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しおりを挟む昼下がりの学園。
外では鳥のさえずりが心地よく、教室では窓際の席に座るリレフが静かにノートを取っていた。
ようやくアッシュが昼寝し始め、タラードは忘れた宿題に今さら取り組み始めた。
「……静かって、いいな……」
リレフが心からそう思ったその瞬間。
教室のドアが勢いよく開かれた。
「やあ、君がリレフだね?」
「誰だお前は」
反射的に無表情のまま返したその少年は、明らかに転校生であり、距離感がおかしかった。
なぜなら――
リレフの机に手をつき、その顔を10センチ以内に近づけてきたからだ。
「私はディノ・アルバート。隣国リステリアからの特別留学生。今日からよろしく」
「近い。まず距離を取れ」
「失礼、君が可愛すぎて見惚れてしまってね。うん、想像以上に……天使だった」
「そのまま帰れ。国に」
「そんな冷たい目も……好き」
「帰れ」
数分後、なぜかリレフの隣の席がディノの定位置になっていた。
(なんでだよ……俺の隣、空いてなかっただろ)
「君のぬいぐるみ趣味、素敵だと思うよ」
「調べてきたのか」
「もちろん。君に近づくにはまず情報収集からだ」
「変質者か」
「恋する者は、努力を惜しまない」
「そういう台詞、誰かのために取っておけ」
「君のために言ってるよ?」
「……殺意が湧くから黙れ」
それでもディノは満面の笑みを浮かべながら、まるで“正しい位置”に収まったかのように椅子に座り、
アネスが教室に入ってきたときには、なぜかすでにリレフの机を挟んで左右に男が並んでいた。
「……状況を説明してくれる?」
アネスの声が数度低くなった。
「知らん。俺が聞きたい」
リレフの平凡な学園生活(希望)は、ますますカオスの渦に飲まれていく。
その日の放課後。
ディノは再びリレフの前に立ち、囁いた。
「ねぇ、恋人になってくれないか? いずれ婚約を前提に。君は特別なんだ。初めて会った時からずっと――」
「会って1日目だろうが!!!!!」
「それが運命ってものだろ?」
「お前と俺の間に運命なんて一本の毛すら通ってねぇよ!」
「それでも僕は、君の笑顔を守るために生きていく……」
「だから誰が笑ってるって?」
「ほら、今、怒ってるけど……ちょっとだけ頬が赤い」
「赤いのは血圧のせいだ!」
ディノの愛の言葉と、アネスの背後からの圧、アッシュの野次とタラードの「よく分からんけど楽しそうだな」というズレた感性が入り乱れ、
リレフの学園生活は、完全に平凡という名の理想から遠ざかっていくのであった。
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