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脅しの存在
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凪は大きくため息をついた。他人の恋愛に興味はない。誰が誰を好きになろうが、異性だろうが同性だろうが。
どうせ自分だって異性相手に色恋営業をかけて疑似恋愛を餌に指名数を増やしているのだ。客が凪に向けているのは恋愛感情。そこに金がなければただただ迷惑な感情で、それが女であっても変わらない。
だからゲイもレズも関係ない。千紘の恋愛対象が男なのと、今現在しつこくされていることも、それとこれとは別の話。
凪はそのことに気付き、面倒くさそうに指先で目頭を押さえた。
「待って、今のなし。ごめん……今のは俺が悪いわ」
千紘が何か言う前に、凪は素直に謝った。性を売りにしているプロとしてセクシャルなことを否定するのはNGだったと反省したのだ。
「じゃあ、好きってこと?」
ただ、凪の反省は千紘の一言にて一瞬で過ぎ去った。
「違うだろ。なんでそうなんだよ……。別に、男が好きなのはいいよ、わかった。でも他にも男なんていくらでもいるだろ。俺みたいなノンケ含めたら腐る程いる。なんで俺なんだよ……」
「凪がいいから」
「だから、なんで」
「ここで言うことじゃない。もっといっぱい一緒にいて、俺のこと知って欲しい。俺も凪のこと知りたい」
「あのさ……俺に酷いことした自覚ある? 写真使って脅して、今現在も進行形だってわかってる?」
「うん。好きだよ」
あー……埒が明かねぇ。ダメだ、こりゃ。まともな会話ができないのかよ。
凪はうんざりしながら首の後ろて掌で掴み、まいったな、と顔を伏せた。
「お金なら払うよ? 最初は別に客でいいし」
あっけらかんとした千紘の声。さっきのしおらしさはどこへやら、と凪は顔をしかめた。
「だから女性用なんだってば。男は利用できないの」
「じゃあ、個人的にお金払うし」
「パパ活か」
「ふふ。凪の時間買う。デートしよう」
「……デートしたら写真消してくれんの?」
「ううん、付き合ってくれたら消す」
凪はガクンと激しく項垂れた。付き合うなんてことは絶対にない。ということは、写真は絶対に消されることはない。
「それは無理だって」
「だから、とりあえずデートしようよ。俺が満足したら消すかもだし」
「初対面で無理矢理襲ったヤツがデート如きで満足するわけねぇだろ」
「わぁ! えっち付きなの?」
「付いてねぇよ! 消す気ねぇだろ!」
「ないけど、しないなら誰かに見せちゃうかも。……とりあえず米山さんとか」
千紘の言葉に凪は、はっと目を見開いた。今ではなんとなく信頼関係が築けてきた米山。向こうもプライベートな話を少ししてくれるようになった。
本店に行くことも嬉しそうに話してくれた。千紘のこともかなり尊敬しているのだ。その千紘に凪が抱かれたと知ったらどんな顔をするだろうかと想像した。
恐らく千紘のことも、凪のこともいい印象にはならないだろうと思えた。
どうせ自分だって異性相手に色恋営業をかけて疑似恋愛を餌に指名数を増やしているのだ。客が凪に向けているのは恋愛感情。そこに金がなければただただ迷惑な感情で、それが女であっても変わらない。
だからゲイもレズも関係ない。千紘の恋愛対象が男なのと、今現在しつこくされていることも、それとこれとは別の話。
凪はそのことに気付き、面倒くさそうに指先で目頭を押さえた。
「待って、今のなし。ごめん……今のは俺が悪いわ」
千紘が何か言う前に、凪は素直に謝った。性を売りにしているプロとしてセクシャルなことを否定するのはNGだったと反省したのだ。
「じゃあ、好きってこと?」
ただ、凪の反省は千紘の一言にて一瞬で過ぎ去った。
「違うだろ。なんでそうなんだよ……。別に、男が好きなのはいいよ、わかった。でも他にも男なんていくらでもいるだろ。俺みたいなノンケ含めたら腐る程いる。なんで俺なんだよ……」
「凪がいいから」
「だから、なんで」
「ここで言うことじゃない。もっといっぱい一緒にいて、俺のこと知って欲しい。俺も凪のこと知りたい」
「あのさ……俺に酷いことした自覚ある? 写真使って脅して、今現在も進行形だってわかってる?」
「うん。好きだよ」
あー……埒が明かねぇ。ダメだ、こりゃ。まともな会話ができないのかよ。
凪はうんざりしながら首の後ろて掌で掴み、まいったな、と顔を伏せた。
「お金なら払うよ? 最初は別に客でいいし」
あっけらかんとした千紘の声。さっきのしおらしさはどこへやら、と凪は顔をしかめた。
「だから女性用なんだってば。男は利用できないの」
「じゃあ、個人的にお金払うし」
「パパ活か」
「ふふ。凪の時間買う。デートしよう」
「……デートしたら写真消してくれんの?」
「ううん、付き合ってくれたら消す」
凪はガクンと激しく項垂れた。付き合うなんてことは絶対にない。ということは、写真は絶対に消されることはない。
「それは無理だって」
「だから、とりあえずデートしようよ。俺が満足したら消すかもだし」
「初対面で無理矢理襲ったヤツがデート如きで満足するわけねぇだろ」
「わぁ! えっち付きなの?」
「付いてねぇよ! 消す気ねぇだろ!」
「ないけど、しないなら誰かに見せちゃうかも。……とりあえず米山さんとか」
千紘の言葉に凪は、はっと目を見開いた。今ではなんとなく信頼関係が築けてきた米山。向こうもプライベートな話を少ししてくれるようになった。
本店に行くことも嬉しそうに話してくれた。千紘のこともかなり尊敬しているのだ。その千紘に凪が抱かれたと知ったらどんな顔をするだろうかと想像した。
恐らく千紘のことも、凪のこともいい印象にはならないだろうと思えた。
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