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8.部活のち脱兎1
しおりを挟む「おっ邪魔しまーす!」
意気揚々とした真琴の声が響き渡る。
「うわー!すげえ広い!マジでここに一人で住んでんの?」
「うん、そだよー。でもイッちゃん家の方がもっと広いよ」
「え、マジで!?」
「まじまじ」
「酉くん今度遊びに行っても良い!?」
鼻息荒く興奮気味に詰め寄る真琴に若干驚きつつも承諾している砂酉を
祭月は安心したように笑って見ていた。
つい昨日、学生の本領が問われる中間テストが一週間後に迫った。
中学の頃からの恒例で、勿論泣きついてきた真琴。
そしてその話を聞いていた祭月の提案で、それなら皆で勉強会をしようという事になり
早速、こうして祭月の家に集まる事となったのだ。
三度目となる祭月の家をぐるりと見渡す。前ほど散らかってはいないようだ。
「じゃあ早速、って言いたい所なんだけど。もうちょっと待ってね。多分もう直ぐ黒子さんが来るはずだからー」
「くろこ?」
「あ、マコちゃんは会うの初めてだよね。イッちゃん家の人だよー」
「酉くん家の? へー。で、その黒子さん?がどしたの?」
「あーそれがねぇ、俺はここで良いんじゃないって言ったんだけど」
「アホか。どう見ても狭いやろが」
「ええ…そう?」
ダイニングテーブルを挟んで砂酉が祭月を叱る。
未だに話の流れが分かってない真琴は置いておくとして、聞いている内に何となく砂酉が言いたい事は理解した。
多分砂酉が言っているのは、そのテーブルでは4人分の勉強道具が広げられないという事。そして、そこは普通食卓でそんな所で消しカスなどを出すなど言語道断だと、祭月のずぼらな所に砂酉は怒っているらしい。
そこで学校が終わる前に砂酉が黒田さんに何かを頼んで、それがもう直ぐ来る頃合いのようだった。
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