ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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郊外の一軒家

はっぴーはろうぃん、よん

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ハロウィン前日、使用人がトランクケースを四つ持ってきた。ハロウィンのコスプレ衣装のようだ。雪兎は俺が中身を見ることを許さず、一つだけ俺に渡した。

「僕達だけのパーティの衣装は着るまでのお楽しみね」

二つのトランクケースを部屋の隅に置き、雪兎はもう一つのトランクケースを開けた。

「……俺のも開けていいですか?」

「いいよ」

黒い服を引っ張り出す雪兎の対面でトランクケースを開ける。白い毛が見えて目を見開く、これまで着けさせられた尻尾プラグや犬耳カチューシャは黒い毛のものばかりだった、俺の髪に合わせてくれていたのだろう。

「白いんですね」

気付けば声が出ていた。

「ユキ様とおそろいみたいで嬉しいです」

不満を言ったように聞こえなかっただろうかと考えて、慌てて媚びた。

「うん、僕ポチは黒い方が好きなんだけどね。髪隠れちゃうし、どうせならお揃いにしちゃおうかなって思って、白にしちゃった。どう?」

頭をすっぽり包む、犬の頭の形をした被り物。ガラス製の目玉は赤紫色だ。雪兎の瞳には数段劣るが、宝石と呼んでも差し障りない美しさを持っている。

「すごく嬉しいです! ユキ様と似た姿になれるなんて……!」

俺は俺の見た目があまり好きではない。それを隠せて、しかも雪兎と同じ特徴を持てる。これほど素晴らしいことはない。

「着てみよっか。採寸はちゃんとしたけど合ってなかったら直さなきゃだもんね」

「ですね」

雪兎の着替えを凝視しながら着替えよう。被り物は最後だな。

「……僕見てないで着替えなよ?」

「はーい」

ジトっと俺を睨む仕草が可愛くて、頬が緩む。雪兎の衣装は正装に近いが、雪風が着るスーツは白いため、新鮮さは十分にある。

「ソックスガーター……!?」

部屋着を脱ぐ前に白い靴下を履いた雪兎はそれをソックスガーターで留めた。膝の少し下を締める黒いベルトと、それに吊られた黒い靴下。俺にとってはたまらなく扇情的だ。爪先をしゃぶりたい、踏まれたい、足全体を舐め回したい。

「いちいち反応しないでよ、もー……」

呆れたように言いながらも雪兎の頬は薄紅色に染まっている。

「だってすごくフェティッシュで……あっ」

雪兎は黒いスラックスに履き替えてソックスガーターを隠してしまった。見えなくなったのは残念だが、ソックスガーターとは本来そういうもの。普段見えていないからこその興奮があるのだ。

「君は何にでも興奮するね」

至って普通のシャツを羽織った雪兎はその上に黒いベストを着た。胸元を飾るジャボが雪兎の顔立ちの幼さを煽っているような気がする。

「まぁ……反応がいいのは嬉しいんだけどさー?」

ぶつぶつ呟きながら雪兎はシャツとベストのボタンを留めていく。

「……そういう目で見られてるんだなーって実感してさぁ……君の目意識しちゃう」

白い手袋をはめて顔以外の肌の露出をなくしてしまうと、深い赤色の裏地の黒いマントを羽織った。バサッと鳴った微かな音が格好良くて、つい見とれてしまった。


雪兎ばかり見ていたらまた叱られる。叱られること自体は嬉しいが、雪兎に呆れられたり失望されたりするのは嫌なので早く着ようと自分のコスチュームを広げた。一面の白いふわふわとした毛には芸術性すら感じた。

「真っ白……背中にファスナーついてるんですね」

「僕が閉めてあげるよ」

爪先から首まで包む、上下の服と靴下と手袋が一体化したような服だ。いや、服と言うよりは着ぐるみと言った方が正しそうだ。

「あ、ポチ。着辛かったらこれ使って」

投げ渡されたのはローションのボトル。その用途はすぐに分かった。着ぐるみの尻の部分の内側に大きなバイブが生えていたのだ。

「…………俺、これ着るのめちゃくちゃ時間かかるんじゃ」

「昨日もしたんだから大丈夫だよ」

ここに来てから俺は頻繁に抱かれている、処女に戻ってしまった穴の具合を元に戻すように、これまで会えなかった時間を取り戻すように。

「まぁ、そうですね」

雪兎の記憶が残る後孔は少し言及されただけでヒクヒクと震え始める。雪兎のための淫らな身体に誇らしさを覚えつつ、軽く振ったローションを手に垂らした。
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