シスルの花束を

碧月 晶

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52 side雨月

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総会が始まる2時間ほど前、雨月は宗一郎の部屋に訪れていた。

「よく来たな。さあ、ここへ座りなさい」
「はい」

祖父の部屋は南向きの日当たりの良い和室で、縁側の向こうには見事な枯山水が望めた。

「写真は届いたか?」
「はい、ありがとうございました」

ふと、棚の上に視線がいく。そこには、おれの小さい頃の写真が丁寧に写真立てに入れて飾られていて

「…お前は本当に理一郎によく似ているな」

おれの視線に気付いた祖父も懐かしむようにそう言って写真を見る。

「あの」
「何だ?」
「実は、貴方に会わせたい人がいるんです」
「わしに?」
「はい」

ちょうどタイミングよく聞こえてきた足音に、おれは襖の向こうにいる人物に入るように声を掛けた。

「失礼します」

襖を開け、現れた裕太郎さんに祖父は目をぱちくりとさせる。

「君は確か、彩子さんの…」
「お初にお目にかかります」

ぺこりと一礼する裕太郎さんに、会わせたい人というのはこの人か?と問うようにこちらを見る祖父におれは苦笑して否定した。

ならば一体誰なのだと今度は裕太郎さんの方を見やる祖父を横目に、裕太郎さんは未だ廊下にいる人物に入るように促した。

「!!」

漸く姿を現したその人物を見るなり、祖父の眼が驚きに見開かれていく。

「り、理一郎…なのか?」
「…久しぶり、父さん」

よろよろと近付き、宗一郎は理一郎の顔に触れる。まるでここにいる事を確かめるように。

「お前、今までどこにいたんだ…!死んだと聞かされた時は、わしは…わしは…っ」
「…ごめん。心配かけさせて」

それから、おれは父さんを見つけた経緯を、父さんは自分の身に起きた事全てを祖父に話した。

真実を知った祖父は暫し考え込んでいたが

「…お前はこれからどうするんだ」

祖父からの質問に父さんは背筋を伸ばして答える。

「冷泉院を継ぐ」
「……いいのか」
「ああ、俺はもう逃げない」

祖父の鋭い視線が父さんを射抜く。それでも、父さんが目を逸らす事はなかった。

「…分かった。だが、認められるかはお前次第だ。その覚悟を示してみせなさい」
「! …ありがとう、父さん」

こうして、父さんは無事祖父と再会を果たした。

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