ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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お盆

ふつかめ、じゅう

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カリカリ、カリッ……乳首を覆った蝋が剥がされていく。ガリッ、と勢いがついた爪がそのまま乳首を引っ掻く。

「ひぁんっ!」

大きな欠片がある程度剥がれると雪兎はシャワーを左手で持ち、お湯をかけながら右手の指で乳首を揉むようにして小さな蝋を洗い剥がしていく。

「んぁ、あっ、ひっ、ひぃいっ……! イくっ、イくぅうっ……ぁあああっ! イけない! イけないぃっ、やだっ、イきたい、出したいぃっ!」

それでもしつこく乳首に付着したままの蝋はまた爪で剥がされる。未だ残っている蝋の欠片はもう随分小さく、雪兎の爪でも狙い撃ちは難しい。乳首をガリガリと引っ掻かれる痛みが気持ちよくて涙が出る。

「痛っ、ぁ、あぁっ! 痛いっ、ひぃんっ……! 痛、ぁ、あぁ、ぁ、あっ……」

本当ならもう何度も射精しているはずなのに、亀頭を覆う蝋のせいで何も出ない。行き場を失った精液は尿道に溜まっている、蝋に覆われていない部分を見れば俺の陰茎がもう限界を迎えていることは分かる。

「出させてくださいっ、出させて……お願いしますっ、イかせてくださいぃっ」

血管が浮いて目に見えてビクビクと脈打っている陰茎はまるで内臓が露出しているかのようだ。それでも雪兎は俺の懇願を無視し続け、両乳首の蝋を剥がし終えるまで指先すら陰茎に触れなかった。

「は、ぁ……はぁ……ぁ、あ……」

乳首での絶頂を繰り返し、それでも射精出来ずに喘ぎ鳴いていた俺の乳首はもう真っ赤だ。引っ掻かれて揉まれて引っ掻かれて手慰みに弾かれて、風が吹いただけでも快感を得るようになってしまった。

「よし……ポチ、ちょっと待っててね」

「へ……?」

何故かは言わず、雪兎は浴室を出ていった。冷たい外気が敏感な身体を責める、少しの寒さで喘ぐようになった自分を淫らだと心の中で罵倒したが、雪兎以外の罵倒では興奮出来なかった。角度を変えて自分がいかに情けないかを心の中であげつらってみるととても興奮出来た。

「はぁっ……はぁっ……」

「ただいま」

雪兎が帰ってくるまでに呼吸を落ち着かせられなかった俺は、帰ってきた雪兎が持っていた物を見て更に呼吸を荒くした。

「ゆ、き……さま……それはっ」

「貞操帯だよ」

ニコニコと微笑みながら雪兎は陰嚢と陰茎の生え際をまとめて締める金具を俺に取り付けた。

「ぅあっ……!」

「綺麗にしたらすぐ付けるからね」

亀頭を覆う部分は後で付けるらしい。とりあえず蝋が剥がされた瞬間にある程度は射精出来るだろう、乳首と同じように引っかかれるならかなりの快感が期待出来る──

「あれっ……なんだ、あっさりだね」

──きゅぽんっ、とまるで瓶の蓋のように蝋の亀頭カバーは外れ、蝋の栓が抜かれた鈴口からどろどろと射精済みだったはずの精液が溢れ出てきた。

「蝋の内側がぬるぬるしてたからかな? よかったね、出せて」

尿道を圧迫していた精液が流れ出ていくからスッキリとはしていくけれど、射精の快感そのものは達成感を抜きにすれば味わった後だし、陰茎を引っ掻かれる痛い快感もなかった。

「ちがう……こんなのっ、ちがうぅ……」

望んでいた射精を行えなかった。雪兎がそれをさせてくれる訳もなく、泡とお湯で軽く洗われた陰茎には金属製の亀頭カバーが取り付けられた。生え際を締める金具と亀頭を覆った金具が留められると、俺の陰茎は小さくまとめられ勃起すれば痛みを覚えるようになった。

「髪洗ったらお風呂終わりだよ」

「そんなぁ……」

後ろ手に拘束されたまま髪を洗われ、先に風呂から出された俺は雪兎を待たずに床でふて寝した。
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