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得るものと失うもの
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凪が唇を離すと、千紘の体が小刻みに震えていた。目を閉じてはいるが、凪が触れた所からたしかに振動を感じた。
「お前……起きてるだろ」
凪が上から見下ろすように視線を落とした。沸々と怒りが込み上げる凪は必死でそれを抑える。
「い、今! 本当に今起きた!」
パチッと目を開けて、潤んだ瞳で凪を見上げた。その瞬間、千紘の目からボロボロ涙がこぼれて、凪は「う……」と顔を歪めたまま何も言えなくなってしまった。
「なんだよ、泣くなよ」
仕方ねぇーなーと言いつつ、凪はわしゃわしゃと千紘の髪を乱暴に撫でた。千紘は長い指を使って頬を拭うが、涙はとめどなく溢れた。
「俺、もう嫌われてるかと思って……」
「そしたら絶対連絡しなかったな」
「うん……」
ずびずびと音を立てて鼻を啜る千紘。凪は長い長いため息をつくと、その頭を抱えて自分の胸に誘導してやった。
目を見開いた千紘は、驚きながらもありがたくそれに甘えた。
凪が渋々ながらも触れる許可をくれたのだ。この機会を逃したらもうないかもしれない。これからは、毎回そう思いながら凪からのアクションを大切にしなければならない。
懐かしい凪の香りがダイレクトに伝わった。神経を研ぎ澄ませて、凪の匂いを探ったさっきとは違う。
体温もずっと長いこと求めていたものだった。欲しくて欲しくてたまらない凪の温度だった。堪能するかのように強く顔を押し付けた。
凪の胸板も、脇腹の筋肉も、髪を撫でる手の形も体全体を使って感じることができた。
「……どうやら俺は、やっぱりお前とだとよく眠れるらしい」
凪は、千紘に顔を見せないまま言った。千紘も顔を埋めたまま耳だけその声に傾ける。
「俺も……よく眠れたよ」
「そ……。ちゃんと寝て、飯食えよ。肌ボロボロ。俺、千紘の綺麗な肌好きだったのに」
髪を撫でていた手を少し移動させて、涙に濡れた頬に触れた。体の部位でもどこでもいい。凪が俺を好きだと言ったのは初めてだったかもしれない。と千紘は目を丸くさせる。
嫌いじゃない。は何度か聞いた。それだけでも嬉しかったが、好きは比較にならなかった。
「頑張る……ちゃんと手入れもする」
凪が好きだと言ってくれるなら、肌も髪もいつでも万全な状態でいようと千紘は思った。
「でも……やっぱり、不安だと眠れないよ」
よく寝ろ、に関してはスキンケアのように努力だけでどうにかできる問題じゃない。ちゃんと食えもそうだ。
それだけは自分の意思では改善できないと伝える必要があった。
「俺も色々考えてた……。お前がちゃんと眠れて、ちゃんと飯食うなら一緒にいてもいいかなって」
凪は言うべきか迷ったが、今言わなければタイミングを失いそうでそうポツリとこぼした。
「お前……起きてるだろ」
凪が上から見下ろすように視線を落とした。沸々と怒りが込み上げる凪は必死でそれを抑える。
「い、今! 本当に今起きた!」
パチッと目を開けて、潤んだ瞳で凪を見上げた。その瞬間、千紘の目からボロボロ涙がこぼれて、凪は「う……」と顔を歪めたまま何も言えなくなってしまった。
「なんだよ、泣くなよ」
仕方ねぇーなーと言いつつ、凪はわしゃわしゃと千紘の髪を乱暴に撫でた。千紘は長い指を使って頬を拭うが、涙はとめどなく溢れた。
「俺、もう嫌われてるかと思って……」
「そしたら絶対連絡しなかったな」
「うん……」
ずびずびと音を立てて鼻を啜る千紘。凪は長い長いため息をつくと、その頭を抱えて自分の胸に誘導してやった。
目を見開いた千紘は、驚きながらもありがたくそれに甘えた。
凪が渋々ながらも触れる許可をくれたのだ。この機会を逃したらもうないかもしれない。これからは、毎回そう思いながら凪からのアクションを大切にしなければならない。
懐かしい凪の香りがダイレクトに伝わった。神経を研ぎ澄ませて、凪の匂いを探ったさっきとは違う。
体温もずっと長いこと求めていたものだった。欲しくて欲しくてたまらない凪の温度だった。堪能するかのように強く顔を押し付けた。
凪の胸板も、脇腹の筋肉も、髪を撫でる手の形も体全体を使って感じることができた。
「……どうやら俺は、やっぱりお前とだとよく眠れるらしい」
凪は、千紘に顔を見せないまま言った。千紘も顔を埋めたまま耳だけその声に傾ける。
「俺も……よく眠れたよ」
「そ……。ちゃんと寝て、飯食えよ。肌ボロボロ。俺、千紘の綺麗な肌好きだったのに」
髪を撫でていた手を少し移動させて、涙に濡れた頬に触れた。体の部位でもどこでもいい。凪が俺を好きだと言ったのは初めてだったかもしれない。と千紘は目を丸くさせる。
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「頑張る……ちゃんと手入れもする」
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