恋するソムニと白馬の幻

ナポ

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7.おかしな事実


リビングの片隅、紅茶をすすりながら。

淡々と──けれど真顔でフィリオは呟いた。

「……なるほど。ソムニの花畑脳は、母親由来か」

「花畑脳ってなに!?!?」

ソムニがカップをがしっと持ったまま抗議すると、

「事実を述べたまでだ。……あの女性(奥様)は、金がなくても煌びやかに生きるという信念に従い、経済というルールを無視している。もはや、概念系の魔術に近い」

「なにそれかっこいい!?!?」

「どこがだよ!?頭おかしいだろ!?」

チルドがツッコミを入れる横で、フィリオはさらに続ける。

「その上、家の経済状況を美という一点突破で肯定する精神性……理屈ではない。信仰だな。教祖が奥様で、信徒がソムニ。チルド、おまえは……」

「……信仰対象の財務監査か……?」

「うん、たぶんそのへん」

「やだよそんな役……」

「もうっ!みんな失礼だなぁ!母様はね、正しいんだよ!貴族とは、常に夢を見せる存在。現実を突きつけるばかりじゃ、世の中は乾いてくでしょ?」

「乾くのは財布だよ」

「……でも。ちょっと、わかる気もする」

珍しく、フィリオが静かに微笑んだ。

「美しさは、生きるための嘘……昔、母様の言葉、だったか?」

「え……?」

「妖精の国では、誰もが仮面をつけて舞踏会に出る。それは弱さを隠すため、誰かに夢を見せるため。でも、ソムニの家族は……仮面じゃなくて、全部本気だ」

チルドとソムニが目を見合わせた。

「ちょっと馬鹿みたいで、無茶苦茶で……でも、悪くない……ああ。これが、家庭ってやつなのかもしれない」

「フィリオ……」

「──ただし、破綻寸前だ。どうにかしたほうがいい」

「うわぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!」

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