ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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夏休み

ゆうかい? じゅう

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左右バランスよく頬への平手打ちを頂いた俺は、犬らしい座り方で雪兎を見上げた。雪兎はキャスター付きの椅子に腰かけて足を組み、俺を見下している。

「まず、ここはアメリカ。僕が通ってる大学の近くの一軒家。六月末から九月の始めまで休みなんだ。だからね、おじいちゃんに無理言ってその期間だけポチを呼んでいいことにしてもらったの」

俺は目の前に差し出された雪兎の御御足を舐めなければならない。そう雪兎に命令された。だから雪兎の足の指をしゃぶっていて返事は出来ない。

「使用人さんに言ってポチを誘拐する感じで連れてきてもらったんだ。可愛かったよぉ……拘束された君がベッドに転がった瞬間、僕はもう、生まれて初めてってくらいの歓喜を味わったよ!」

足の親指と人差し指を口に入れたまま、舌を限界まで伸ばして指の生え際を舐め回す。残念ながら俺に舐めさせる前に足をかなり綺麗に洗ったようで石鹸の匂いしかしないし味もない。

「最初は色んなオモチャ、電流とかも使ってさ、君を虐めるつもりだったんだ。口枷も外さずにね。でも、我慢できなくなったよ。君ってば本当にセクシーだからね」

雪兎はこんな話し方だっただろうか、なんか洋画の吹き替えっぽいような……アメリカ暮らし中だからかな?

「ポチ、僕はね、とっても嬉しかったよ。君が「俺はユキ様のものだ」って何回も言って、ずっと嫌がってたの。すっごく萌えた。口調も変えて、鞭も最初はわざと下手くそに叩いて……途中からいつも通りに変えたんだけど、気付いてくれてたよね? あれも嬉しかった」

「ん、む……ゆき、ひゃま」

「入れてすぐ気付いてくれたのも嬉しかったなぁ……起きた時に僕を見失って泣いてたのも、今足舐めてくれてるのも全部全部嬉しい」

足の親指と人差し指が器用に俺の舌を挟むが、所詮は足の指。簡単に抜けられる。

「それはそれとして、僕のことクソ野郎って言ったこと謝ってもらおうかな。ほら、もう足離して」

雪兎は俺の唾液で濡れた足を浮かしたまま立ち上がり、その足を除菌シートで拭うと箱から革靴を出して履いた。

「この国では土足OKって知ってる? ポチは土足厳禁かな?」

新品の革靴の底を除菌シートで拭きながら尋ねられる。

「俺のルールはユキ様です」

雪兎は口角を吊り上げて笑い、俺の爪先をぐっと踏みつけた。革靴の裏はつるんとしている、どうせならギザギザの滑り止めがあるもので踏まれたかったな。

「僕だと分かってなかったとはいえ、僕に向かってクソ野郎なんて言っちゃダメだよね? ワンちゃん、人間の謝り方分かる?」

尻尾飾り、犬耳カチューシャ、首輪、全裸よりも情けない格好で土下座することに興奮し、吐息を熱くしながら額を床に擦り付けた。

「……頭は少し上げるんだよ」

革靴の尖った爪先が俺の頭を小突く。額を床から離すと革靴は離れた。

「どうして頭上げさせたか分かる?」

「いえ……地面に額を触れさせる方が謝罪の効果は高そうな気はしますが……そういう作法なんでしょうか」

「頭は上げた方が謝罪の効果は高いよ。だってね……」

雪兎は勢いよく足を振り上げ、俺の後頭部を思いっ切り踏みつけた。革靴と後頭部がぶつかるゴッという音、額と床がぶつかるゴンッという音、二つの鈍い音が部屋に響く。

「踏んで初めて頭ぶつける方が、謝られる方は気分いいもの」

「なる、ほど……ご教授いただきありがとうございます、ご主人様」

たまらない、頭の痛みも踏まれる屈辱も最高の快感だ。

「あぁ、それとねポチ。何も言わずに土下座されても困るよ、何を謝るのか言って、ごめんなさいと同時に土下座だよ。はい、やり直して」

コンッと頭を蹴られ、興奮で後孔に挿入された玩具を締め付けて快感を覚えながら、ゆっくりと立ち上がる。俺の欲情した顔を見た雪兎は口元を隠して笑った。
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