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99.幕間_フレッシュの日常
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当主フレッシュ=ミートは、つい最近、隣の領の男爵家の次女であり、フレッドの幼馴染でもあるミイ=ミライと婚約した。
今日は“白の宮殿”の継承の儀式に招待され、婚約者のミイを伴って登城した。ミイとの婚約は、ちょうど両領地にまたがる川を共同で整備するための政略結婚だ。
この川を整備すれば、洪水でダメになる農産物が劇的に減る。
まあ、貴族ではよくあることだ。
ミイがフレッシュの弟であるフレッドに惹かれていたことは知っていたが、彼はつい最近、本日行われる“白の宮殿”の後継者である花子様の婚約者に指名された。
まあ、フレッシュとしては、ミイがフレッドを思っていても、やるべきことをやってくれれば何も言うことはない。
ちなみに、つい数週間前までは、ミート家は第一王子妃派閥であるキンソン家に属していたが、フレッドが花子様の婚約者になったことで、ルービック家の派閥に鞍替えした。
それに、ルービック家には学生時代の友人であるブラウンがいる。
ミート家はよく「日和見」だとか「ゴマすり野郎」だとか言われるが、フレッシュにとってはそれはむしろ褒め言葉だ。
決して高くもない爵位で、情報収集能力を駆使して勝者に擦り寄る力がなければ、貴族社会では生き残れない。
死活問題だ。
ちなみにこの貴族社会では、それぞれの家に得意分野がある。
ミート家の得意分野は情報だ。
あの膨大な情報が眠る王都の図書館の館長を代々歴任している。
それ以上の“生きた情報”は、多産な家系であるため、ほどほどの身分の兄弟姉妹があちこちの貴族家にメイドや執事として仕えながら収集している。
父の代では、キンソン家に婿養子に入った王族と前当主の仲が良かったため、キンソン家の派閥に属していたが、俺からしてみれば、そこそこ優秀なブラウンに超優秀な花子様が加わったおかげで、ルービック家の勢いは衰え知らずで、今後ますます大きくなっていくだろう。
ここで鞍替えしなければ、ミート家はあっという間につぶされてしまう。
フレッシュがそんなことを考えているうちに、馬車が王城のメインストリートに入った。最初はスムーズだったが、急に速度が落ち、今はもう止まっていた。
数台先で何かがあったようだ。
御者席にいる従兄弟が情報を拾ってきた。
「フレッシュ、どうやらキンソン家が妨害工作で馬車事故を起こして、後方にいるルービック家が継承式に遅れるよう画策しているようだぞ」
ったく、やってくれる。
まあ、ルービック家のことだ。すぐに何とかするだろうと思っていたら、急に窓の外の視界が変わった。
「うわぁー、すげぇー!」
御者席の従兄弟がはしゃいでいる。
あいつ、昔から高いところが好きだったな。
そんなことをちらっと思った瞬間、従兄弟が「彼らが浮いている真下をルービック家の馬車が駆け抜けていった」と教えてくれた。
こんなことができるのは、ルービック家の花子様だけだろう。
その花子様の婚約者が自分の弟だと思うと、ますますあいつはよくやったと褒めてやりたくなる。
フレッシュたちはその後すぐに馬車が元の位置に戻り、急に動き出した馬車に乗って、無事に王宮へとたどり着いた。
すぐにミイを伴って式典が開かれる会場に入り、先ほどの騒動の真相を探ってくるよう従兄弟に頼んだ。
俺たちは会場に入って、ブラウンに頼まれた敵対勢力の確認だ。
自派閥になった途端、こき使いやがって……あとでかなりの見返りを要求しなければ割に合わない。
フレッシュは式典が始まるまで、そんな状況だった。
式典は定刻通り始まり、定刻通り終わった。
これでやっと帰れると思ったら、妙な人物が花子様たちに因縁をつけ始めた。
要約すると、「アマイの父親がブランなので、“白の宮殿”の継承者は彼女だ」というわけだ。
はぁー、ありえんだろう。
どう見ても、花子様の方が魔力量は上だろう。
そう思っていたら、場面が急展開して、代理人による決闘になっていた。
そこまでは聞いていて面白かったんだが、花子様が「婚約者がいない」と言ったときは肝が冷えた。
えっ、婚約者がいない?
俺、婿養子の書類にサインしたよな……?
フレッシュの横では、ミイが喜んでいたが、俺はそれどころじゃなかった。
フレッドがギョッとして、慌てて間に入っていた。
どうやら、花子様が話をよく聞いていなかったのが原因のようだ。
よかったぁ……。
ミート家存亡の危機だよ、今の一言は。
結局、話は二転三転し、最後は後継者同士の魔力量比べになった。
俺は隣でがっかりしているミイを連れて馬車に乗り込んだ。
馬車の御者席にいた従兄弟に乗り込む前、「またお前の喜ぶことが起きるぞ」とささやけば、敏い従兄弟は嬉しそうな表情で馬車の扉を閉めた。
がっかり顔のミイと俺を乗せた馬車は、数刻遅れて始まった魔力量比べの最中、行きと同じような浮遊感を感じながら、馬車下を通るルービック家の馬車を見届けた後、領地へと戻った。
領地に戻った後、ブラウンの側近であるアインから、アマイの父親の件に関する裏取りの情報協力の申し出があった。
喜んで協力し、ブラウンから謝礼金をもらった。
これで治水工事費の一部が現金で払える。
フレッシュは早速、資材購入を頼んでいる商人の家に支払いに向かった。
ミート家に父の代から加わった家訓がある。
---「支払いはいつもニコニコ現金払い。」---
今日は“白の宮殿”の継承の儀式に招待され、婚約者のミイを伴って登城した。ミイとの婚約は、ちょうど両領地にまたがる川を共同で整備するための政略結婚だ。
この川を整備すれば、洪水でダメになる農産物が劇的に減る。
まあ、貴族ではよくあることだ。
ミイがフレッシュの弟であるフレッドに惹かれていたことは知っていたが、彼はつい最近、本日行われる“白の宮殿”の後継者である花子様の婚約者に指名された。
まあ、フレッシュとしては、ミイがフレッドを思っていても、やるべきことをやってくれれば何も言うことはない。
ちなみに、つい数週間前までは、ミート家は第一王子妃派閥であるキンソン家に属していたが、フレッドが花子様の婚約者になったことで、ルービック家の派閥に鞍替えした。
それに、ルービック家には学生時代の友人であるブラウンがいる。
ミート家はよく「日和見」だとか「ゴマすり野郎」だとか言われるが、フレッシュにとってはそれはむしろ褒め言葉だ。
決して高くもない爵位で、情報収集能力を駆使して勝者に擦り寄る力がなければ、貴族社会では生き残れない。
死活問題だ。
ちなみにこの貴族社会では、それぞれの家に得意分野がある。
ミート家の得意分野は情報だ。
あの膨大な情報が眠る王都の図書館の館長を代々歴任している。
それ以上の“生きた情報”は、多産な家系であるため、ほどほどの身分の兄弟姉妹があちこちの貴族家にメイドや執事として仕えながら収集している。
父の代では、キンソン家に婿養子に入った王族と前当主の仲が良かったため、キンソン家の派閥に属していたが、俺からしてみれば、そこそこ優秀なブラウンに超優秀な花子様が加わったおかげで、ルービック家の勢いは衰え知らずで、今後ますます大きくなっていくだろう。
ここで鞍替えしなければ、ミート家はあっという間につぶされてしまう。
フレッシュがそんなことを考えているうちに、馬車が王城のメインストリートに入った。最初はスムーズだったが、急に速度が落ち、今はもう止まっていた。
数台先で何かがあったようだ。
御者席にいる従兄弟が情報を拾ってきた。
「フレッシュ、どうやらキンソン家が妨害工作で馬車事故を起こして、後方にいるルービック家が継承式に遅れるよう画策しているようだぞ」
ったく、やってくれる。
まあ、ルービック家のことだ。すぐに何とかするだろうと思っていたら、急に窓の外の視界が変わった。
「うわぁー、すげぇー!」
御者席の従兄弟がはしゃいでいる。
あいつ、昔から高いところが好きだったな。
そんなことをちらっと思った瞬間、従兄弟が「彼らが浮いている真下をルービック家の馬車が駆け抜けていった」と教えてくれた。
こんなことができるのは、ルービック家の花子様だけだろう。
その花子様の婚約者が自分の弟だと思うと、ますますあいつはよくやったと褒めてやりたくなる。
フレッシュたちはその後すぐに馬車が元の位置に戻り、急に動き出した馬車に乗って、無事に王宮へとたどり着いた。
すぐにミイを伴って式典が開かれる会場に入り、先ほどの騒動の真相を探ってくるよう従兄弟に頼んだ。
俺たちは会場に入って、ブラウンに頼まれた敵対勢力の確認だ。
自派閥になった途端、こき使いやがって……あとでかなりの見返りを要求しなければ割に合わない。
フレッシュは式典が始まるまで、そんな状況だった。
式典は定刻通り始まり、定刻通り終わった。
これでやっと帰れると思ったら、妙な人物が花子様たちに因縁をつけ始めた。
要約すると、「アマイの父親がブランなので、“白の宮殿”の継承者は彼女だ」というわけだ。
はぁー、ありえんだろう。
どう見ても、花子様の方が魔力量は上だろう。
そう思っていたら、場面が急展開して、代理人による決闘になっていた。
そこまでは聞いていて面白かったんだが、花子様が「婚約者がいない」と言ったときは肝が冷えた。
えっ、婚約者がいない?
俺、婿養子の書類にサインしたよな……?
フレッシュの横では、ミイが喜んでいたが、俺はそれどころじゃなかった。
フレッドがギョッとして、慌てて間に入っていた。
どうやら、花子様が話をよく聞いていなかったのが原因のようだ。
よかったぁ……。
ミート家存亡の危機だよ、今の一言は。
結局、話は二転三転し、最後は後継者同士の魔力量比べになった。
俺は隣でがっかりしているミイを連れて馬車に乗り込んだ。
馬車の御者席にいた従兄弟に乗り込む前、「またお前の喜ぶことが起きるぞ」とささやけば、敏い従兄弟は嬉しそうな表情で馬車の扉を閉めた。
がっかり顔のミイと俺を乗せた馬車は、数刻遅れて始まった魔力量比べの最中、行きと同じような浮遊感を感じながら、馬車下を通るルービック家の馬車を見届けた後、領地へと戻った。
領地に戻った後、ブラウンの側近であるアインから、アマイの父親の件に関する裏取りの情報協力の申し出があった。
喜んで協力し、ブラウンから謝礼金をもらった。
これで治水工事費の一部が現金で払える。
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