名無しでも拾ってくれますか?

ある

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2章 スケッチブックと名前

ヒナのお母さん。

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リビングの扉が空いていた
女性がヒナを連れていくのに必死でちゃんと閉めなかったのだろう。
ひっそりと中の様子を伺ってから入ろうかとしたけれど、ヒナに
あ!ナナちゃん!!と呼ばれてしまった。
…どうしようか。作戦なんて考えてなかった…とりあえず、ニコニコしておこう。大体の大人はニコニコしていたら、ブツのを止めてくれたり手加減してくれたりするからだ。僕はニコニコしながら駆け寄ってくるヒナに着いてリビングの中に入った。
女性は、眉間に寄せていたが
僕を見るなり、ビックリしてから
興奮したような感じで詰めかけてきた。僕は、予想外の展開に驚いた。
ヒナは、「ねー」と笑いながら
僕の肩を抱いた。僕はヒナは何故こんな笑い方をするのか不思議でたまらなかったが、女性は晩御飯をご馳走してくれた。あとから聞いたが、やはり女性はヒナのお母さんだった。
ヒナのお母さんは、裁縫や手芸が得意でよくヒナの服を作ったりするそうだ。ヒナのお母さんは、僕を見る度、
甘やかそうとしてくる…
どうして…?
ヒナがお風呂入ってくると見送ったあと、ヒナのお母さんは、顔を暗くして僕に
「君はどこから来たの?」と聞いた。
僕は、
「僕は隣町に住んでるけど、この街に好奇心で遊びに来て迷子になってしまったどこにでもいる小学生ですよ」
と答えた。嘘は良くないと分かっていたが、やはり不信感を抱かせてはいけないと答えた。ヒナのお母さんは、安心したような顔をしてから、大変だったねと微笑んでくれるだろうと思っていたが、
「…嘘ね、私ね知ってるのよ。
君が駅前で絵を売っていて毎日一人でいたこと…
駅前のスーパーに行く度、あぁ
またあのみすぼらしい子がいるわ。
って思っていたもの…
…君…親はどうしたの?」
僕は、この人はどこまで情報を得ているのか分からなかったから、正直に話した。
「僕に親がいたかどうかも覚えていません。僕に名前があるかどうかも覚えていません。」
「じゃあ『ナナちゃん』って言うのは?」
「ヒナが付けてくれた渾名です。名無しだからナナちゃん。」
僕とヒナのお母さんは、ずっと話しをしていた。ヒナがリビングに入ってくるのにも気づかない程。
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