ムズキュン注意報!7分で恋のドキドキ完結

もっくん

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この写真、将来の結婚アルバムに収録予定です

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女友達の恵里えりから「ねえ、変身写真館の無料キャンペーンに当たったの!」とテンション高めのLINEが届いた。
よくよく聞くと、撮影は男女ペアのみらしい。
 「だからさ、あんた一緒に来なさいよ」
 「……いや、俺は遠慮しとく」
 「いいから来なさい!」

いきなりの強制イベント。どうやら彼女は自分の姿をSNSにアップして「いいね」を稼ぐ計画らしい。
僕はただの背景だ。
どうせ撮った写真もトリミングされる運命なのだろう。

 「だったら別に俺じゃなくてもよくない?」
 「ダメ!あんたなら遠慮なく扱えるから!」

ひどい言い草だが、どうせ他に予定もない。
仕方なくOKすることにした。


迎えた当日。写真館に到着すると、受付の女性がにこやかに出迎えた。
 「カップルでのご来店ありがとうございます!」
 「いや、カップルじゃなくて……」
 「はいはい、照れなくて大丈夫ですよ~!」
聞く耳を持たない受付スタッフ。
僕たちは半ば強引にスタジオへと案内された。


そして始まる変身撮影。
第一弾──ゴスロリと執事。
 恵里は黒と赤のフリフリのドレス。
 僕は燕尾服に身を包み、「お嬢様、お手をどうぞ」なんてポーズを決める。
 
第二弾──姫と武士。
 僕は刀を携え、恵里を守るポーズ。
 「戦が終わったら、お前を迎えに行く……!」と謎のセリフを言わされる。
 「ちょ、ちょっと恥ずかしいんだけど……」
 「いいからキメ顔!」

第三弾──宇宙服と宇宙人。
 「なぜ急にSF……?」
 「いいからこの触角つけなさい!」
 恵里は銀色のボディスーツ、僕はなぜか緑の宇宙人マスクを被せられた。
 ポーズは「地球人に恋をした宇宙人」らしい。
 「う、宇宙の彼方から君に会いにきたよ……」
 「もっと感情込めなさい!」

そして撮影はどんどんエスカレートしていく。
 「はい、次は手を繋いでくださいね~」
 「えっ?」
 「次は抱き合って!」
 「ええっ?」
 「はい、次はキス!」
 「ちょ、ちょっと待った!!」

もはや趣旨が変わってきている。
僕は焦るが、恵里はノリノリ。
しかも僕の顎をクイッと持ち上げてくるではないか。

 「ほら、ちゃんとキスしなさいよ」
 「お、お前、楽しんでるだろ……?」
 「まあね!」

ヤケクソになりながらも指示に従う僕。そして、ついに最終形態。
 「最後は水着で撮りましょう!」
 「無理無理無理無理!!」

抵抗むなしく、更衣室に押し込まれ、気がつけば僕は海パン姿、恵里はビキニ姿。
お互い視線を合わせられず、妙な空気が流れる。

 「……お前、そんな格好することあるんだな」
 「そっちこそ……案外筋肉あるのね」

なんか、気恥ずかしい。けれど、スタッフは容赦なく「はい、密着して!」「もっと近く!」と煽ってくる。
 「せっかくだし、肩くらい組んでみる?」
 「……まあ、それくらいなら」

そして撮影が終わり、写真を確認すると──
 「ちょっ……トリミングできないじゃん!」


どの写真も二人の距離が近すぎて、トリミング不可能。
SNSアップ用の「恵里だけのベストショット」計画は崩れ去った。
僕はモザイク処理されてしまうかもしれない。


帰り道、僕はぼそっとつぶやいた。
 「……なんか、ごめんな。俺じゃなくて、もっとイケメンのほうがよかったんじゃないか?鈴木とか。」
すると、恵里は意外にも、ふっと笑って言った。

 「何言ってんの。あんたでよかったよ」
 「え……?」
 「だって、気を遣わなくて済むし、撮影楽しかったし……それに、ほら、結果的には悪くないでしょ?」

彼女がスマホ画面を見せる。そこには二人で並んで写る写真。
まるで結婚写真みたいだった。

 「このままの流れで、本当に結婚しちゃう?」
 「……それはお前次第だろ?」

そんな冗談みたいな会話をしながら、なんか甘酸っぱかった。

この日撮った写真は、しばらく経って僕たちの本当の結婚写真へとつながるのだが、それはまた今度。

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