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とっぱこう
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太く硬くガサガサの指が乱暴に俺の中を掻き回す。雪兎の繊細な指と全く違う。
「ぁ、はぁっ、やぁっ、ぁんっ……ゃ、ぃや……」
嫌なのに、痛いのに、雪兎に開発された俺の身体は勝手に反応して甘えた声を上げ、男の片方にもたれかかった。
『おっと……おい、手加減してやれよ、腰砕けだぞ?』
『悪い悪い、まだ子供だもんなぁ。いやしかし……これで17か? もっと下だろ』
耳元で響く低い声が更に俺の抵抗を奪う。このまま犯されたら気持ちいいかもしれない、雪兎はどう思うだろう、雪風の時みたいに罰をくれるだろうか……
『ん? 擦り付けて……前も触って欲しいの?』
無意識に男の太腿に押し当てていた性器も直接触られ、俺の思考力は更に奪われる。
どうすれば、何をすれば彼らから逃げられるのだろう──いや、逃げる必要なんて……
「んんっ、あっ、ふぁあっ……ゃ、ひぁっ……」
『…………なぁ、そろそろいいんじゃないか?』
『……あぁ、入れちまおう。で、どっちから?』
二人が何かを話し合っている。俺は手首を掴まれたままながらも動かし、手首を掴んでいる方の男の胸倉を掴み、引き寄せた。
『……俺がいい? 何? まずキスかな?』
『ご指名じゃ仕方ないな』
腰周りをまさぐっていた手が抜かれ、胸元を撫でていた手が後頭部に添えられる。
「手……ぁ、いや、はんど?」
そう言いながら上目遣いを意識し、手を軽く引っ張ると男は俺の両手を解放した。
俺はその両手を男の顔に添え、屈んで近付いてくる唇を無視し、まず頬に唇を寄せた。
『あぁ、照れ屋さんだね、それとも焦らしたいのかな?』
『クソ、羨ましいな。ほらお前ら、お子様には目に毒だぞ』
もう片方の男がペンギンの雛を呼び集め、餌らしき籠を掴んだのを横目で確認し、耳を舌で愛撫するふりをして思いっきり噛み付いた。
『ぅあっ!? お前、このっ……』
素早く股間を膝で蹴り上げ、突き飛ばす。
もう片方の男の突進を躱しつつ足を引っかけ、背を蹴飛ばして壁にぶつけさせる。
起き上がる前に部屋を出て廊下を走り、角をいくつも曲がれば逃走成功──やった、何とか逃げられた。
「……あ、ポチー! 何してるの? ペンギンは?」
室内に作られた庭に出た、人工の池の周りは名前も分からない水鳥が佇んでいた。
「…………ちょっと襲われましてね」
「え? ペンギンってそんなに凶暴?」
雪兎が俺の顔を見上げている間にベルトとシャツを整え、微笑む。
「ま、俺って魅力的ですから」
「……魚臭いの?」
「さぁ? どうなんでしょう。人の好みって分かりませんよね、ユキ様も趣味悪いですし」
そうだ、雪兎のような美少年を襲うならまだしも、俺を襲って何になるんだか。
雪兎は首を傾げ、踵を返し「ハシビロコウはこっちだ」と走っていく。俺は口に含んでいた鉄臭いものを吐き出し、その後を追った。
雪兎の指差す方に居るのは目付きの悪い灰色の大きな鳥。いつ見ても頭が大き過ぎると、バランスがおかしいと思う動かない鳥。
「目付き悪っ……」
「ほらー……ポチそっくり……可愛いよね!」
「えっ……俺あんな目してます?」
「あっ、動いた動いた動いた!」
翼をバサバサと揺らし、また同じ姿勢で止まる。人間で言うと肩を回したと言ったところか?
「えっうわマジか! 動かん聞いちょったんに……」
「さっきから見てたけど結構動くよ」
「えぇー……何かショックです」
「……っていうか、さっき何て言った?」
「…………動かないと聞いていましたのに意外と動くなんてショックですぅー」
裏声を出し、世間知らず系お嬢様を頭に浮かべながらそう言った。
しかし雪兎の冷たい目に耐え切れず、俺は静止したハシビロコウに視線を戻した。
「ぁ、はぁっ、やぁっ、ぁんっ……ゃ、ぃや……」
嫌なのに、痛いのに、雪兎に開発された俺の身体は勝手に反応して甘えた声を上げ、男の片方にもたれかかった。
『おっと……おい、手加減してやれよ、腰砕けだぞ?』
『悪い悪い、まだ子供だもんなぁ。いやしかし……これで17か? もっと下だろ』
耳元で響く低い声が更に俺の抵抗を奪う。このまま犯されたら気持ちいいかもしれない、雪兎はどう思うだろう、雪風の時みたいに罰をくれるだろうか……
『ん? 擦り付けて……前も触って欲しいの?』
無意識に男の太腿に押し当てていた性器も直接触られ、俺の思考力は更に奪われる。
どうすれば、何をすれば彼らから逃げられるのだろう──いや、逃げる必要なんて……
「んんっ、あっ、ふぁあっ……ゃ、ひぁっ……」
『…………なぁ、そろそろいいんじゃないか?』
『……あぁ、入れちまおう。で、どっちから?』
二人が何かを話し合っている。俺は手首を掴まれたままながらも動かし、手首を掴んでいる方の男の胸倉を掴み、引き寄せた。
『……俺がいい? 何? まずキスかな?』
『ご指名じゃ仕方ないな』
腰周りをまさぐっていた手が抜かれ、胸元を撫でていた手が後頭部に添えられる。
「手……ぁ、いや、はんど?」
そう言いながら上目遣いを意識し、手を軽く引っ張ると男は俺の両手を解放した。
俺はその両手を男の顔に添え、屈んで近付いてくる唇を無視し、まず頬に唇を寄せた。
『あぁ、照れ屋さんだね、それとも焦らしたいのかな?』
『クソ、羨ましいな。ほらお前ら、お子様には目に毒だぞ』
もう片方の男がペンギンの雛を呼び集め、餌らしき籠を掴んだのを横目で確認し、耳を舌で愛撫するふりをして思いっきり噛み付いた。
『ぅあっ!? お前、このっ……』
素早く股間を膝で蹴り上げ、突き飛ばす。
もう片方の男の突進を躱しつつ足を引っかけ、背を蹴飛ばして壁にぶつけさせる。
起き上がる前に部屋を出て廊下を走り、角をいくつも曲がれば逃走成功──やった、何とか逃げられた。
「……あ、ポチー! 何してるの? ペンギンは?」
室内に作られた庭に出た、人工の池の周りは名前も分からない水鳥が佇んでいた。
「…………ちょっと襲われましてね」
「え? ペンギンってそんなに凶暴?」
雪兎が俺の顔を見上げている間にベルトとシャツを整え、微笑む。
「ま、俺って魅力的ですから」
「……魚臭いの?」
「さぁ? どうなんでしょう。人の好みって分かりませんよね、ユキ様も趣味悪いですし」
そうだ、雪兎のような美少年を襲うならまだしも、俺を襲って何になるんだか。
雪兎は首を傾げ、踵を返し「ハシビロコウはこっちだ」と走っていく。俺は口に含んでいた鉄臭いものを吐き出し、その後を追った。
雪兎の指差す方に居るのは目付きの悪い灰色の大きな鳥。いつ見ても頭が大き過ぎると、バランスがおかしいと思う動かない鳥。
「目付き悪っ……」
「ほらー……ポチそっくり……可愛いよね!」
「えっ……俺あんな目してます?」
「あっ、動いた動いた動いた!」
翼をバサバサと揺らし、また同じ姿勢で止まる。人間で言うと肩を回したと言ったところか?
「えっうわマジか! 動かん聞いちょったんに……」
「さっきから見てたけど結構動くよ」
「えぇー……何かショックです」
「……っていうか、さっき何て言った?」
「…………動かないと聞いていましたのに意外と動くなんてショックですぅー」
裏声を出し、世間知らず系お嬢様を頭に浮かべながらそう言った。
しかし雪兎の冷たい目に耐え切れず、俺は静止したハシビロコウに視線を戻した。
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