俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 商人であり聖者でもある男の異世界を巡る日々 〜

長船凪

文字の大きさ
66 / 111

66 驚きのスキル

しおりを挟む
「ショータ、故郷はどうだった?」
「そうだな……遊ぶものも美味しいものも沢山あるんだけど、あちらには君たちがいないから淋しく感じるくらいだったよ」
「はは、そうか、ショータもだいぶんこちらの世界に馴染んだようだな」


 ──森の中、ホーホーと、日本のアパートにいたら、馴染のないフクロウの鳴く声がするけど、この家の中にいたら怖さは消える。

 ジェラルドが淹れてくれた爽やかな香りのするハーブティーを飲んで、今夜はこの木の家に泊まらせてもらう。

 お迎えしたばかりのドールをカバンから出して窓辺に置かせてもらった。
 ドールの髪も梳かして、綺麗に揃えた。

 そしてまた俺はソファを借りて寝る。
 おやすみなさい。

 * *

 朝になって、ジェラルドが用意してくれたベーコンエッグとクロワッサンを食べた。
 クロワッサンはジェラルドがカフェで働いてくれるのと魔法のカバン持ちなんで以前、預けていたものだったが、ちゃんとオーブンで軽く温めて出してくれた。

 焦げないようにひっくり返して温めてくれと伝えていたのも覚えていてくれたようだ。
 俺の方はカバンからオレンジとグレープフルーツジュースを出した。

 エルフの手料理のベーコンエッグを美味しくいただく。
 ご機嫌な朝食だ!
 地球の星の数が多いホテルに泊まっても普通は食べられないからな。


 * *

 そしてジェラルドがまた川に卵を拾いに行くと言うのでついて行くことに。 

 一応ミレナにもそうブレスレットでそう連絡を入れたが、ちょうど何かしてて出れなかったみたいで留守電機能のメッセージを残して。

 そう、実はあの魔法のブレスレットには留守電メッセージを吹き込む機能もつけておいたのだ。 
 ほら、お風呂の時とかトイレの時とか困るだろうし。

 そんでアヒルの卵を拾い放題イベント再び!!
 卵を籠と割れ防止の籾がらの隙間に詰めた。
 ああ、卵を入れる容器も仕入れて来ればよかったかな? などと思っていたら、


「いた! もー! ショータったらなんで朝になったのにすぐに店に帰って来ないのよ!」
「ワフ!」

 ミレナがラッキーを連れて川に来た。
 彼女は大きなダチョウっぽいルルエに乗って来たようだ。あと二匹のルルエを引き連れている。
 俺達の足も用意してくれたのか。


「すまん、だって卵取り放題なんだぜ?」

 夏の川辺は爽やかだ。
 森の中でもひらけた場所となっている。
 木々の隙間から陽光が降り注ぎ、透明な水面を揺らしつつキラキラしている。

「マスター、お帰りなさい」
「ミラもいたな、ただいま! そしておはよう」

 ミラがミレナの持つカバンからひょっこり頭を出して来たので、ミレナはカバンを石の上に降ろして、ミラが出やすくしてあげていた。

 カバンから飛び出したミラは走ってきて俺の足にしがみついたと思ったら肩の上にまで登っていった。
 登頂おめでとう! 
 こんなところで子供にパパ登りをされる父親の気分を味わえた。


「あ!」  

 ミレナが小さく叫んだ。

 バシャンと水音がしたと思ったらラッキーが川に入った。

「冷やし犬……暑かったのか?」


 犬かきでラッキーは川を泳いでいる。 
 楽しそうだ。


「あーあ、犬がびしょ濡れじゃないのよ」
「体を洗う手間が省けたと思えば……しかし夏って感じするなぁ」
「ねえ、二人はもう朝食は食べたの?」

「ああ、ベーコンエッグを」
「もー! こっちは何も食べずに駆けつけたのに」

 ミレナも食べてから来ればいいのに。
 とは、言えないな。


「ブリトー食べるか?」
「何それ」
「食べ物」 
「その説明、雑なすぎない?」
 

 確かに。
 

「ブリトーは、小麦粉で作られた薄く伸ばした皮ぽいのに肉、煮豆、米、チーズなどの具材をクレープやトルティーヤや春巻きのように包んだ料理だ」
「とりあえず食べてみるわ」

「ほら」
「ありがとう」

 俺はミレナに魔法の言葉カバンから温かいままのブリトーを出してやった。
 ミレナは大きな岩の上に座ってそれを食べた。

 もぐもぐと。

「これもわりといけるわね……」
「ラッキー! お前にもご飯やるから川から上がれ!」
 
 俺は魔法のカバンからラッキーが食べられる物を出した。

「ワフ!」

 ラッキーは賢いので俺達から少し離れたとこに上がって体をブルブルさせて体の水を弾いた。
 あれを至近距離で浴びるとわーっ!! ってなるからな。


「そら!」


 それから俺の投げた犬用ジャーキーをお口でナイスキャッチ!


「ショータ飲み物」
「そこに水があるだろ」

 ジェラルドがクールに川を指差した。
 相変わらずミレナには塩対応だな。


「今、そこで犬が泳いでいたでしょ!」
「クウン……」


 ラッキーが面目ない。みたいな顔をした。


「あーほら、ミレナ、オレンジジュースをやるから、ミルクの方がいいか?」
「オレンジ」
「はいはい」

 いつもの賑やかな日常に戻ったような気がする。

 川で卵を収穫してからミレナがつれてきてくれたルルエに乗って俺達の店へ行くことにした。

「ミレナ、このルルエはどこで借りて来たんだ?」
「渡されていた経費で買ったわ」 

「そうか、馬を買う手間が省けたな」 
「しかしいつの間に、小屋はどうするんだ?」 

 ジェラルドが最もな疑問を口にした。

「ショータやエルフがあっちにいない間に家の庭の隅に簡易小屋を建てたわ、暇だったから」
「え、自分で?」
「そうよ、バンブーを組んで、夏の森で沢山バンブーを仕入れて来たの。ギルドの依頼のついでで」


 ミレナが竹で小屋を作ったってことか!?


「ミレナにそんなスキルあったのかよ! 撮影したかったなあ!」
「人がバンブーで家を作っていたのを見たことがあるけど、わりと簡単だったわ。資材も無料だったし」

 富裕層の地域にある店と家に戻ってみたら、確かに大きな葉っぱの屋根の、竹で出来た風情ある小屋があった。

 西洋風高級住宅地にこの小屋だけちょっと浮いてる気がしないでもないが、無料の材料で節約しつつ作ったんだよな?
 そう考えるとえらい気がする。
 適度に隙間もあって通気性もいいな。

「おお、ルルエも素直に木屋に入ったな」
「わりといいでしょ」

 さあ褒めろ!とばかりに胸をはるミレナ。

「すごいすごい、頑張ったな」

 夏休みの工作を上手に作った子供を褒めるように俺はミレナの頭を撫でてみた。

「えへん」

 自分でえへんって言うやつは始めて見た。
 面白い女だな。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

処理中です...