恥ずかしそうにこちらを見つめる』

 うわあああああ!!もうダメだ!!!

「なんか…この展開、すごいね…」

香澄が頬を赤らめてモジモジしながら僕を見ている。やばい、このままだと現実とゲームが混ざってしまう。

「ちょ、ちょっと休憩しない!?喉乾いたでしょ!?ジュース買ってくるよ!」

「え、いいところだから。もうちょっと進めたい」

 くっ、もう打つ手がない…!

『かすみが胸をはだけてあなたに寄り添ってくる』

「……なんかさ、このヒロイン、やっぱり私に似てない?」

「気のせいじゃない?」

「いや、性格も見た目もそっくりだし…ねえ、もしかして…」

香澄が僕の方をじっと見つめる。ああ、終わった。人生終了だ。

「……もしかして、私のこと?」

バレたあああああ!!!!
僕は何も言えなかった。バレバレすぎる証拠が目の前にあるし、言い訳のしようがない。

香澄は、じっと僕を見つめたあと、微笑んだ。

「……嬉しいかも」

「え?」

「ゲームみたいに、私のこと攻略してみる?」

香澄が僕の腕にそっと手を添える。

「……そ、そのルートって、もしかして…」

「秘密♡」

僕は一瞬、自分がゲームの世界にいるのかと思った。だってこんな展開、現実にはありえない。

でも、香澄の笑顔を見たら、これが現実だと実感した。

「じゃあ…このルート、攻略開始します!」

ゲームの電源を落とし、僕は現実の香澄との恋をスタートさせることを決めた。

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