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しおりを挟む王立学園では、新学期初週に基礎魔法と体術の能力測定テストが実施される。
目的は、学生たちの“伸びしろ”を把握し、適正な指導を行うためだ。
当然、リレフ・シーストンには一つの明確な目標があった。
「平均点。できればちょっと低めで目立たない」
しかし、その願いは
崩れ去った。
「え、俺の名前ある……!?!?!?!?!?!?」
翌朝、掲示板に貼り出された上位者ランキングを見たリレフは、硬直していた。
第10位:リレフ・シーストン
その名前が、太字で印刷され、しかも金色の枠で装飾されていた。
「いやいやいや、なんで!? わざと詠唱遅らせたし、魔力も3割くらいしか出してないぞ!?」
「おめでとう、リレフ」
後ろから現れたのは、どこか嬉しそうなアネス。
「君の魔力、あれで抑えてたんだ。なるほど、普段どれだけ遠慮してるのかよく分かったよ」
「いや待って、俺これから目立つ未来しか見えねぇんだけど!?」
ざわざわと生徒たちの間からも声が聞こえてくる。
「シーストンってあのリレフ様? ぬいぐるみ好きの……?」
「ちょっと待て、可愛くて強いとか最強か?」
「嫁に来い」
「やめて! 俺、平凡でいたいの!」
叫びたいリレフの心情とは裏腹に、事態はさらに悪化した。
──そう、アッシュの登場で。
「よっしゃあああああ!!! 俺のダチが10位!? すっげぇじゃん! 天才か!?」
学園中に響く勢いのアッシュ・トーストの大声。
「なぁ、なぁ、リレフ、すげぇな!? 俺、ちょっと感動して泣きそうだ!」
「うるさい! やめろ! 抱きつくな!!」
アッシュはテンションMAXのままリレフを持ち上げ、ぐるんぐるん回し始める。
「いやあああああやめろおおおおおおおおおお!!!」
「アッシュ、落ち着けー!」
タラードの声も届かず、学園の廊下は大騒ぎ。
その後、アッシュは「騒ぎすぎによる廊下掃除一週間」の罰を受け、リレフは「10位記念特別インタビュー」に名前を出されてしまった。
夜。
ぬいぐるみに埋もれながら、リレフは心の中で小さく誓う。
「……もう魔力量も詠唱速度も、3割じゃなくて1割に抑えよう」
努力の方向性が間違っている気もするが、
リレフにとっては「平凡を維持するための戦い」が、すでに始まっていた。
そして、隣の部屋からアッシュの声が響く。
「リレーフ! 明日、一緒に昼飯食おうぜー!! ご褒美に肉まんおごるからー!」
(くそ……あいつ、テンションだけは世界トップかもしれん)
平凡な日常(仮)は、今日も平凡ではない。
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