ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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お盆

いちにちめ、じゅう

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グラタンを食べ終えた後、雪兎は俺用のグラタンを部屋に運ばせ、食べさせてくれた。熱々のグラタンを食べ終えた俺の口周りを拭い、雪兎はにっこりと微笑んだ。

「美味しかった?」

「はい、とっても。少し熱かったですけど」

「よかった。じゃあ僕これからレポートの続きやるから、ポチは静かに待っててくれる?」

そう言うと雪兎はボールギャグを持ってきた。穴の空いた玉を咥えさせられ、ベルトを頭に巻かれて玉を吐き出すことはもちろん口を閉じることも喋ることも出来なくなる。

「ゆぃ、ひゃぁ……」

「レポート、晩ご飯までにはキリのいい所まで終わらせるから」

箱型の機械が傍に置かれた。また弱い電流で体内を責められるのだ。

「蝋、あえてかけたつもりはないけど……お腹にまで垂れてるね。ちょっと付けにくいや」

貼るカイロのような器具が昨晩とは違う位置に貼られた。蝋を避けたせいだろう、体内に送られる電流も前立腺を掠るばかりで貫いてはくれない。

「ん、ゔ……ぅうっ? ぅうぅっ」

「気持ちいい? 静かにしててね」

「ぅうっ……? ゆぃはぁっ、ひぁう、ゆぃひゃぁっ」

「し、ず、か、に。分かった?」

前立腺を掠るばかりなのは雪兎の狙い通りなのだろうか、それとも蝋が邪魔になって起こったミスなのだろうか、後者なら雪兎に知らせなければ。

「ゆぃひゃぁっ! ぇん、ゆぅ……ひぁうっ」

「いい子で待っててね」

計算通りだからこのままにしたのか、ミスだと気付くことすらなかったのか、雪兎は勉強机に向かった。

「んっ……」

チクチクと筋肉や内蔵が痛む。無数の細い針が俺の身体を貫いていく。痛いし、気持ちいいし、興奮もする。けれど前立腺には掠ることしかしないから、より焦れったい。

「ゆぃ、ひゃ、あ……」

雪兎は俺を一瞥すらせずパソコンに夢中だ。見事なブラインドタッチの素早い指の動きをじっと見ていると、ゾワゾワと産毛が立つような感覚に襲われた。

「んんっ……!」

白魚のような指が、今キーボードの上で軽やかに踊る細い指が、器用なあの指が、いつも俺の肌を撫でているのだ。そう意識すると皮膚の感覚が鋭くなり、雪兎に撫でられた思い出を反芻する。

「……っ、う……うぅ」

咥えさせられた玉の穴から唾液が零れる。太腿を覆った蝋の上を流れていく。

「ゆ、ぃ……ひゃぁ……」

撫でられた経験を思い返すだけで皮膚にゾワゾワとした快感を得られるなら──と俺の後孔や口腔を掻き回す雪兎の指の動きを必死に思い出す。もちろんキーボードを叩く雪兎の指を見つめながら。

「ん、ぅ……くっ、うぅっ……」

実際には何の刺激も受けていない後孔がパクパクと開閉し、男根を欲しがる。

「ふ、ぅっ……ふぅうっ……」

椅子から垂れた雪兎の足はキーボードを叩く指が止まるとぷらぷらと揺れる。レポートの文章を考える時の癖なのだろう。あの足に踏まれる妄想もしてみようか。

「……っ、ん……!」

ぶるっと身体を震わせる。亀頭を覆い、尿道にまで入り込んだ蝋が憎い。射精出来ない。

「ん、んんっ……! んっ、んんっ……!」

前立腺を貫いてくれない電流の刺激も、記憶由来の幻の触覚も、弱過ぎる。焦れったくて焦れったくて仕方なくて身体をよじる。

「んっ……?」

ぱきぱきっ、と軽い音。膝を乗せたクッションの上にパラパラと落ちる赤い粉と欠片。身体をくねらせたことで一部の蝋が砕けて剥がれて落ちたようだ。

「んん……」

蝋が多少剥がれたからといって快感がある訳ではない、どうでもいい発見はむしろ腹立たしく、俺はより激しく身体をよじらせた。
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