Vanishing Twins 

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冷たく刺すような月の光の下
夜気の漂う公園のブランコに座った人影は、一人白い息を吐きながらそこにいた。
もう何日ここに居るかは分からない。
何度も何度も歩き続け疲れきっていた。
壊された理性をどうすることも出来ず自分を狂わせたものを探し求める。
一度あいつを見かけた気がして追いかけた。
あいつも同じものを求めている気がしたから、あいつを捕まえたら答えが出るかもと思った。
だけど、タイミングを逃したらしい。
通りを曲がったあいつを見つけることは出来なかった。
仕方がなくそこを中心に何日が探し歩いた。でも、結局見つからない。
腹立たしい思いに囚われながら、目当てのモノがやってくるかもしれない場所で見渡しながら待つ。

キィと硬く錆びれた鎖の音が響く。
砕け散った心の中でを掻き乱す硬い音に心の奥が反応する。キィキィと揺れるブランコに自分の脳裏にも何かが揺れているのが分かる。

知りたいだけなのに。

そう小さく呟く。
何かが狂っていくのが自分にはよく分かった。自分の理性すらも狂いきって砕けてしまっている。
昔は、キチンとはまっていた歯車が音をたてて外れ、自分は自分でなくなっていく。それを押し留める方法は僅かしかもう思いつかない。

ただ、知りたいだけなのに。

ふらりと人影は立ち上がり、その場から歩きだす。
昨日と同じ今日。今朝は今日こそはと思ったのに、今日もまた同じ結果で終わる。明日も同じだったら、明後日も同じだったら、不安飲み込まれ狂った自分が何をするのか分からない。

破滅に陥りかけている。

あの男も狂っているし、あの女も狂っている。だけど、自分はどうなのかと思えば自分も充分に狂っているとしか思えない。しかし、それならそれでいいのかもしれないとも最近は思い始めた。

今までは生まれたときから自分は全て手に入れていると思ったのに、それが幻影だったと知った。

その日から自分は狂っている。そうと分かれば、それはそれで楽なのかもしれない。その考えに人影は微かに笑い声をこぼして、白い息を吐く。何も与えられないことなんてなかった。子供の時から何でも手に入ったし、駄々をこねることもなく与えられ続けてきた。それなのに得られないものは足掻いても指すら届かない。どんなに地に堕ちても上澄みだけしか啜らせて貰えない。
思念を遮るようにスマホが震え画面に連絡が入る。

ああ、それでも、上澄みを啜りあれを味わうことがまだ出来る。狂った男に犯され、女の快楽を味わうことが出来る。不様に見えてもあれを浴びて堪能できる。

ユラリとブランコから立ち上がり、重い足取りで歩き始める。仮初めの快感のために、電話ひとつで呼び出され雌になる。それでも、少しでもあれに会えるとその場から白い息とともに歩み去っていた。




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