俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 商人であり聖者でもある男の異世界を巡る日々 〜

長船凪

文字の大きさ
93 / 111

93 秋のきのこ狩り

しおりを挟む
 賢者の家に泊まってから、朝に目覚めた。
 窓を開けて外の様子を見てみたら、森の木々も秋色に染まって来ているなと思った。

 顔を洗ってから、俺は朝食の準備をした。

 穏やかな秋の木漏れ陽の下で、庭のテーブルセットを囲み、男三人で朝食を食べた。


 メニューは黒トリュフ入りのパスタ。


「ボナペティー! これは美味しい!」

 俺は自分で自分作ったパスタの出来栄えに満足した。


「細かいチーズをふりかけると更に美味しいな」
「トリュフ入りなんて朝から豪勢だよね」

 ジェラルドとカナタも気に入ってくれたみたいだ。

「ラッキーのおかげだな」
「ワフ!」

 ラッキーの事もちゃんと褒めておくのを忘れない。


 食後になるとジェラルドは森へ狩りに出かけた。
 俺達は戦闘員じゃないのでひとまず留守番。


「家を買う? 翔太が自費で?」

 賢者のキッチンで洗い物をしていたカナタがびっくりした顔でこちらを振り向いた。

 俺の方は満月にまた日本に仕入れに戻るから買い物のリストアップをしつつカナタと雑談をしている。


「そうだ。日本でティッシュの在庫を大量に届けて貰うには日本の方にも広い家か倉庫がある家を持つ方がいいような気がしてな」
「それは確かに」

「でも結局異世界へはあのアパートの押し入れから移動しないといけないから、あんまり遠い場所だと移動時間がかかる」
「荷物は魔法の風呂敷に入れてしまえば少し遠くの土地の家を買って電車移動でもいいのでは?」

 田舎のほうが土地も家も安いからな。


「ああ、それはそうだな。今度とにかく掘り出し物の良い物件がないか調べてみるさ」
「えちち本のおかげでお金に余裕あるならいっそ別荘地とかは? どうせ買うなら景色のイイとことかさ」
「なるほどな、温泉があるとこもいいな」

「夢が広がるねぇ」 
「とにかく広さが必要なんだよな。次は涼しくなってる秋の販売だし、公園みたいな場所にテント立てて広い場所でやるかな、そういう希望もあったし」

「公園を使う許可は?」
「伯爵様に相談すればなんとかなると思う、何しろ伯爵領の領主だし」
「伯爵様が味方になってくれるなら強いね」
「カナタは日本でなにか欲しいものはあるか?」

「えーと、言いにくいけど、死ぬつもりで前の家の契約を切ってるから、ひとまずは仮住まいの場所?」

 そうだった。鬱で死にそうだったんだ、カナタは。
 こちらに来て驚くほど元気になってるけど。
 夜も薬なしで寝れているし。


「あ~、そうだな、俺のアパートか近所に空き部屋があれば便利なんだが、俺が金は出せるし」
「なんか悪いな、何から何まで」

「仕入れの仕事を手伝ってくれてるから住居を支給されたと思えば良い。何しろ下着売り場に男丸出しの俺が何度も行くと嫌な気持ちになる女性客も多いだろうし」

「もちろん僕が女性の下着売り場に行くのはかまわないけど、翔太が広い一軒家を手に入れてしまえば色んな通販の荷物が玄関先に積み上がっても構わないかもしれないよ」
「あー、玄関前に広い屋根付きのスペースがあるといいな」

 雑談をしたり昼寝しながらジェラルドの返りを待っていたらお昼過ぎになってた。
 今は昼の一時くらいだ。


「いかん、森から聞こえる鳥の囀りとか聞いてるとリラックスして惰眠を貪ってしまった」
「お昼どうする?」
「秋らしく昼はキノコのタルティーヌで夜用には炊き込みご飯を用意しようか」


「ワフ!」
「あ、ジェラルドさんが狩りから戻ったみたいだ」

 ラッキーの反応から窓の外を覗いたカナタがジェラルドを見つけたようだ。


「鹿が取れたぞ」
「わあ! 鹿とキノコのお土産だね!」

 ジェラルドは鹿の他に食べられるキノコも見つけて来たようだった。

「秋ぃ~って感じでいいな」
「僕も異世界のキノコを覚えればキノコ狩りができるかなぁ」

 ジェラルドはテーブルの上にキノコ入りのザルを置いていて、カナタはそれをしげしげと眺めている。

「なんだ、カナタはキノコ狩りがしたかったなら言えば連れて行って簡単なのは教えてやれたのに」
「本当? ジェラルドさん、ありがとうございます!」

「ジェラルド先生~キノコ狩りなら俺もやりたいです!」
「そうか、じゃあ食事の後に行くか」
「ジェラルドは狩りの後なのに休まなくていいのか?」
「鍛え方が違う」

「「な、なるほど~」」

 昼下がりには三人で物知りエルフのジェラルドの教えを請いながらキノコ狩り。
 赤や黄色の落葉を踏みながら、キノコを探していたら、俺は湿り気を帯びた川の側で岩にこびりつく変わった光を放つコケを見つけた。

「ジェラルド、この光るコケはなにか知ってる?」
「ああ、そのコケは魔法薬の素材になるからもらっていこう」
「魔法薬の素材!」
「ファンタジーだねぇ、面白い」

「カメラカメラ、撮影っと、あ、あそこにはキレイな花だ」
「白くてかわいい花だね。お土産に持って返ってあげたら?」

 !! 

「そうだな、キノコと花と炊き込みご飯はいまここにいないミレナにもあげよう」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

処理中です...