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65 簡単ズボラ飯

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 朝起きて、何かあったかな? と、冷蔵庫を開けて中を確認。
 持ち帰り用のものばかり買って自分用はどうしようかね?  
 一人だと凝った料理をする気があまり起きない。

 しばらく考えて、非常食用に買っていた缶詰の焼き鳥を使うことにした。
 後は海苔とネギとご飯があればいい。

 つまりは刻み海苔とカットネギで簡単焼き鳥丼を作る事にしたわけだ。

 俺はトレイの上にアルミホイルを敷き、その上に焼き鳥をのせてオーブンレンジで温めた。

 その後、炊いたご飯の上に刻み海苔と温めた焼き鳥をのせ、ネギを散らすと完成!
 やっべ、冷蔵庫にほとんど何にもない!
 でも非常食の缶詰ならあった! みたいな時に役に立つ。

 簡単で美味しいずぼら飯。


 さて、美味しい飯の次はスイーツだな!

 そうだ! ケーキ屋に行こう!
 ケーキ屋で沢山ケーキを買って帰ろう。
 家でパーティーでもやるふりして買っておいてカフェで限定メニューとして出そう。
 楽が出来る!

 ついでに溜めてた洗濯物もコインランドリーで洗っておこう。
 あっちの洗濯機、小さいからな。
 あと貴重なソーラーパワーをあまり使いたくないっていう理由もある。
 まるでもったいなくて使えないエリクサー症候群みたいだが。

 とはいえ、スマホやタブレットの充電だけはしっかりやるけど。 
 中に飯の種を貯めているから。

 俺はコインランドリーで機械に洗濯をしてもらっている間にケーキ屋で美味しそうなケーキを買い漁った。
 しかし、他の客の分も残すために全部買ったりはしない。
 何軒かケーキ屋もハシゴする。

 魔法のカバンと風呂敷のおかげで傷まずに保管出来るからマジでありがたい。
 帰りにコインランドリーで洗濯物も回収。

 ついでにコンビニでトイレを借りる時に花火セットも買った。
 一緒に花火大会に行く彼女がいなくても、あちらには美狐とエルフの友達も、娘みたいなドールもいるし、あっちで遊ぼう。

 ランチの為に流行りの飯屋に行ったら行列が凄くてくじけた。
 弁当屋にスマホから取りに行くと予約を入れてから、次に近場に丼物があったのを思い出したので、テイクアウトの海鮮丼を買い込み、更に弁当屋にも寄って予約したお気に入りのチキン南蛮弁当と天丼を買って帰る。 

 結局弁当屋もハシゴしてしまった。
 魔法のカバン大活躍。

 ドラッグストアでティッシュとお薬等を買って魔法のカバンに入れてレンタカーを返却して帰宅。
 本日の仕入れのお仕事は終わりだ。

 帰宅したら顕微鏡が届いていた。
 思いの外早く届いて助かる。

 よし、自宅で弁当を食ったら帰ろう、異世界の方へ。
 いい歳のおっさんが淋しくなったとか仲間に言ったら笑われるかな?

 俺は必要な荷物をチェックして、スマホの電源を落とし、押入れのふすまを開いた。

 * *

 夜の間に異世界に戻った。
 早速ブレスレットでミレナとジェラルドに連絡を入れた。

「戻る前に連絡してくれたら迎えに行けたのに」

 ミレナにはぼやかれた。

「でも俺、人目を避けての夜か早朝移動だし」
「前も私はテントで待ってたでしょ」
「普通に危ないだろ、女の子が一人で」
「私はショータと違って冒険者よ、今回は犬とミラもいるのに」

「ああ、そう言えば」
「まあ、いいわ、気をつけて帰って」
「ああ、それと新しい人形を預けに、先に賢者の家に行って来るからな」
「ぬ。そう、仕方ないわね」

 こんな感じでミレナとの通信を切ってからジェラルドに連絡を入れたんだが、「ぬ」ってなんだよ。

 ジェラルドに連絡して経緯を話すと、ちょうど賢者の家、つまり己の自宅の方にいると言うので、俺は早速向かう事にした。

 夜の森は暗くて怖いけど、ヘッドライトを着け、ナタを手にドキドキしながら進んだ。
 草や小枝を自分で踏んで鳴らす音にさえなんだかビビる。

 しかし、気がついた事がある!
 ブレスレットの虫除けが効いてる!
 夜に灯りをつけていたら蛾などが寄ってくるはずが来ないのだ!

 途中でピンクと白の水玉模様のキノコの魔物に遭遇してビックリした!
 俺は驚き状態のままキェエッ! っと奇声を上げつつナタでキノコの傘部分を斬りつけた。

 血飛沫の代わりにブファっと胞子のようなものが飛び散る!
 吸い込まないように袖で鼻と口を覆った。
 謎のキノコは大地の上に倒れた。


「ハア、ハアッ、ビビらせやがって! ……や、やったか?」

 お約束のようなセリフをうっかり言ってしまったが、しばらく見ていても動く様子はない。

 ついでにとどめ! 
 キノコのくせに謎に足が付いていたのでそれをナタで切り落とす!

「これで実は死んだふりだったとしても、追ってはこれまい、まったくキノコならキノコらしく秋にでも出ろよ。
まだ夏なんだぞ! 空気読め!」

 などと一人夜の森の中、悪態をつく俺だった。

 またも遠くで鳴く謎の獣の声に怯えつつも、ついに夜でも灯りがついたままの森の中の賢者の家に着いた。
 ジェラルドが俺の気配を察知したのか扉を開けて迎えに出てきてくれた。

「ショータ、お帰り」
「ただいま! ジェラルド!」

 見慣れた青年エルフの美しい顔を見て、俺は心底ほっとした。
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